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初選出のFW松原史季がU-16日本代表候補初ゴール!武南高の小さな1年生10番が挫けずに爪痕残す

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前半45+1分、U-16日本代表候補FW松原史季(武南高)が右足ループシュートで先制点

[11.26 Jヴィレッジドリームカップ U-16日本代表候補 3-1 U-16福島県選抜 Jヴィレッジ]

 年代別日本代表候補初選出のFW松原史季(武南高)が爪痕を残した。0-0で引き分けた初戦(25日)から第2戦で大きくメンバーを入れ替えたU-16日本代表候補は、松原を先発起用。その松原が前半アディショナルタイムに先制点を叩き出した。

 前半20分過ぎの飲水タイムでFW小田晄平(昌平高)と「コミュニケーションを多く取ろう」と確認。それまでは動きが被ってしまう部分もあったが、お互いの動きを見ながら足元で受けたり、裏へ抜け出したりしながらボールに絡む回数を増やして攻撃のリズムを生み出していた。

 そして45+1分、右中間でMF橋本陸斗(東京V)がボールを持つとPAへ抜け出し、右足ループシュートでゴールを破った。「小田君の状況を見て自分が背後に抜けた方が良いと思ったので。あと、橋本君がボールを持ったら出てくると信じて走ったので、そこに良いボールが来て、最後は落ち着いて決められました。(ボールは)自分が思ったよりもGK寄りだったので、つま先で少し浮かせることしかあそこは頭に無かったです」。ゴールを確認すると両手を広げて笑顔。そこにチームメートたちが一斉に駆け寄り、162cmの小さなFWを祝福していた。

 代表常連組も代表歴の浅い選手も一緒になって喜んだ初ゴール。「初招集で、今大会チームでも初得点で嬉しかったです。大会前のトレーニングとかは初招集ということもあって、チームにはあまり溶け込めていなかったというのがあったので、こうやってゴールを決めて、みんなと喜びを分かち合えたのは個人的に良かったです」と微笑んだ。

 松原は埼玉の伝統校・武南で1年生ながら10番を背負う期待の星。浦和レッズジュニアユースでは左SBとして先発していたが、ユースチームに昇格することができなかった。それでも「ずっと見返したかった」という松原は強いメンタリティーを持って公式戦などで奮闘。その姿を代表チーム関係者が見て、報告を受けた森山佳郎監督も選手権予選の映像をチェックしたという。

「代表スタッフも見に行ったんですけれども、なかなか面白いと聞いて。アイディアというか、人にないゴール前のクオリティがあったので選んでみたいと思わせてくれる選手でした」(森山監督)。その松原は武南の内野慎一郎監督(元U-17日本代表)から代表候補選出を伝えられた際のことを苦笑しながら明かす。

「監督から休み時間に呼び出されて、『招集されたよ』みたいに握手されて、『何に?』と思いながら、そのときは頭真っ白で。監督と話した時はまだ冷静だったんですけれども、教室に戻った時に嬉しさよりも不安が勝っちゃって、『付いていけるかな』という思いの方が強かったですね」。友人との“ネタ”で「入っちゃうんじゃない?」のようなやり取りは以前からしていたというが、本人にとっては“まさか”の初招集。実際、合宿に参加してからは自分の力不足を感じる部分もあったようだ。

「パス、トラップ一つにしてもみんなと全然レベルが違っていて、そういうところは練習で慣れていくしかないと思っていました」。森山監督から助言されたように、一つ一つのプレーを大事に、スピード感に慣れることを意識。25日の初戦は強烈なシュートを打ち込んだ一方、技術ミスや判断ミスが多く、「ヤベえ」「ゴメン」という声も発していた。

 それでも、挫けずに準備して結果を出したことはとても大きい。「今までのゴールと少し違う感覚というか、代表でのゴールは自分としても普段のゴールよりも倍嬉しくて、自チームに戻ってもこういう経験はみんなに伝えないといけない。これを機に自チームでも習ったことを発揮できたらと思っています」。この経験を数日間で変わったFWが、さらに変化して代表チームでも、武南でもより輝く。

(取材・文 吉田太郎)
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