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[MOM3690]三菱養和SCユースFW依田悠希(2年)_後半43分に投入されたスピードスターが、まさかのヘディングで同点弾の大仕事!

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今季のホーム最終戦で貴重な同点弾を挙げた三菱養和SCユースFW依田悠希

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.28 高円宮杯プリンスリーグ関東第17節 三菱養和SCユース 1-1 前橋育英高 三菱養和会 巣鴨スポーツセンターG]

 ピッチに送り出されたのは後半43分。残された時間はわずかに5分ぐらい。やるべきことは明確だった。

「『自分でボールを持ったら行け』と。『ドリブルで仕掛けていいし、どんどん裏を狙っていけ』という指示をもらっていましたし、『自分の長所のドリブルを生かして、絶対点を決めてやるぞ』と思っていました」。

 3年生のために、ゴールを決める。覚悟を持ってピッチに入った三菱養和SCユースFW依田悠希(2年=三菱養和SC巣鴨ジュニアユース出身)に、最後の最後で千載一遇のチャンスが巡ってくる……。

 勝利だけが、12月のプレミアリーグプレーオフ進出への可能性を繋ぐ一戦。2位の前橋育英高(群馬)と激突したゲームは、前半に先制を許すと、後半は攻め続けるものの、なかなかゴールを奪えないまま、時計の針が進んでいく。

 ベンチ脇でウォーミングアップを続けていた依田に、声が掛かる。1点のビハインド。もう時間が多く残されていないことは十分理解していた。「今年の3年生は自分たちを引っ張ってくれて、今の自分たちがいるのも3年生がいるからで、彼らがいなければチームもこんなにきっちりできていないので、本当に感謝しかないんです」。3年生と、まだサッカーを続けたい。強い想いを携えて、戦い慣れたホームのピッチへ走り出す。

 45+1分。自ら左サイドでのキープで時間を作り、DF西久保駿介(3年)が右サイドへ繋ぐと、受けたMF須藤太一(3年)は持ち替えた左足で正確なクロスを送り込む。

「クロスが上がってくるタイミングまではキーパーも見えていたんですけど、シュートを打つ時はキーパーもゴールも全然見えていなくて、もう本当に気持ちでねじ込んだみたいなゴールでした。クロスもメチャメチャ良いボールで、合わせるだけという感じでしたね」。ファーから飛び込んだ依田のヘディングが、ゴールネットを激しく揺らす。

「あまりヘディングで決めたことはないですけど、凄く良いゴールだったと思います。メチャメチャ完璧でした。しっかりふくらんで、相手の背後を取って、しっかり決められたので良かったですね。ゴールが入った瞬間は集中し過ぎていて、あまり覚えていないんですけど、メッチャ気持ち良かったのと、もう1点絶対獲ってやるという気持ちでした」。

 勝利にはもう1点が必要。喜びもそこそこに、すぐさま自陣に戻って次のゴールを奪いに行く姿勢をチーム全体が打ち出す。結果的には勝ち越すまでには至らず、1-1のドロー決着。だが、「本当にみんなで獲ってくれた1点だなと思いますね。嬉しかったですし、アレがもうちょっと早く来ればとは思ったんですけど、それでも1点獲れるかどうかはチームとしても大きいことですし、そこからの残り何分かも諦めずにもうワンチャンスという勝負に行ける1点でもあったので、彼らは本当に最後まで一生懸命やってくれたなと。褒めてあげたいなと思いますね」と庄内文博監督も話したように、依田が奪ったゴールには、このグラウンドで日々を積み重ねてきたチームの意地が詰め込まれていた。

 実はこのゴールが、依田にとっては今シーズンの公式戦初ゴールだったという。「スクールには小5から通っていますけど、養和に入って本当に一番か二番ぐらいに良いゴールでした。遅い初ゴールにはなってしまったんですけど、次の試合や来年に向けての大きなゴールになったと思います」。大事な試合で手にしたゴールと経験が、今後の大きな糧になることは疑いようがない。

 この日は珍しいヘディングで輝いたが、自信を持つプレーは他にある。「自分はスピードを生かした感じのドリブルが得意です。緩急で抜くという感じですね。参考にしているのは三笘選手で、よくプレーを見ています」。

 養和が誇るスピードスター。ようやくゴールの喜びを味わった依田が、これからどういう形でプレーの幅を広げていくかは、非常に楽しみだ。

(取材・文 土屋雅史)
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