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「頭にずっとあったと思う」敗戦…“チャレンジャー”長崎総科大附がリベンジ達成で全国へ!!

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長崎総合科学大附高が2年ぶり8度目の選手権へ

[11.14 選手権長崎県予選決勝 創成館 0-2 長崎総科大附 トラスタ]

 第100回全国高校サッカー選手権長崎県予選は14日、トランスコスモススタジアム長崎で決勝を行い、長崎総合科学大附高創成館高を2-0で下し、2年ぶり8度目の選手権出場を決めた。

 昨年度と同一カードとなった長崎県予選決勝。1年前は1-0で制した創成館が初の全国行きの切符を手に入れ、長崎総科大附の選手権連続出場は「4」でストップした。そして、長崎総科大附は当然この敗戦を忘れてはいなかった。小嶺忠敏監督は「選手たちには、それが頭にずっとあったと思う」と語り、キャプテンマークを巻く児玉勇翔(3年)は「絶対に優勝しないといけない」と話したように、リベンジマッチへと臨んだ。

 立ち上がりからボールを保持したのは、その長崎総科大附。最終ラインの児玉、DF原口玖星(3年)、そして背番号10を背負うMF別府史雅(3年)が鋭いサイドチェンジを繰り返し、創成館を揺さぶる。ボールを受けたサイドハーフのMF芦高佑(3年)とMF石山風吹(3年)が果敢に仕掛け、両SBのDF大谷幸希(3年)とDF平山零音(1年)も高い位置をとってサポート。序盤から攻勢をかけた。

 しかし、GK永田健人(3年)を最後方に構え、DF西元準也(3年)らが体を張る創成館守備を崩し切るには至らない。前半12分にはMF竹田天馬(2年)からパスを受けたFW西岡紫音(2年)、同31分には別府、竹田とつないだボールから再び西岡がフィニッシュに持ち込むも、ともに永田の守備範囲に飛んでしまった。

 押し込まれる時間が続きながらも耐える創成館。ボールを奪えど、素早い攻守の切り替えですぐさまボールを回収しに来る長崎総科大附の網に捕まって攻撃権を失った。しかし、ボランチの位置に入るMF村田颯(3年)が積極的に絡んでリズムを生み出すと、前半30分以降は敵陣までボールを運ぶ回数を増やしていく。最前線に入るFW市場雄士(3年)が粘り強くキープし、後方に位置するFW岡優希(3年)、FW山崎雄貴(2年)らと絡んで守備網を突破しようと試み、同36分には市場が果敢にシュートを放つなど、徐々に盛り返して前半を終えた。

 押し込みながらも得点は生まれず、ゴールを脅かされる場面も作られた長崎総科大附だったが焦りはなかった。児玉が振り返る。「相手にボールを握られる時間帯は絶対にあると思っていた。そういうときにボランチや最終ラインが、『もう少しラインを上げよう』『ボールを奪ったら大切に』と声掛けできていた」。

 そして、0-0のまま迎えた後半10分についに均衡を破る。左サイドを一気の加速で突破した芦高の弾道の低いクロスをボランチの位置から攻め上がったMF高良陸斗(3年)がダイレクトで合わせてネットを揺らし、スコアを1-0とする。同14分には創成館にチャンスが訪れ、DF角松昂樹(3年)のロングパスから最終ライン裏に抜け出した山崎がGK亀井一起(2年)との1対1を制してネットを揺らすが、これはオフサイドの判定に取り消された。

 すると、ここから創成館が猛攻をかける。左サイドを自慢のスピードで切り裂く芦高が幾度となくチャンスメイクし、平山が蹴り出すCKからFW甲斐龍太郎(3年)や原口がヘディングシュートでゴールを脅かす。そして、終盤を迎えても衰えない運動量を示し、前線からのプレッシングを怠ることなく続け、創成館から自由を奪い取る。この守備には最終ラインに構える児玉も「本当に助かっている。前線が頑張ってくれるので、僕たちは蹴られたボールに対して、うまく処理できている。前線の選手には感謝している」と仲間に感謝を示している。

 そして、後半アディショナルタイムにはダメ押しゴールを奪取。再三好機を生み出していた芦高との連係からPA内に侵入したFW牧田陽太(3年)が強烈なシュートを放つと、クロスバーを叩いてこぼれたボールに反応した西岡が蹴り込み、試合を決定付けた。2-0の完封勝利を収め、昨年度のリベンジを達成。小嶺監督は「得点はもう少しほしかったけど、創成館の勢いもあった。そう考えると冷静に戦えた」と全国行きを決めた選手たちを労った。

 全国行きを決めて「ホッとしています」と安堵の表情を見せた児玉は、「僕らは王者じゃない。チャレンジャー精神でやってきた。それが今回の選手権予選にもつながった」と昨年の悔しさを糧に成長してきたチームの一年間の歩みを振り返った。

 2年ぶりに挑む選手権の舞台。児玉は「攻撃に関しても、守備に関しても、相手よりも走力で上回れるのは日頃から意識しているので、そういう部分を全国でも見てほしいし、チャレンジャーの意識で全国に臨んでいきたい」と意気込めば、指揮官も「全力に悔いなしという戦いをしたい」と語ったように、ピッチ上で100パーセントを発揮するために最善の準備を進めていく。

(取材・文 折戸岳彦)
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