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[MOM3650]中京GK秦涼介(3年)_「アイツのおかげで勝てている」。主将が飛び出しと声で支えて無失点勝利

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中京高GK秦涼介主将が完封勝利に貢献

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.6 選手権岐阜県予選準決勝 中京高 1-0 各務原高 長良川メドウ]

「うちには秦がいる。いつも言うけど、アイツのおかげで勝てている。俺は何もやっていない。秦がいるから、うちのチームは持っている」。福留直人監督の言葉からは、中京高の絶対的守護神であるGK秦涼介主将(3年=愛知FC出身)に対する大きな信頼が伺える。

 各務原高が粘り強く戦ってくるのは分かっており、PK戦まで想定していたとはいえ、1点が獲れないまま試合が進んでいく不安もあった。「大体、いつものパターンならFKを入れられて、1-0で負けましたというパターン」と話すのは、福留監督。いつものパターンに持ち込ませなかったのは、秦を中心とした守備陣の奮闘が大きかった。

 自陣からテンポよくボールを動かす中京に対し、この日の各務原はDFとMFがリトリートして、手堅い守備ブロックを形成してきた。各務原が狙うのは、ボール奪取からの素早いカウンター。実際に試合序盤には各務原を押し込んだ事で、高くなった中京のDFラインの背後にボールが落ちる場面が何度かあったが、「僕が得意にしているプレーが前に出る事。今日は気持ちよく前に出る事が出来た」と振り返る秦が的確にPAの外へと飛び出して、確実にクリアしていく。

 以降の場面でも、「1点が遠いので、失点しないことを心掛けていた。カウンターを防ぐために後ろの4枚プラス僕で、しっかりコミュニケーションをとっていた」と前がかりになるチームのリスクマネジメントを担って、失点のリスクを最小限に抑えた。

 試合終盤に相手が攻勢を強めた場面では、秦のコーチングも効いていた。「やかましいぐらい。姑みたいにうるさいし、スタッフにも文句を言うけど、常にチームのためを思えるのが彼のいい所。チーム第一主義で、それはやっぱり凄いと思う」と指揮官が評するコーチングで、チームの気を引き締めた。決して派手ではないし、分かりやすいプレーではないが、後半終了間際の得点でチームが勝てたのは、最後尾からチームを支え続けた秦がいたからだ。

 小中学校時代の秦はキャプテンではなかったものの、いつもキャプテンの傍に立ち、チームをまとめてきた。中京に入学してからは、先輩たちの代のキャプテンを目の当たりにし、「自分もこういう姿にならなければ、後輩からも憧れる存在にならないといけないと思った」。特に準決勝で敗れた昨年度の選手権予選は、練習の雰囲気にどこか緩さを感じていたため、自分たちの代になってからは再び悔しい想いをしないためにも、ピッチ内外で声を出し続けて、練習への態度や姿勢に拘ってきた。

 次の決勝は、そうした取り組みの集大成と言える場だ。やってきたことが間違いでないことを証明するためには、全国に行くしかない。「最後、秦に胴上げしてもらわなければいけない」と話す福留監督の願いを叶えるためにも、次戦も秦は最後尾からチームを引っ張るつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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