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[MOM3664]高知MF松井匠(3年)_JFLクラブも太鼓判、両利きのチャンスメイカー

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高知高MF松井匠(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.7 選手権高知県予選決勝 高知高 3-2 明徳義塾高 春野運動公園陸上競技場]

 彼がいるのと、いないのとではチームが大きく変わる。大坪裕典監督も「うちのチームに違いを作れる男。彼は全国でもやってくれると思います。判断が早いし、それ以上にテクニックがある。身体能力も高いので、速い中でテクニックを発揮できる」と一目置くのが、高知高のMF松井匠(3年)だ。

 2回戦の高知商高戦では2アシスト、準決勝の高知中央高戦では1アシスト。ここまで全てのゴールをお膳立てしてきた松井の活躍は、決勝になっても止まらない。最初の活躍は前半11分。MF笹岡翼(3年)のパスを受けた松井は、「明徳のサイドが空くのは準決勝の試合で分かっていたので、そこを狙っていた」とスピードに乗ったドリブルで左サイドを突破。CK付近まで持ち込むと左足クロスから、ヘディングによるMF森紺(1年)の先制点をお膳立てした。「ボールを受けた時にファーに紺が見えた。紺はヘディングが元々強い選手なので、そこに合わせれば勝てるかなって思って上げました」。

 そこからは明徳義塾高の勢いに飲まれ、逆転を許したが、松井は諦めていなかった。「これまで悔しい思いをしてきた。昨年は、残り1分で同点にされた。プリンスでも同じような残り1分で決められた。そうした悔しい経験によって、少ない時間でも、点は入ると自分らの中にはあった」。残り10分を切ってからは得点の可能性を高めるため、チームとしてシンプルにボールを前へと運び、相手エリアでの時間を増やした。策は実り、後半36分には左サイド後方からMF川竹智希(3年)がゴール前にクロス。このボールはGKに弾かれたが、こぼれ球をFW浪上博嗣(3年)がヘディングで落とすと、ボールはゴール前の松井の下へ。「体勢がきつかったので、冷静に落とそうと判断した」松井のプレーが奏功し、DF谷日向太(3年)の同点ゴールが生まれた。この得点で勢いづき、後半アディショナルタイム1分過ぎにはFW大久保天満(1年)の勝ち越しゴールが生まれた。

 この日のプレーを見ていると、サイドで松井がボールを持つと簡単には止まらない。高知中学時代は、右足しか使えなかったが、高校に入ってから左足でのシュートを練習するうちに左右両足を上手く使いこなせるようになった。また、かわし切ってからシュートやクロスを上げるのではなく、相手に隙があれば、かわし切らなくてもゴールに直結する仕事をしようともする。相手にとっては何をするか分からず、これほど嫌な選手はいない。

 地元の高知ユナイテッドSCからも高く評価されており、昨年から度々練習参加を経験。「JFLの選手たちとも同じようにやれている。自分がボールを持った時は、大人相手でも獲られる気はしなかったし、球際の所でも負ける気はしなかった」と確かな自信を掴んだ。高卒での加入は考えていなかったため、高校卒業後は関西学生リーグの強豪大へと進学するが、4年後には即戦力として活躍できるだけのポテンシャルを秘めた選手であるのは間違いない。

 全国ではチーム最高成績であるベスト8を超える4強進出が目標で、「いつも通り力を出せれば、目標も夢じゃない」と自信を覗かせる。松井自身も全国の舞台で持ち味を発揮出来れば、脚光を浴びる可能性は十分にあるはずだ。

(取材・文 森田将義)
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