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劣勢を跳ね返した秀岳館が熊本国府を撃破!7年ぶりの選手権出場を懸け、大津とのリベンジマッチへ!

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秀岳館高が熊本国府高を撃破し、7年ぶりの選手権出場まであと1勝!

[11.7 選手権熊本県予選準決勝 秀岳館高 2-1 熊本国府高 水前寺競技場]

 選手権は負ければ終わりの一発勝負だ。内容が良くても負けてしまえば、3年生は引退。誤解を恐れずに言えば、納得のいくパフォーマンスが出せなかったとしても、勝利が掴めれば次のステージに進める。「今シーズンで一番良くなかったけど、風が吹いていた」(段原一詞監督)。自分たちが追い求めてきたスタイルを発揮できなかったが、少ない決定機をモノにして大津高への挑戦権を掴んだ

 7日、第100回全国高校サッカー選手権熊本県予選の準決勝が水前寺競技場で行われ、秀岳館高熊本国府高に2-1で勝利。14日の決勝で大津と対戦することが決まった。

 最終ラインから丁寧にボールを繋ぐ攻撃が秀岳館のスタイル。しかし、熊本国府戦は思うようにいかなかった。DF仁木悠真(3年)とDF西村陽佑(3年)のCBコンビ、アンカーのMF青木裕哉(2年)がボールを動かすが、中盤の選手がうまくボールを引き出せない。「相手が見えていなかった」と指揮官が苦言を呈するほどの内容で序盤から苦戦。フィジカル勝負に強い熊本国府の術中にハマり、押し込まれる時間が増えた。

 そうした状況を変えたのが、FWの配置変更だ。裏の抜け出しに長ける最前線の主将・FW古賀渓太郎(3年)と、ボールを収められる左ウイング・MF本戸雄大(3年)の並びを入れ替えた。すると、指揮官の采配が見事に的中する。ポジションを変えた直後の前半36分。仁木のフィードに抜け出した古賀が一気にゴール前へ迫る。相手の右SB高山桜介(3年)に身体をぶつけて競り勝つと、利き足ではない左足でニアサイドの上段を撃ち抜いた。

 指揮官が「日替わりヒーロー」と喜んだ古賀の一撃。「良い場面を作れた中で点数が取れなかった。逆にうちが前掛かりになった状況で先制点を取られ、後手に回った」と熊本国府の佐藤光治監督が悔やんだ通り、秀岳館はハーフタイム直前の先制点でゲームの流れを手にした。

 迎えた後半。秀岳館にさらなる追い風が吹く。6分に左サイドで本戸がスルーパスを通すと、左SB丸田龍生(2年)がバー直撃のシュートを放つ。このこぼれ球をMF深川碧斗(3年)が押し込み、リードをさらに広げた。

 苦しみながら奪った2つのゴール。その後は相手に反撃され、左SB小塚悠眞(3年)のロングスローや前半終了間際に投入されたFW山下宗大(3年)の飛び出しに手を焼いた。中盤以降は自陣で守る展開が多くなり、運動量も低下。29分にはMF吉田陸(3年)の右クロスから山下にフリーでシュートを放たれる。ここはGK小林拓未(3年)の好セーブで事なきを得たが、残り10分を切ったタイミングで熊本国府はCB杉本蓮(3年)を最前線に配置。パワープレーを仕掛けられ、秀岳館はさらに自陣で守る時間が続いた。しかし、何とか耐え、サイドにボールを運んで時計の針を進めていく。アディショナルタイムに直接FKを杉本に決められたものの、リードを最後まで守り切って決勝進出を決めた。

 決勝の舞台は初出場を果たした2014年度以来となる。相手はインターハイ予選決勝でも対戦した大津。夏は0-4で敗戦したが、段原監督はスコア通りの完敗ではなかったと振り返る。

「総体の決勝でボールポゼッションはできた。カウンターから失点したけど、3点はメンタル面で崩れている時に喫したモノ。立て続けに失点したので、そこは修正できるはず」。

 選手たちも夏の一戦をネガティブに捉えていない。

「1-2で敗れた新人戦の準決勝よりも、インターハイ予選の決勝は0-4というスコア以上に迫れた。さらにそこから攻撃の質とテンポにこだわり、夏以降も取り組んで選手権を迎えたので戦える」(古賀)。

 当然、周囲は大津に分があると見るだろう。しかし、秀岳館に引き下がるつもりは毛頭ない。決勝では自分たちのスタイルを取り戻し、7年ぶりの檜舞台を掴み取る。

(取材・文 松尾祐希)

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