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2つの狙いで「とにかく思い切って」行った王者・帝京長岡が新潟4連覇。日本一への挑戦権を手に

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帝京長岡高が新潟4連覇達成

[11.7 選手権新潟県予選決勝 北越高 0-1 帝京長岡高 デンカS]

 7日、第100回全国高校サッカー選手権新潟県大会決勝がデンカビッグスワンスタジアムにて開催され、帝京長岡高北越高を1-0で破り、4大会連続9度目の全国切符を手に入れた。

 準々決勝、準決勝と2試合連続で先制点を奪われていた帝京長岡は、この試合に向けて古沢徹監督がまず意識させたのは「とにかく思い切って行こう」というベースの姿勢だった。3連覇を達成している王者としてのプレッシャーを受ける中で「慎重になり過ぎていた」(古沢監督)ことを踏まえてのアプローチだった。

 もう一つあったのは、試合会場がビッグスワンだったということ。独特の雰囲気となる巨大スタジアムでの試合経験を高校生が積む機会は少ない。「3年連続(での決勝)という経験値の差を活かして飲み込んでしまおう」(古沢監督)という狙いだった。

 開始からアグレッシブに高い位置からのプレスに行く帝京長岡と、後方から丁寧なビルドアップを試みる北越の狙いがぶつかり合うような形が続く。開始早々の3分にFW三宅凌太郎(3年)のシュートが北越ゴールを脅かしたのを皮切りに、続けざまに帝京長岡がチャンスを作り出す。北越GK内田智也(2年)のビッグセーブもあって簡単には1点を奪えない状況だったが、19分に試合の明暗を分けるシーンが生まれた。

 クリアボールを右サイドで拾ったDF佐々木奈琉(3年)が中央へクロス。これを三宅が合わせたシュートは飛び出したGK内田がまたもビッグセーブでしのいだが、そのこぼれ球は再び佐々木が回収して折り返し。これにFW渡辺祐人(3年)が合わせると、待望の先制点が生まれた。このまま一気に押し切りたかった帝京長岡だが、ここに立ちはだかったのは、またも北越の守護神。32分、佐々木のクロスにU-17日本代表MF廣井蘭人(2年)が頭で合わせるピンチも横っ跳びセーブでしのぎ、試合の天秤をこれ以上に傾けさせなかった。

 試合時間の経過と共に北越も徐々に自分たちのペースを取り戻していく。DFからパスでゲームを作っていく丁寧なポゼッションプレーに加え、MF小林謙心(2年)らが個人の特長も発揮して帝京長岡ゴールへ迫るシーンも作り出す。後半10分にはその小林が中央のパス交換から惜しいミドルシュートを放つなど、攻めの形も作った。

 だが、帝京長岡も1-0で試合が進んだからといって焦ったりする様子は見せない。前半途中からシステムを変更し、また10番を背負う三宅のポジションを変えることで守備の引き締めを図るなど引き出しの多さも披露。ベンチからの一声で対応を変えられる戦術的な柔軟性も見せながら、試合を進める。その後も決定機がありながら追加点を奪えなかった点は課題とも言えるが、「ずっと攻撃陣に助けられてきたので、今日は無失点でいきたかった」というDF松本大地(3年)、桑原航太(2年)、GK佐藤安悟(2年)らが安定したプレーを見せて、見事にゼロ封を達成した。

 1-0で勝ち切った帝京長岡は、新潟工高以来となる37年ぶりの県4連覇を達成。選手権への切符をつかむとともに、「目標である日本一」(古沢監督)への挑戦権を手にすることとなった。

(取材・文 川端暁彦)
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