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[MOM3672]堀越MF山口輝星(3年)_1年間意識してきた自らのゴールで全国切符。目指すは青森山田とのリターンマッチ

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MF山口輝星(14番)は圧巻の2ゴールで堀越高に勝利をもたらす!

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.13 選手権東京都予選Aブロック決勝 國學院久我山高 2-4 堀越高 駒沢陸上競技場]

 この1年間、意識してきたことが存分に現れた80分間だったことは間違いない。自分が決める。自分で決める。「今年は本当にゴールを決めるということは意識してきました。去年もゴールに関わる場面は多かったんですけど、自分の得点という部分で課題が多く出たので、今年はシュートを打つことだったり、得点を奪うというところを意識して練習からやってきました」。

 堀越高のキレキレ系アタッカー。MF山口輝星(3年=三菱養和調布ジュニアユース出身)が全国の懸かった大事な一戦で、とうとう自らの得点感覚を解き放った。

 國學院久我山高と激突した決勝。いきなり山口が魅せる。前半10分。キャプテンのMF宇田川瑛琉(3年)がドリブルを始めた時点で、ゴールまでの位置取りを逆算。ギャップでFW伊東來(3年)がボールを受け、右サイドのMF古澤希竜(3年)にパスが出ると、逆サイドで準備。丁寧なクロスへまっしぐらに飛び込む。

「希竜から本当に良いボールが来たので、あとはゴールに流し込むだけでした」。右足のインサイドで叩いたボールは、右スミのゴールネットへ突き刺さる。去年の選手権予選では準々決勝、準決勝と得点を挙げたものの、決勝ではノーゴール。1年越しの駒沢で見事に結果を出してみせる。

 続いては31分。相手のCKからの流れ。神経を研ぎ澄ませ。こぼれたボールを前向きに拾うと、すぐさまFW高谷遼太(1年)に付け、全速力で走る。高谷のリターンを受けて一気に加速。必死に戻ってきた2人のマーカーを、完璧な切り返しで一気に外し、右足のシュートをきっちりゴール右スミへ流し込む。

「最初は左足で打とうと思ったんですけど、ちょっと流れて、切り返しました。右利きなので良い位置に置けて、それが上手く行ったので良いゴールになりました」。自身も認めるファインゴール。圧巻のドッピエッタでスコアも3-0に。後半は追い上げられたものの、4-2で勝利し、2年連続での全国出場を手繰り寄せたチームの中で、山口の得点感覚が眩く輝いた。

 実は國學院久我山には相性が良い。9月に開催されたT1(東京都1部)リーグ。試合自体は1-6と衝撃的な大敗を喫したものの、山口は豪快なミドルシュートで一矢を報いる。その時に話していた言葉も印象深い。

「インターハイはアシストばかりで、得点をどうにか決めたいということで、やっぱりシュートを打つ意識はインターハイの時より強くなりましたし、練習の時から常にゴールを目指そうという意識で練習してきました」。冒頭の決勝後のコメントとほとんど同様に、ゴールへの意識を口にしていた。とにかくこの1年間考え続けてきたことを、最高の舞台で、最高の形で、表現したわけだ。

 去年の選手権には、心残りがある。予選では活躍したものの、全国大会では3試合すべてで途中出場。出場時間は限られていた。だが、準々決勝の青森山田高(青森)戦では後半開始から投入され、一番長い時間ピッチに立ち、全国トップレベルの力を直に体感している。

「去年はベスト8まで行きながら、青森山田に負けた時は『こんなに差があるんだ』ってやっぱり悔しくて。青森山田と試合をしたのは、東京のチームだと堀越だけだと思うので、あの経験を生かして悔いのないようにやりたいですね。もう1回対戦したいです」。目標は明確過ぎるぐらい、明確だ。

 チームを率いる佐藤実監督は、彼への期待をこう語っている。「本当に最後のこの高校3年生という状況の中で、自分の持っている力、才能の片鱗を少しは見せてくれたかなと思います。でも、まだまだ足りない部分はたくさんありますし、彼が本当にサッカー選手として、人間として、もう一歩成長できるような期間になると思うので、そこは促していきたいと思います」。

 秘めているポテンシャルを考えれば、まだまだ成長の余地は十分。自ら奪うゴールの魅力に目覚めつつあるアタッカー。堀越のナンバー14。山口は全国の舞台で味わう歓喜の瞬間に、着々と照準を合わせていく。

(取材・文 土屋雅史)

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