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選手権予選敗退からよりまとまり、自分たちの一年間を証明。履正社が5-0でプレミア復帰を決める

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5-0快勝の履正社高が15年以来のプレミアリーグへ

[12.12 高円宮杯プレミアリーグプレーオフFブロック決勝 讃岐U-18 0-5 履正社高 バルコム]

 履正社がリーグ戦から7連勝でプレミア切符獲得! 12日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2021 プレーオフ(広島)ブロック決勝が行われた。Fブロックはプリンスリーグ四国優勝のカマタマーレ讃岐U-18(香川)とプリンスリーグ関西優勝の履正社高(大阪)が激突。履正社が5-0で快勝し、15年以来となるプレミアリーグ復帰を果たした。

 履正社は選手権大阪府予選決勝で敗れ、大目標の選手権には届かなかった。だが、平野直樹監督から「(リーグ戦の勝者は)年間王者だからね、と。(受験で不在の選手もいるが)総力戦なんだよ、ここで何ができるか、一年間が問われるからねと」と言葉を受けた選手たちは、奮起。切り替えて選手権予選後のプリンスリーグ関西5試合とこのプレーオフ2試合を全て勝利で終えて見せた。

 新型コロナウイルス感染予防のため、3年生最後の公式戦となった今大会で広島に来ることができたのは一部のメンバーだけだ。それでも、初戦2日前に「最後の練習で『みんな頑張って来いよ』というのがあったので、一致団結できた」(FW宮路峻輔、3年)。10日の初戦(対金沢U-18)は硬さもあってか、1-0の辛勝だったが、この日は1年間でもベストゲームと言えるような内容、結果で“居残り組”に吉報を届けた。

 序盤からハイプレスを敢行した履正社は前半5分、MF西村和弘(3年)のインターセプトからDF背後へ抜け出した宮路が対角の右足シュートをゴール左隅へ決めて先制する。縦へ速い展開となる中、履正社は15分にもMF竹腰智也(3年)が敵陣でインターセプト。今度は左中間を突いた宮路がドリブルからの左足シュートを決めて2-0と突き放す。

 序盤のチャンスで確実に仕留めて2-0。履正社はすでにJ3デビューも果たしている讃岐U-18FW小山聖也(3年)を警戒していた。ラインを高く設定すると、小山の抜け出しを食らう危険性もあったが、前日練習での確認を経て「怖がらずに」(平野監督)前へ出ることを決断。バタバタした部分もあったが、その前への姿勢と、讃岐U-18の関原凌河監督が「慣れる前にポンポンと決められたのが正直大きかったですね。シュートがあまりに上手すぎたので、そこで仕留めてくる力は四国にない力かなと」評した決定力が2点の差を生み出した。

 履正社は雑な攻守が続かないように意識しながらのゲーム運び。讃岐U-18は相手のミスを突く形で小山やFW岩佐麟太郎(3年)がゴールへ向かうが、決定打を打つまでには至らない。逆に43分、履正社は前半27分に投入された注目MF名願斗哉(2年)が左サイドをドリブルで独走。寄せが甘いと見るや一人でPA深くまで切れ込んでそのまま左足でニアを破った。

 履正社は相手のU-17日本代表GK松原快晟(2年)から前半で3発。後半もMF那須大雅(3年)と名願の両翼の突破力を活かした崩しや、気持ちの込もった動きを見せるFW廣野大河(3年)のボールキープなどから追加点を狙う。

 一方、勝つためには前へ出るしか無い讃岐U-18は素早く前線へボールを入れ、そこから仕掛けへ持ち込む。後半9分には、左から逆サイドへ展開し、MF富永拓斗(3年)の放った右足シュートがファーポストを直撃。こぼれ球を左SB田尾佳祐(3年)が狙うもシュートは枠を外れた。

 逆に履正社は後半20分、右サイドから交代出場のMF川端元(2年)と名願がアイディアある崩し。最後は名願のクロスをファーサイドのMF森川楓大(2年)が頭でプッシュし、4-0とした。履正社は、28分にも左中間からPAへ侵入した名願が切り返しでDF2人を置き去りに。最後はGKの股間を抜く左足シュートを決めて5点目を挙げた。

 履正社は守備面でも187cmの長身CB森本恵大(3年)が高さを発揮。CB大津明日光(3年)とともに中央で隙を見せず、被シュートはわずか4本だった。また、終盤も右の山中大輝(3年)と左の植田敬太(3年)の両SBが攻め上がるなど貪欲に6点目を奪いに行っていた。讃岐U-18もCB森怜太郎(3年)の気迫のシュートブロックや松原の好セーブで意地を見せたが、5点差のまま試合終了。履正社が快勝でプレミア復帰を決めた。

 富山内定の履正社GK平尾駿輝(3年)は「全員で気持ちを上げてできたので良かった。みんな個性的でまとまりが全然なくなった時に高橋直樹(3年)や大津や廣野が声かけてやってくれた。そこは感謝しかない」と振り返る。選手権予選の敗退を経験し、個性的な選手たちがより一つにまとまって勝ち取ったプレミアリーグ昇格だった。

 平野監督は「選手権で負けたからこその成長もあったんじゃないかと。良いお土産を持って帰れて良かったです」と微笑。そして、来季へ向けては「チャレンジャーなんだけど、しっかり一つ一つ戦って力をつけていきたい」と語った。また名願は「残留は当たり前でそこからどう上位に食い込むか、意識してやっていきたい」。3年生は敗戦から切り替えて自分たちの一年間を証明。1、2年生たちは、先輩たちが勝ち取ってくれたプレミアリーグで成長し、目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)
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