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近大和歌山は後半流れ変えるも報徳学園に惜敗。「もう、やるしかない」という気持ちで強豪との選手権初戦へ

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近大和歌山高の10番MF北藤廉は選手権での打倒・流経大柏高を誓った

[11.20 プリンスリーグ関西プレーオフ1回戦 報徳学園高 2-1 近大和歌山高 J-GREEN堺]

 22年の高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ関西参入を懸けたプレーオフ1回戦が20日に開催され、選手権和歌山県代表の近大和歌山高報徳学園高(報徳学園)に1-2で敗れた。

 近大和歌山にとっては12年ぶりの選手権出場を決めてから7日。選手権初戦の対戦相手が強豪・流通経済大柏高(千葉)と決まり、トレーニングへのモチベーションは高かったという。だが、この日の試合は上手く入ることができなかった。

 前半のシュート数は3対9。前線に素早くボールを入れてくる相手に苦戦し、前半35分には素材感あるFW坂元一渚璃(2年)にファインショットを叩き込まれてしまう。直後には怪我を抱える大黒柱のMF畑下葵(2年)が大事を取って交代。CB荒木宏心主将(3年)を中心に何とか1失点で切り抜けたものの苦しい前半だった。

 それでも、10番のMF北藤廉(3年)が「前半、自分らが全然思ったようなサッカーができなくて、相手も思っていた感じと違ってそれで引き気味なっていた。後半は全員で思い切ってやろうと」という後半は、立ち上がりから思い切りの良い攻守で流れを変える。

 特に左サイドの北藤がワンツーなどから得意のドリブルを連発。簡単には止まらず、最前線では和歌山県予選で4戦連発のストライカー、FW藤木皇成(3年)が強さを発揮する。MF石垣諒大(3年)がバランスを取りながら全体が丁寧にビルドアップし、左右からワンツーなどのパス交換を交えた攻撃を連発。決定機も作り出していたが、報徳学園GK櫻井啓太(3年)に阻まれるなど同点に追いつくことができない。

 逆に隙を突かれる形で坂元のアシストからFW久冨陸斗(3年)に抜け出され、左足シュートで失点。直後にMF田井寛務(3年)のFK後の混戦から左CB森本一平(2年)が追撃ゴールを決めたが、2点目を奪うことはできなかった。

 北藤は「自分が剥がして点を取ろうと思っていたんですけれども、取れなかったです」と無念の表情。また、藪真啓監督も「(選手権予選優勝直後で)気持ちのところがちょっと難しかったな、というところがあった。(前半の内容が悪く、)後半のように自分たちの目指していることができたら、もうちょっと状況は変わったかなと。選手権の決勝超えて、成長も感じるし、できるようになってきているところもあったので、残念といえば残念」と語った。

 近大和歌山は和歌山県1部リーグで優勝。大会規定により、来季のプリンスリーグ関西2部へ参入する可能性は高そうだが、目標とするプリンスリーグ関西1部には届かなかった。それでも、この敗戦を糧に選手権へ。例年はマジメで粘り強く戦える選手が多いという近大和歌山だが、藪監督が「割と明るくアグレッシブな子が多くて、好戦的と言うか、戦える選手が多いです」という選手たちが強豪に挑む。

 藪監督はこれまで和歌山で勝つため、宿敵・初芝橋本高を乗り越えるために準備しすぎる部分があったようだ。過去8年で6度準優勝。それでも、今年は力みすぎることなく、良い意味で選手たちに託した部分も功を奏し、選手権切符獲得した。

 その指揮官にとって、流経大柏の榎本雅大監督は国士舘大時代の先輩。「練習のことやサッカーの考え方とか教えてもらっていた。(コロナ禍以前は遠征で)毎日食事連れてもらってという関係です」という仲。藪監督は「子供ら喜んでいて。一発目なので僕らはプレッシャーないし、向こうは負けられない。そこを突ければ」と微笑む。

 北藤は「もう、やるしかないという気で。みんな勝つ気でいます。負けたら終わりなので、自分が今までやってきたことを、全部出すという。しっかり繋いで、サイド入ったら仕掛けてということをして、点取って勝ちたいです」と意気込んだ。和歌山県代表は9年連続初戦敗退中。今回の予選決勝で立ち上がりから初芝橋本を飲み込むような戦いで壁を超えた近大和歌山が、流経大柏に食らいつき、また壁を破る。

(取材・文 吉田太郎)
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