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[MOM3700]青森山田DF三輪椋平(3年)_屋台骨。あるいは大黒柱。絶対的ディフェンスリーダーが誇る絶対的安定感

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タイムアップの瞬間。青森山田高のディフェンスリーダー、DF三輪椋平も笑顔でガッツポーズ!

[12.12 プレミアリーグEAST第12節 横浜FCユース 0-4 青森山田高 横浜FC・LEOCトレーニングセンター]

 いわゆる“屋台骨”だ。あるいは“大黒柱”と言ってもいいかもしれない。つまり、絶対に欠かせない。リーグ戦では全試合にフル出場。日本一を義務付けられたチームにとって、絶対に欠かせないのがこの4番のセンターバックであることに、議論の余地はない。

「横浜FCがどうこうではなくて、自分が一番チームから求められていることは、まずゼロで行くという山田のコンセプトを体現することで、それにどれだけ貢献できるかを一番考えていますし、4バックの顔ぶれも代わっていく中で、(丸山)大和や(沼田)晃季との連携はもう強固なものができているので、今日は本当に良い準備ができましたし、自分のパフォーマンスも“まあまあ”良かったかなと思います」。

 青森山田高(青森)の絶対的なディフェンスリーダー。DF三輪椋平(3年=青森山田中出身)の“まあまあ”は、すなわちほぼパーフェクトと同義である。

 韮澤廉。内田陽介。藤原優大。秋元琉星。タビナス・ポール・ビスマルク。不動のメンバーだった昨年から、ディフェンス陣は総入れ替え。中盤にはMF松木玖生(3年)やMF宇野禅斗(3年)、前線にはFW名須川真光(3年)など、レギュラーが残る中で、とにかく“後ろ”が懸念材料だと言われ続けてきた。

 だが、リーグ戦では開幕7連勝を飾ると、そのうちの5試合が完封勝利。沼田晃季。大戸太陽。三輪。丸山大和。多久島良紀。新たな不動のメンバーが、圧倒的な守備力を見せ付ける。「正直、シーズン前は後ろが課題だと言われてきましたけど、プレミアの試合を通じて、無失点とかシュートゼロを達成していくにつれて自信にもなりましたし、自分の中でも危機察知能力というか、危ないところをいかに1人でカバーできるかという力は付いてきたと思います」。三輪も自身の確かな成長を感じてきた。

 リーグ制覇の懸かったこの日のゲーム。とりわけ後半は4点のビハインドを負った横浜FCユース(神奈川)も果敢に攻める中で、一番大事なフィニッシュに迫る局面では、中盤までは剥がせたとしても、最後に4番のセンターバックがことごとく的確なカバーリングで、ボールをさらっていってしまう。

 左センターバックの三輪にとって、連携が欠かせないのは左サイドバック。多久島の負傷離脱を受け、そのポジションを任されているのは中学時代からのチームメイトでもあるMF小野暉(3年)。この日で5試合目となる急造左サイドバックではあるが、確実に安定感を増してきている。

「暉は中学校からずっと一緒にやっていて、左サイドハーフが本職の攻撃の選手ですけど、良紀がケガをした時に『全然あるから準備しとけ』って言いました。最初は『スタメンで出られるのは嬉しいけど、サイドバックはなあ……』みたいな感じだったんですけど(笑)、しっかりチームのために戦ってくれていますし、前節のFC東京(U-18)戦は暉のところでピンチを防いでくれていたので、今は頼もしくて、信頼しています」。

 黒田監督が「小野は背後を取られると、左利きなので、三輪がキチッとカバーをしてくれないとという所はあるんだけれど」と言及していたが、裏を返せば『三輪がキチッとカバーをしてくれる』という信頼の裏返し。中学時代からの盟友だけに、良いところも、悪いところもしっかり理解している。

「良紀と太陽もケガをした後に喋って、やっぱりアイツらが一番悔しい想いをしていると思いますし、逆に暉と中山(竜之介)を信頼していないわけではないですから。監督からは『強いチームは1枚2枚代わったぐらいで負けない』という話をされて、急ピッチでしたけど、選手権が終わってからプレミアに向けての4バックの練習の中でも連携は良かったので、暉も中山もだいぶ安定してきているかなと感じます」。DF大戸太陽(3年)と多久島の離脱という想定外の事態も、三輪が後ろで“泰然自若”を体現していることが、チームにブレない芯を通している。

 ただ、まだまだ成長の余地はあると捉えている。「自分は大和と違ってプレミアリーグで得点を獲れなかったので、選手権は失点ゼロで行くことが一番なんですけど、自分のところでしっかり守れて失点ゼロで行って、なおかつ得点を獲れるチャンスがあれば自分も獲りたいですし、攻撃の起点になれたらもっといいなと思います」。目指すところは、どこまでも高い。

 群馬は高崎から単身で青森に乗り込んで、今年で6年目。中学時代からの総決算。インターハイは獲った。プレミアリーグEASTも獲った。残されたタイトルは、あと1つだけだ。「選手権は6年間このためにやってきたという大会なので、もちろん優勝することもそうなんですけど、去年の借りを返すという意味でも大事な大会ですし、あとはやっぱり群馬から青森に出てきたことで、自分が一番成長したことをみんなに見てもらうために、1試合1試合自信を持って、楽しんで、戦っていきたいと思います」。

 いわゆる“屋台骨”。あるいは“大黒柱”。三輪が最終ラインにいる限り、青森山田は決して揺るがない。

(取材・文 土屋雅史)
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