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[MOM3668]徳島商MF冨士村優(1年)_快速ドリブルでPK奪取&1ゴール! 名門校を9年ぶり決勝に導いたスーパールーキー

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MF冨士村優(1年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.6 高校選手権徳島県予選準決勝 徳島北高 1-2 徳島商高 徳島市球技場]

 徳島商高が誇るスーパールーキーが、県内最多39回の全国出場を誇る名門校を9年ぶりの決勝戦に導いた。

 試合の均衡が破られたのは後半7分だった。左サイドバックのDF湯浅成翔(2年)からのロングフィードに左サイドハーフのMF冨士村優(1年)が反応すると、一歩抜け出して放ったシュートは相手GKに阻まれたが、再びこぼれ球を拾って左サイドからカットイン。このドリブルが相手のファウルを誘い、ペナルティキックを獲得した。

「最初はシュートを狙ったけど、キーパーに弾かれてしまって、1回立て直そうかと迷ったけど、DFとDFの間が空いていたので自分のスピードを活かしてドリブルを狙った。自分が点を取らないといけないなというプレッシャーがあったので自分で行った」(冨士村)。自らの強みを知った上で積極性が光ったビッグプレー。このPKをDF増田太陽(3年)が決め、徳島商が先制点を奪った。

 冨士村の活躍はこれで終わらない。1-0で迎えた後半34分、左サイドで再び切れ味鋭いドリブル突破を見せ、ゴールライン際までえぐってクロスを送ると、ゴール前に走り込んでいた味方が連続シュート。これはいずれも相手GKのビッグセーブに遭ったが、跳ね返りを冨士村が押し込んだ。

「こぼれ球が自分のところにこぼれてきたので、冷静にトラップして決めることができた」(冨士村)。試合を決定づける2ゴール目を導いたルーキーは先輩たちのもとに走り寄って抱擁。「上下関係もなく、先輩も優しいのでリラックスして練習も試合も臨めている」という関係性の良さも感じさせた。

 冨士村の活躍により、その後1点を返された徳島商だが2-1で決勝進出。2012年度以来、9年ぶりの快挙となった。

「前の試合は緊張して何もできず悔しかった。監督から『緊張していたら走り負けるぞ』と言われたので走り負けないように意識していた」。そう初々しく語った背番号13は「3年生を決勝に連れていけたことが一番うれしい」と笑顔を見せた。

 徳島市立城東中時代も1年時から出場機会を掴み、2年時には県準優勝も果たした経験を持つスーパールーキー。「最近は全国に全然行けていなかったので、徳商でプレーしたいというのがあった。みんなで協力して、自分の力で全国に行きたいと思った」と名門校・徳島商の扉をたたき、全国まであと1勝にまで導いた。

 運命の決勝の相手は直近9年連続で決勝に進んでおり、県4連覇を狙う徳島市立高。冨士村にとっては夏の総体予選で敗れながらも、持ち味のスピードあふれるドリブル突破で大きな注目を受けるきっかけとなった対戦だ。

「あと一つ勝って全国に出たい」。そう意気込む冨士村は青森山田高で同じく1年時からレギュラーを担ってきたMF松木玖生(3年)を意識しているといい、「青森山田と一回対戦してみたい」という野望も明かす。先輩を全国に連れていくため、高校トップレベルを知るため、そして「プロのサッカー選手になりたい」という夢を叶えるため——。徳島商のスーパールーキーは3連覇王者にも臆せず挑む。

(取材・文 竹内達也)
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