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京都産業大、30年ぶりインカレ出場で初戦突破!!「今岡が出てくると周りの力が湧いてくる」途中出場の主将が劇的延長決勝弾

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FW今岡陽太主将(4年=大阪桐蔭高)が決勝ゴール

[12.8 全日本大学選手権1回戦 京都産業大 2-1(延長) IPU・環太平洋大 浦安市]

 第70回全日本大学サッカー選手権(インカレ)が8日、首都圏各地で開幕した。浦安市陸上競技場での1回戦第2試合は、30年ぶりの出場となった京都産業大(関西2)がIPU・環太平洋大(中国)を延長戦の末に2-1で撃破。2回戦では初戦シードの筑波大(関東6)と対戦する。

 関西学生リーグ1部で2位躍進を果たし、30年ぶりのインカレ出場権を掴んだ京都産業大。しかし、悲願の大会初戦は苦しい立ち上がりとなった。

「背負うものが勝手にデカくなってしまって、30年ぶりとか、周りの期待とか、今まで関西では残留争いをしていたチームなので。それがいきなり2位になって、世界が変わってしまったような感覚。その中でついていけていないような部分があるかもしれない」

 白井淳監督がそう振り返ったように、序盤から風上を取ったIPUの攻撃に押し込まれる形が続くと、相手のクロス攻勢から決定的なピンチが続発。そうして迎えた前半7分、クリアボールが中途半端になったところからDF河野聖亜(1年=蒼開高)につながれ、MF紙元大翔(2年=徳島商)の果敢なミドルシュートで先制点を喫した。

 その後も「いつもどおりに思い切りの良いプレーが出ていなかった」(白井監督)というチームは停滞感を打破することができず、前半20分すぎからようやく訪れ始めたチャンスもFW原田烈志(3年=G大阪ユース)のシュートが不発に終わる。さらに同32分には、最終ライン裏へのフィードからFW松久保拓斗(2年=駒大苫小牧高)に抜け出され、決定的なピンチ。GK田中颯(4年=東京Vユース/徳島内定)のスーパーセーブでなんとか難を逃れたが、嫌なムードのまま後半を迎えた。

 しかしながらハーフタイムが明けると、風上エンドに回ったこともあり、両ウイングのMF中野歩(2年=G大阪ユース)とMF福井和樹(2年=G大阪ユース)を中心とした攻撃が活性化。積極的にボールサイドに顔を出すMF食野壮磨(2年=G大阪ユース)も良い形でボールを触れられる機会が増え、徐々に主導権を握っていった。

 ところが後半6分、IPUはMF鍜治川友貴(4年=米子北高)のクロスにDF本田昂慎(4年=長崎U-18)が反応するビッグチャンス。だが、ここでも再び田中がスーパーセーブを見せ、かろうじて失点を阻む。IPUは同9分にも河野とのパス交換から抜け出した松久保が惜しいシュートを放ち、得点の予感を漂わせていた。

 それでも後半19分、次にスコアを動かしたのは京都産業大だった。左サイドを攻め上がったDF吉木大喜(3年=G大阪ユース)からのパスを中野が受けると、カットインから右足を一閃。真っ直ぐな弾道でゴールネットに突き刺した。

 そこからは京都産業大が圧倒。後半22分、またも吉木のパスから中野が惜しいシュートを放つと、後半終了間際には原田、福井が次々に決定機を作り出す。だが、IPUもGK轟大和(2年=飯塚高)がハイパフォーマンスを発揮し、ゴールは割らせない。結局、そのまま規定の90分間を終え、勝負の行方は延長戦に委ねられた。

 延長戦は一進一退の攻防で、IPUは大型ボランチのMF曽田一騎(4年=大社高)、京都産業大は途中出場のFW今岡陽太主将(4年=大阪桐蔭高)が互いに見せ場を創出。京都産業大は延長後半9分、原田のクロスに対する相手のクリアボールがポストに当たり、跳ね返りを中野が押し込むもハンドを取られるというゴールに肉薄する場面もつくった。

 そして延長後半11分、ついに試合が動いた。京都産業大は吉木の縦パスを食野が受けると、左足でグラウンダーのスルーパスを供給。これに抜け出した今岡がGKと1対1のチャンスを迎えた。今岡は冷静にGKと駆け引きし、絶妙な間合いで右足シュート。これがネットを揺らし、試合を決めるドラマチックな決勝点となった。

 30年ぶりのインカレ出場の重圧に苦しみながらも、指揮官に「常に自分のことよりも人のことを優先する」「今岡が出てくると周りの力が湧いてくる」と絶賛される主将の一撃で勝利した京都産業大。そんな勢いあるチームを2回戦で待ち受けるのは、5大会連続39回目の出場で過去3度の優勝を誇る筑波大だ。

 2回戦は土曜日に開催されるため、控え部員も応援に訪れる予定。「関西の代表として来たのでなんとか1回戦突破したいという思いと、関東勢とやりたいというと思いがあった。また次の試合から京都に残っているメンバーが応援に来られるので、力になると思う」。そう笑顔を見せた白井監督は「今日でなんとなく大会に慣れたと思うので、本来の力をしっかりと出せるようにしたい」と大物食いに意気込んだ。

(取材・文 竹内達也)
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