beacon

「僕は失敗した人間」12年ぶりJ1昇格の京都チョウ・キジェ監督が関わったチームは1年で「チャレンジできる集団」に生まれ変わる

このエントリーをはてなブックマークに追加

会見に臨んだチョウ・キジェ監督

「チャレンジするチームを作っていただいた」。28日に都内で行われた京都サンガF.C.の12年ぶりとなるJ1昇格会見で、伊藤雅章社長は今季より指揮を執ったチョウ・キジェ監督へ感謝の言葉を述べた。

 実は数日前にも同じような言葉を聞いた。11月13日、関東大学サッカーリーグ1部で優勝した流通経済大の中野雄二監督も「再びチャレンジできる集団にしてもらった」と感謝を語った。チョウ氏は昨年、研修という形で2部リーグを戦った流経大を指導。関わったチームはいずれも1年で、「チャレンジ」できる、そして「闘える集団」に生まれ変わった。

 劇的な変化だ。過去には松井大輔やパク・チソンらを擁して天皇杯を優勝。リーグ戦ではJ1とJ2を行き来する“エレベータークラブ”の印象もあったが、2011年にJ2に降格して以降はエレベーターにすらなれない低迷期を過ごしていたが、そんなクラブをチョウ監督は1年で見事に立て直した。

 チョウ監督自身にとっても「チャレンジ」の場となっている。12年から湘南ベルマーレで監督を務めたチョウ氏は、18年についにルヴァンカップを制して監督としての評価を不動のものにした。しかし19年夏、選手やスタッフに対するパワーハラスメント(パワハラ)が明らかとなり、事態は一変。1年間の指導者資格停止処分となり、名声が地に落ちた。

「成功と失敗という言葉が世の中に相対したものであるのであれば、僕は間違いなく失敗した人間。その中で何をしないといけないかと向き合った時に、失敗から目を背けてがいけない。その失敗から何を学んでどう立ち上がるかを考えて、大学生の指導にも携わってきた」

 チョウ監督の接し方に選手らも心酔する。FWピーター・ウタカは「監督はメンタリスト。すべての選手の良いところを引き出すことに長けている監督だと思う」と表現。FW宮吉拓実は「ゲームに向けて最善の準備をする中で、今季は目の前の練習を大切にという気持ちで取り組めた」と例年との変化を語った。

「選手の成長を応援するというスタンスを変えずに取り組んできた。自分一人でできないということを失敗から学んだつもり。自分のやるべき仕事以外の細かい部分は、コーチングスタッフに任せた方が船がスイスイ進む。情けないけど、それは湘南時代に気づかなかったこと。ただ今のマネジメントがすべて正しいとも思わないし、結果が出たからそれでいいわけではない。足りないところを反省して、選手やスタッフと進んでいくことが大事だという気持ちです」

 自らの手腕に間違いがないことを証明したチョウ監督だが、あくまでもJ1昇格は「通過点」であることを強調する。「自分は指導者としても人としてもまだまだ足りないなと痛感する毎日。結果を出してくれたことは選手の努力の賜物です。あくまでもJ1昇格は通過点になるべき。世界のサッカーは進歩しているが彼らに追いつけ追い越せのチームになってほしい」。次はJ1で戦えるチームに。チャレンジを止めることのないチョウ監督が、京都に新たなチャレンジ精神を植え付けていく。


★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2021シーズンJリーグ特集ページ
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

TOP