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[MOM3675]近大和歌山MF畑下葵(2年)_“なんでもできる”若きゲームキャプテン、ロングスローで県制覇アシスト

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近大和歌山高MF畑下葵(2年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.13 選手権和歌山県予選決勝 初芝橋本高 1-3 近大和歌山高 紀三井寺陸上競技場]

 12大会ぶりの優勝を掴み取った近大和歌山高。今年のチームにおいて核となっているのは、2年生ながらゲームキャプテンを務めるボランチのMF畑下葵(2年=C大阪和歌山U-15)だ。

 決勝戦では、他の選手たちも自分の持ち味を十分に生かして素晴らしいパフォーマンスを見せていたこともあって、インターハイ予選の準決勝ほど畑下1人が圧倒的な輝きを放つとまではいかなかったが、セカンドボールもよく回収して中盤でゲームを組み立て、2点目をアシスト。苦しい時間帯や失点した後などピッチ内の選手の様子を見れば、チームを鼓舞。ゲームキャプテンとしてチームの力を存分に発揮させ、優勝に貢献した。藪真啓監督も、「ピッチ内だけでなく、ロッカーでも普段の練習でも、チームを引っ張ってくれている」畑下のリーダーシップに信頼を置いている。

 小学生までは自然豊かな県内の南部地域で育った畑下は、「山や川などで遊んできているからか運動能力が高く、学校の体育科教員たちも『あんなになんでもできる子はなかなかいない』と言っている。跳躍力やしなやかさもあるし、特にボールへの感覚が優れている」(藪監督)そうで、足を使わないバレーボールでも道具を使うテニスでも抜群に上手いという。当然そのボールへの鋭い感覚はサッカーでも生きていて、高いボールには確実に真下に潜り込んで頭に当てることができるし、相手がパスを出してきそうな位置も予測してインターセプトする。

 試合だけでなく日頃の練習でも「どんな簡単な基本的なトレーニングでも正確にやろうとするし、真剣に取り組む。練習の強度を上げているのは、畑下。サッカーへの意欲が非常に高い」(藪監督)という。昨年の決勝戦は足を負傷してスタンドで見守っていたが、意欲の高さから足をあまり動かせない時間さえも無駄にせず、ロングスローを習得してチームに戻ってきた。決勝戦での1投目も、その飛距離を見たスタンドから低く唸るようなどよめきが起こっている。実際、そのロングスローが2点目をアシストした。

 彼の最たる魅力は、高い判断力に基づくゲームを展開する力ではあるが、CKやFKでのキックの精度も高い。ロングスローだけでなく、得点源となりそうなセットプレーにおいても、彼の存在は大きい。

 藪監督が最初に声をかけたのは、畑下が中学2年生の時。「判断力が高く、ミスも少ない。小柄だっただけに今ほどのタフさはなかったものの、サッカーへの理解が高いのはプレーを見れば感じられた」と振り返る。

 畑下は、「有り難いことに他にも声をかけていただいたチームはあった」が、藪監督の話を聞いて「熱意も感じたし、直感でこの監督と一緒なら全国に行けるなと思った」ことで、近大和歌山に入学。12大会ぶりの優勝を掴み取り、直感を信じてきたことが「間違っていなかった。うれしいです」と頬を緩ませた。

 決勝戦では「奥に入れようという意識が強く、少し急いでしまった部分もあった。もっとタメを作ることもできただろうし、もう少しゲームをコントロールしたかった」と反省を口にした畑下だが、藪監督が「彼はまだまだ成長してくれると思う」と語った通り、全国大会までにまたさらに成長してくるだろう。ゲームキャプテンとして、全国の舞台でもチーム内の選手たちを生かし、勝利に導いてくれることを期待したい。

(取材・文 前田カオリ)

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