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“個人昇格”して日常変えたMF矢田龍之介が精度、判断の速さで違いも。世代の中心選手としてU-17W杯4強以上へ

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U-15日本代表候補で特に存在感を示したMF矢田龍之介(1FC川越水上公園)

[11.30 練習試合 U-15日本代表候補 0-2 浦和ユース 高円宮記念 JFA夢フィールド]

「U-16からU-15に来ているので、違いを見せなきゃいけないというのもありますし、あと自分の強みであるところを出さないといけない。チームとしてのリーダーシップも取って自分が先頭に立ってやっていくことは意識しています」。

 今年5月にU-16日本代表候補へ初選出されて以降、MF矢田龍之介(1FC川越水上公園)は継続的に1歳年上の代表候補チームでプレーしてきた。同世代のU-15日本代表候補に選出されたのは、今回の夢フィールド合宿が初。意欲的に、また全力で目の前の練習、試合に取り組んでいる矢田は、この日の練習試合で一段階上と言えるような動きを見せていた。

 結果は0-2で敗戦。「すごく悔しい結果」と納得はしていない。それでも、「個人としては、ボールを持った時に長い距離と短い距離のパスの使い分けをしながらゲームを作れた」と振り返る。

 U-15日本代表候補は浦和ユースにボールを握られる時間が増え、奪い返しても攻め切る前にボールを失ってしまっていた。なかなか攻撃する時間を増やすことができなかったが、矢田のところにボールが入ると、一際速い判断、トラップ、パスによって味方へ。スッと胸を立てて遠くを見ることを意識するボランチは、局面を変えるパスや、前方へつけるパスで攻撃の中心になっていた。

 U-16日本代表候補合宿に参加し、日常を変えられたことがプレーに表れているようだ。矢田は「U-16に行ってからプレッシャーのスピードも全然速いので、まず視野を確保して見ることと、ここ数か月でファーストタッチの位置とか止め方とか意識していたので、止めてからが速くなったので判断も速くなったんじゃないかなと思います」と分析。“個人昇格”して感じた課題に取り組んできた成果を同世代の代表チームで印象づけた。

 中学進学時にJクラブアカデミーのセレクションで落選。街クラブの1FC川越水上公園(埼玉)へ進んだ。「落とされたときは本当に悔しかったので、中学校入ってから受かったやつらよりも努力をしてやろうという気持ちがありました」という矢田は、「コーチが人格ということを大事にしていて、人間としてしっかりしないといけないこととか、挨拶とかは凄く求められますし、サッカーの面だと足元の技術とか個を重点的に上げてくれる」環境の中で人間として、選手としても大きく成長。培った力を今後も伸ばして世代の中心プレーヤーとして世界で活躍する意気込みだ。

 06年以降の選手たちで構成されたU-15日本代表候補は23年U-17ワールドカップを目指すチームだ。矢田は「ワールドカップを目指す中で自分はこのチームでは中心になってゲームを作ったり、引っ張っていかなければいけないと思っていますし、このレベルの高いチームの中でも違いを見せつけていかないといけないとダメだと思っています。ワールドカップではベスト4以上を達成したい」と宣言。この日は味方と声を掛け合いながらスペースを埋めようとしていたが、守備面での課題がまだある。また、武器もより上のレベルで通用する力に変えなければならない。満足することなく、人間として、選手としてライバルたち以上の成長を続けて06年生まれ世代を引っ張る。

(取材・文 吉田太郎)

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