beacon

[MOM3681]中部大一FW中嶋晃成(2年)_ワンチャンスで愛知制覇弾! 若きエースは岡崎慎司を目指す

このエントリーをはてなブックマークに追加

中部大一高FW中嶋晃成(2年/11番)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.14 選手権愛知県予選決勝 名古屋高 0-1 中部大一高 港サッカー場]

 選手権初出場を果たした中部大一高が予選の6試合で奪ったゴールは、13。そのうち6つのゴールを決めているのが183cmの大型FW中嶋晃成(2年)だ。1試合で複数の得点をマークする固め取りではなく、準々決勝の刈谷高戦を除く全試合でゴールネットを揺らしてきた安定性も、粘り強い守備からワンチャンスを狙うチームにとって大きかった。

 名古屋高に挑んだ決勝でも、2年生エースはしっかり仕事を果たした。相手に押し込まれる時間帯が長かった前半は、「前線に来た時は時間を作って、一つの攻撃を成立させようと意識していた」ものの、ハーフコートに近い状態で押されていたため、思うようにボールが来ない。彼のボールに入っても、押し込まれている状況ではポストプレーに反応できる味方が傍にいなかった。ならばとスペースへの飛び出しを狙っても、カバーに入ったGKが出てきてクリアされ、シュートまで持ち込めない。

 思い通りに行かない時間が続いたが、苦戦するのは想定内。他の選手同様に、前半を0-0で終えられたことを前向きに捉えていた中嶋は、「1個ギアを上げよう、自分たちはゼロで守っているので、そこは自信持って勢いを持っていこうと後半に入った」という。後半開始直後には、MF大嶽匠矢(3年)の左クロスに対して、ゴール前で反応。ボールは、頭上を大きく逸れたが、「出だしのプレーで勢いが付いた」。

 すると、後半4分には念願のチャンスが訪れる。右サイドでボールを奪ったMF利田敬介(2年)がカットインから、ゴール前にスルーパス。タイミングよく抜け出した中嶋は、「利田の良いパスが転がってきて、後はGKをよく見て流し込むだけという感じでした」と冷静に先制点をマークした。以降は再び思い通りのチャンスは訪れなかったが、相手エリアにボールが入れば、フリーランをして、チームメイトが活きるスペースを演出。決勝点となったゴール以外での貢献度も高かった。

 少ないチャンスをきっちり物にし、ストライカーとしての素質を感じさせた中嶋だが、中学2年生まではDFとしてプレー。中学3年生になったタイミングで、急激に伸びた身長を買われて、FWにコンバートされたが、DFへの未練があったため、コーチに志願し、兼任を続けた。

 本格的に転向したのは、高校に入ってから。その際も、DFでのプレーを望み、伊藤裕二監督に「なぜ、僕をFWで使うのでしょうか?」と転向理由を聞きに行ったこともある。だが、それでも監督の以降は変わらなかったため、「割り切ってFWで頑張ってみようと思った」。覚悟を決めてからは、慣れないボールキープに苦労する分、ポストプレーには人一倍気を遣いながらプレーした。また、ターゲット役としてスペースへの飛び出しも意識してきた点だ。

 そうした努力が、今予選でのゴールラッシュに繋がった。結果が伴った事で、ストライカーとしての自信も生まれてきた。「これからもFWとして使われると思うので、一つひとつのプレーの質とか決定力というのは、練習から意識していきたい」。理想像として挙げるのは、元日本代表の岡崎慎司で、「ガムシャラに戦うような粘り強く泥臭いFWになりたい」とも口にする。望外と言える優勝を掴んだ予選に続いて、全国でも歓喜を呼び込めるかは身体を張り、スペースに走り、ワンチャンスを狙い続ける彼の活躍にかかっている。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2021
▶高校サッカー選手権 地区大会決勝ライブ&アーカイブ配信はこちら

TOP