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札幌大は雨中のインカレ初戦で屈す…J内定2選手は悔しさを抱え、プロの舞台で活躍誓う

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長野内定MF高橋耕平(左)と八戸内定MF野瀬龍世(4年)

[12.8 全日本大学選手権1回戦 びわこ成蹊スポーツ大 4-1 札幌大 中台]

 全日本大学サッカー選手権(インカレ)が8日に開幕。大学日本一を決める大会は初戦から大雨の中で行われた。札幌大びわこ成蹊スポーツ大に1-4で敗戦。先制したものの、逆転を許し、早々に大会を去ることになった。

 札幌大の指揮官は、OBの河端和哉監督。コンサドーレ札幌やロアッソ熊本、ギラヴァンツ北九州、V・ファーレン長崎でもプレーしたJリーガーがチームを指揮している。初戦に臨む上で戦術プランはあったものの、あいにくの空模様。指揮官は「昨日まで準備してきたものを最初から出す状況だったかというと、そういうところではなかった」と頭を掻く。大雨はプレー精度を著しく下げ、戦い方を大きく変えてしまった。

 だが、先制したのは札幌大だった。前半13分、MF山内陸(3年=旭川実高)が右CKを左足で蹴ると、低い弾道にMF高橋耕平(4年=北海道大谷室蘭高/長野内定)がニアサイドで合わせ、ゴールに流し込む。「相手のマークが外れやすいところで、狙い通り取れた」(高橋)。得点は珍しいと明かす主将が、難しいゲーム環境の中で先制点を奪った。

 しかし、その後はびわこ大の圧力に屈す。前半のうちに2得点を奪われ、1-2と逆転されると、後半にも2ゴールを浴びる。1-4で初戦敗退となった。

 札幌大は今夏の総理大臣杯初戦でも、関西福祉大を相手に0-4の大敗。その雪辱を果たすため、前半終了後のロッカールームでも大臣杯のことを話題に出し、各々が発奮していた。だが、無情にも同数失点で再び敗れ去った。

 来季からJリーガーになる2選手は、試合後に目を赤くしていた。

 来季からAC長野パルセイロに加入する主将・高橋は試合後、「北海道だと勝てるんですけど、大臣杯で4点決められて、全国大会で勝とうっていうのを目指して、チームのまとまりが出たんですが……。差は縮まっていなかった」と肩を落とす。この4年間でプロになるというひとつの大きな目標は達成し、すでにJ3デビュー済み。しかし「全国大会で勝ちたかった」と本音も漏らす。「来年以降は期待しています」と後輩たちに思いを託し、Jリーグでは「上手い選手ではないので、チームのために体を張って、戦って、その先にチームの勝利があればと思います」と意気込みを語った。

 ヴァンラーレ八戸に入団するMF野瀬龍世(4年=東海大札幌高)は敗戦後、選手たち全員がスタンドに向けて挨拶を終えると、一人だけしばらく顔を上げられなかった。「感謝の気持ちを持ってサッカーを4年間やってきたので、最後見に来てくれた方たちと、スタッフの方たち全員に頭を下げました」。この試合では、自身の良さをまったく発揮できなかったという。「相手も同じ条件で、自分もやるしかなかった中で、うまくできることはあった」と唇を噛んだ。

 野瀬も八戸でJ3デビューを果たし、リーグ戦7試合に出場。「大学とは全然違うレベルでやらせてもらっていたので、僕の成長にはなった」と振り返る。「ストロングのひとつであるドリブルと背後の抜け出しだったりは発揮できた」。チームの課題として挙がるシュート数も「決定力を上げるために、シュート練習は増やしていけたらと思います」。果たせなかった大学での悔しさは「後輩たちに来年以降期待して」、新たなステージでの活躍を誓った。

(取材・文 石川祐介)
●第70回全日本大学選手権(インカレ)特集

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