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瀬戸内は県内公式戦で今季無敗! 3年前の“挑戦者”から今年は“本命”に、地力発揮の広島制覇!

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瀬戸内高が2度目の県制覇

[11.14 高校選手権広島県予選決勝 瀬戸内高 2-1 広島皆実高 広島広域公園第一球技場]

 第100回全国高校サッカー選手権広島県予選決勝が11月14日に行われ、瀬戸内高広島皆実高を2-1で下し、3年ぶり2回目の出場を決めた。

 6月のインターハイ予選準決勝で対戦したときは3-0、その後の6月にプリンスリーグ中国で対戦したとき3-2と、今年2回の対戦で連勝している瀬戸内が、立ち上がりからボールを支配して攻め込む展開。右の佐野竜眞(3年)、左の梁俊虎(3年)の両ウイングが積極的にドリブルで仕掛けてゴールに迫るが、3年連続出場を目指す広島皆実も最後の局面では体を張って守り、決定機を作らせない。

 前半19分(40分ハーフ)、瀬戸内は左サイドでパスを受けたFW梁がドリブルでエリア内に侵入すると、対応した広島皆実の右SB入江大雅(3年)に倒されてPKを得る。しかしMF正法地大(3年)の左下へのキックを、広島皆実GK大代初芽(2年)が完璧にコースを読んでキャッチして先制を許さない。その後も瀬戸内が左SB伯野航太(3年)のオーバーラップなどを交えて押し気味に進めたが、両チーム無得点で前半を終えた。

 後半も瀬戸内が開始直後にCKを得ると、セカンドチャンスからこぼれ球に反応したFW澤田佳憲(2年)が右足で狙うが、ゴールカバーに入っていた広島皆実DF桑原大翔(3年)がクリアしてCKに逃れた。だが後半3分、このCKから再びゴール前で混戦となり、MF長谷川大貴(3年)のシュート性の折り返しを、ファーサイドでフリーとなっていた澤田がプッシュして瀬戸内が均衡を破った。

 しかし、その後の瀬戸内は自陣でのボール奪取後の判断が遅くなり、無理につなごうとして奪い返されるなどリズムが悪くなる。それに乗じて前への勢いが出た広島皆実は後半10分、敵陣の高い位置でのボール奪取からDF桑原がシュート、相手DFに当たったこぼれ球をMF大川晴琉(3年)がつなぎ、桑原が左足で逆サイドに突き刺して同点とした。

 ようやくリードしながら、すぐに追い付かれた瀬戸内にとっては嫌な展開だったが、すぐさま勝ち越しに成功する。後半13分、FW佐野の右からロングスローをFW梁がバックヘッドでファーサイドに流し、次の競り合いのこぼれ球が浮き球となってニアサイドに戻ってきたところを、DF松浦隆介(3年)がヘッドで合わせてネットを揺らした。

 その後は両チームが選手交代で攻撃の活性化を図り、瀬戸内は勝利に近づく3点目、広島皆実は再度の同点を目指す。後半29分に瀬戸内はMF越田陽輝(3年)が自陣からドリブルで一気に敵陣深くまでボールを運び、左サイドからの折り返しを受けてエリア内から左足で狙ったが、ファーサイドを狙ったシュートはGK大代の左足に阻まれた。

 終盤は広島皆実の攻勢が続いた。後半35分に交代出場直後のMF金山佳吏(2年)が左足で狙ったシュートは、相手DFのブロックに遭う。同36分には右からのセンタリングをファーサイドからヘッドで折り返し、中央でFW中谷颯太(2年)がダイビングヘッドで合わせるも、瀬戸内GK大木泰季(2年)の左足でのセーブに阻まれた。

 残り時間が少なくなってからは敵陣でパスをつなぎ、ボールをキープして逃げ切りを狙う瀬戸内に対し、広島皆実も懸命に奪い返して同点を目指す。6分と表示された後半アディショナルタイムも7分台に入った試合終了間際には、GK大代も攻め上がってFKやCKでゴールに迫ったが、瀬戸内は最後まで守り抜き、2-1で逃げ切って勝利を収めた。

 瀬戸内は2018年度大会の予選決勝で広島皆実を下し、初出場を果たしたが、当時は前年まで5年連続出場中だった広島皆実に『挑戦』する立場だった。今年は対照的に、ここまで県内の公式戦で無敗(2月の新人戦は準々決勝終了時点で打ち切り)、直接対決も前述の通り2戦2勝で、『本命』として臨んだ一戦。田中健二郎監督は「ちょっと意識してしまったのか、攻撃がいつもより速く、攻め急いだ感じで、攻め疲れしたのが終盤に影響した」と振り返ったが、決勝特有の緊張感にのみ込まれそうになりながらも、最後は地力を発揮して出場権を獲得した。

 3年前は初出場ながらベスト4進出。現在の3年生は、その姿を見て翌春に入学してきた。そのうちの一人、主将のFW梁は「個人的にも、チームとしても、見ている人にすごいな、と思わせるプレーをしたい。ベスト4という結果を超えられるように頑張っていきたいです」と、偉大な先輩を超える活躍を誓った。

(取材・文 石倉利英)
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