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帝京長岡に逆転勝ちの桐生一が初のプレミアへ!全国でも通用すること、「群馬にもう一つ強いチームがある」ことも示す!

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選手権予選敗退もプレーオフで凄まじい気迫。桐生一高が初のプレミアリーグへ

[12.12 高円宮杯プレミアリーグプレーオフAブロック決勝 帝京長岡高 3-4 桐生一高 Eスタ]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2021 プレーオフ(広島)Aブロック決勝が12日に行われ、桐生一高(関東3/群馬)が帝京長岡高(北信越1/新潟)に4-3で勝利し、初のプレミアリーグ昇格を手にした。

 ブロック決勝からの登場となった帝京長岡に対し、桐生一は1回戦(10日)から中1日のため、コンディションは万全とは言えなかった。実際、序盤から苦戦を強いられたが、残り20分を切ってからの3連続ゴールで逆転勝ち。試合後に宙を舞った田野豪一監督が「参入戦は熱い想いを持った方が勝つのかなって今回は思った」と口にした通り、選手たちの勝利に対する想いや、執念を感じる見事な逆転劇だった。

 この日は「今日は相手が5バックだったので、押し下げて手前でサッカーがしたかった。そこから、相手が来たら斜めを狙っていた」(田野監督)が、4-2-3-1のシステムで挑んだ帝京長岡と立ち位置が噛み合い過ぎたため、上手くボールを運べない。それでも、前半9分には中盤でボールを奪ったMF金沢康太(3年)から右サイドに展開。受けたMF寳船月斗(3年)がドリブルでゴール前まで持ち込んだが、シュートはGKに触られ、CKになった。

 上手く行かない状況でも見せ場は作れていたが、18分にはDF松本大地(3年)のロングフィードから、FW渡辺祐人(3年)にDFの背後をとられて、先制点を献上。直後の19分にFW大津聖人(3年)が1点を返したが、38分にはMF武原幸之介(3年)、42分には渡辺に連続ゴールを許し、1-3で前半を終えた。

 後半に入ってからも、上手く行かない時間が続いたが、時間の経過と共に状態は上向きとなった。「サイドや背後が使い分けられるようになったので、自分たちの流れが作れるようになった。(寳船)月斗とFW吉田遥汰(3年)はパワーがある選手。前に行ければ2人でやってくれると信じて上手く背後にボールを落とせた」。そう話すのは金沢で、奪ってからのカウンターから相手エリアに侵入する回数が増えた。

 28分には帝京長岡のCKを跳ね返し、こぼれ球を拾ったMF浅田陽太(3年)が前方へ。受けたDF倉上忍(3年)が力強い抜け出しから、ミドルシュートを放った。GKが前目だったのを見逃さずに打った一撃で、「後ろから見ていて、『これは入ったな』と思った」という金沢の予想通り、ゴールネットを揺らし、1点差に詰め寄った。35分には、左CKからDF大隅斗聖(3年)がヘディングで同点ゴールをマーク。完全に試合の流れを引き寄せた桐生一は、42分に吉田が4点目を決めて、4-3で試合を終えた。

 選手権予選の決勝で負けた桐生一は、今大会で対戦した米子北高(中国)、帝京長岡とは違い、負ければ3年生が引退という状況で挑んだ。高校3年間の集大成を表す舞台であったため、気迫はどのチームよりも凄まじかった。「2試合とも高体連のチームで、互いの意地やプライドのぶつかり合いになると自分は思っていました。ほとんど選手権と同じような感じだったので、綺麗ごとだけないぞという部分、泥臭さを上手く使って戦っていけた」(金沢)。

 高校生活の最後に意地を見せた3年生たちの活躍によって、桐生一は新たなチームの歴史を刻んだ。「米子北に勝った時に全国でも、うちが通用するというのを一つ表せた。今日勝って群馬にも前橋育英だけでなく、もう一つ強いチームがあるんだとも示せたと思う。ここにたどり着けたのは素晴らしい事だと思います」。そう頬を緩めた田野監督は「プレミアの事はまだ考えたくない。今日はオール3年生。2年生は大変なんですよ。彼らは震えていると思う(笑)。でも、やんないとね」と、らしい表現で意気込みを口にした。

 全国トップクラスの強豪が待ち受けるプレミアの舞台では、苦しい試合が待つのは確かだろう。だが、この日の一戦のように苦しい状況を跳ね返した桐生一のDNAを引き継ぐ男たちなら、来年も逆境を乗り越えられるはずだ。

(取材・文 森田将義)
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