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負けず嫌いと向上心の塊。FC東京U-18MF梶浦勇輝は自分を信じて、プロサッカー選手の道を歩み出す

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トップ昇格内定のFC東京U-18MF梶浦勇輝

[12.5 プレミアリーグEAST第18節 FC東京U-18 0-2 青森山田高 FC東京小平G]

 プロサッカー選手になるのであれば、まだまだ足りないものが多いことは自分が一番よく分かっている。もっと上手くなりたい。もっと強くなりたい。その想いが、いつだって推進力になってきた。

「今年は結構昇格する選手が多いということで、自分にとってもライバルが多くなっていきますし、ジュニアユースやユースの時は試合に出させてもらっていた中でも、ここからなので、どんな状況になっても自分を見失わないで、言い訳も絶対にしないで、絶対に自分を信じてやっていきたいですし、FC東京を代表できるような選手になりたいですね」。

 FC東京U-18のナンバー14。MF梶浦勇輝(3年=FC東京U-15深川出身)は多くの人の期待をしっかりと背負って、トップチームへと飛び込んでいく。

「悔しかったという想いしかないですね」。終わったばかりの試合を振り返って、唇を噛み締める。プレミアリーグEASTで首位を走る青森山田高(青森)と対峙したホームゲームは、限定付きの有観客試合。サポーターも観戦する中で行われた一戦だったが、結果は0-2の完敗。難しい90分間を強いられた。

「そんなに相手と差があるとは個人的に感じなかったですけど、相手の方がどんどん追い越していくところとか、コンビネーションが上手かったですね。それで2失点ともやられましたし、自分たちはそこで運んで行った後のアイデアがなかったので、もう1個押し込むところまで行かなかったのかなと思います」。攻撃面ではシュートもゼロに抑えられ、チャンスらしいチャンスはほとんど作れなかった。

 相手のドイスボランチはともにプロ入りが決まっている2人。もちろん意識せざるを得ない選手たちだ。「(松木)玖生だけじゃなくて、(宇野)禅斗も注目されていて、今日は『自分の方がやってやる』という気持ちでやりましたけど、ボールを持って運ぶ役割は自分の方ができていたと思います。もちろん負けたくない気持ちはありますね」。この言葉にも強気なメンタルが滲み出る。確かにこの日の梶浦は、アグレッシブなドリブルに何度もトライ。チームを牽引していこうという気概は十分に窺えた。

 今シーズンはキャプテンのMF安田虎士朗(3年)が欠場する試合では、梶浦が腕章を巻くことも多かった。もともとU-15深川時代はキャプテンを務めていたリーダー肌。この経験は自らの幅を広げる意味でも、大きな効果があったようだ。

「ジュニアユースの時のキャプテンとはまた違う感じでしたね。ジュニアユースの時は試合中に周りに気を配ったりというのは全然できていたんですけど、今年はずっと忠さん(中村忠監督)が自分をゲームキャプテンとして使ってくれたことで、やっぱりユースになるとプレースピードが速くなる分、自分のプレーにも集中しないといけないので、周りのことにももっと気を配らないといけないと思わされました」。

「特に試合の終盤になってくると、まだ自分で『ああ、今は声が出ていないな』ということもありました。でも、それを感じてから言うのでは遅いので、そういうところで常に声を出し続けることも1つの才能だと思いますし、キャプテンかどうかは関係なく、ボランチでプレーするのであれば、もっと周りに気を配らないといけないなとは思います」。基準も、志も、高く。その思考は昔から何も変わっていない。

 今の自分の立ち位置は把握できている。ここからが勝負。立ち止まっている時間はない。「試合を決めるラストパスだったり、しっかり自分が思ったところにボールを止められるとか、左右両足を自由に使えるとか、キックの1つ1つとか、まだ全然トップチームでやるには足りていないですし、そういうものを全部持っていないと、プロでは活躍できないですよね。最後の試合が終わった後にも1か月ぐらい時間があるので、そこでももっと成長したいですね。自分はもう下から這い上がるだけなので、やるしかないと思っています」。

 小柄な身体に詰め込んだ“負けず嫌い”と向上心。FC東京を代表する選手へ。確かな覚悟を携えて、梶浦はプロサッカー選手として新たな道を歩み出す。

(取材・文 土屋雅史)
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