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田中碧が考える“対5バック”「強引に、大胆にやれれば」

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日本代表MF田中碧(デュッセルドルフ)

 日本代表MF田中碧(デュッセルドルフ)が9日、報道陣のオンライン取材に応じ、カタールW杯アジア最終予選・ベトナム戦(11日・ハノイ)に向けて意気込みを語った。現地の検疫措置を受け、8日夜にドイツから日本経由でベトナム入りしたばかり。それでも「個人的にドイツ2部の移動の方がきついので、それに比べればキツくない」と力強く述べ、勝利への貢献を誓った。

 10月シリーズ第2戦のオーストラリア戦(○2-1)で4-3-3のインサイドハーフを担い、A代表初ゴールとなる先制点を挙げるなど、崖っぷちに立っていた日本代表に勝ち点3をもたらした田中。U-24日本代表として出場した東京五輪で全6試合に先発出場した実力をフル代表の舞台でも発揮し、レギュラー争いに名乗りをあげた。

 11月シリーズのベトナム戦、オマーン戦でも起用される可能性は大いにある。だが、田中は冷静に試合を見据えているようだ。

「チームが勝つことが一番大事。W杯に行きたいのは選手だけでなくみんなが思っているので、自分が出て活躍することも大事だけど、誰が出ても2連勝して次につなげるのが大事。自分も前回のようにそこに貢献できればいいし、前回以上のパフォーマンスをできれば」。

 あくまでも目指すはチームの勝利。そのために「特別なことよりチームがうまく回ればいいし、それで勝てればいい。点を決めたいとかは少なからず持っているけど、勝利のために自分ができることを精一杯やれれば。チームをうまく循環できれば」という自身のパフォーマンスを発揮していく構えだ。

 所属先のデュッセルドルフでは公式戦3試合続けてベンチスタート。それでも川崎フロンターレとは異なるプレースタイルを求められる中、試行錯誤の中で成長を実感できているようだ

「フロンターレでやってきたのは強いチームでの振る舞い方。ボールを握るチームでサッカーをやっていたので、そういうチームで成長できるところは成長できた。ただデュッセルドルフは順位は上のほうではないし、ボールを握れないチームでサッカーをすることはフロンターレでは学べなかったので、いまは苦しんでいるけど貴重な機会だし、自分としての幅を広げれば自分も成長できると思う」。

 それはデュッセルドルフと日本代表とのスタイルの違いについても同様だ。

「代表ではデュッセルドルフでできないことをできるようにしないといけないし、代表に来たら(デュッセルドルフで)今やろうとしていることしかできなくなるというのは、自分の特長がなくなると思っていた」。

 オーストラリア戦での試みをそう振り返った田中は「デュッセルドルフでは今までやってきたことを必要としていないシーンもあるし、代表で今までやってきた姿を出せたのは自分の中ですごくポジティブで、見失ってなかったなとホッとしている感覚もある。でも今までより落ちているのは感じているし、サッカーやチームが変わる中、自分が何ができるのかを考えながらピッチに立てれば」と収穫と課題を語った。

 そうした中で迎えるベトナム戦。相手は5-3-2と5-4-1のシステムを併用しており、守備ブロックを組まれた際にどう点を取るかが一つのテーマとなる。

「僕もフロンターレで5バックの相手とやっているけど、すごく苦戦していたので、そんなに自分も得意ではない。でも一番必要なのは幅を使うこと。68mを5人で守らせるのか、幅を使えなくて50mを5人で守らせるのかは違うし、幅を使って選手間を広げるのが大事」。

 サイド攻撃の重要性を強調した田中は「崩すのは簡単じゃないので、セットプレーやクロスで事故っぽく1点入ったり、ミドルシュートもそうだし、1点は1点で変わらないので、力づくでこじ開けるのも大事。イメージを持ちながら強引に、大胆にやれれば点を取るチャンスはある。慎重になり過ぎず、大胆になりながら、そしてそこのバランスを気をつけながらやれればと思う」と展望を語った。

(取材・文 竹内達也)
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