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[MOM768]阪南大GK村田要(3年)_高校時代はPK戦専用キーパー、失点ミスを取り返したPKストップ

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.14 インカレ3回戦 福岡大1-1(PK2-4)阪南大 前橋陸]

 PK戦には絶対的な自信があったという。「PK戦になってほとんど負けたことがない。PK戦になった時に勝てるなと思ったくらい自信がありました」。

 阪南大のGK村田要(3年=熊本国府高)は言葉通りに福岡大の一人目で蹴ったMF田中純平(4年=長崎総科大附高)のシュートを完全に読み切ってストップ。2人目のDF阿部海斗(4年=鳥栖U-18/熊本内定)のシュートもコースを読み切って失敗を誘発し、チームに勢いをもたらした。

 PK戦の前にはコーチと打ち合わせを行っていた。「相手の状況をみて、こいつはこっちに蹴るんじゃないというアドバイスでした」。しかし本番では直感を信じて「その結果逆に飛んじゃった」という。「自分はこっち蹴るんだろうなーみたいな読みがよく当たるんです」。「最後は自分を信じました」と笑顔で胸を張った。

 失点のミスを取り返す活躍にもなっていた。前半38分、村田はバックパスの処理に焦りPKを献上。PKを決められた直後に味方が同点弾を決めて試合を振り出しに戻してくれていたが、危うく“戦犯”になりかけた。「仲間が取り返してくれたので借りを返さないといけないと思った」と気合も十分だったことを認める。

 レギュラーではなかったという高校時代。ただそのころからPKだけは主役の座を譲らなかった。いわゆるPK戦専用キーパー。高校サッカーではPK戦前にGKを交代させる戦術として散見されるが、村田もその立場。高校3年生の時に戦った高校選手権の県予選などでも勝利に導いていた。

 主将の離脱で回ってきたチャンスだった。阪南大は今季の主将であるGK水谷友哉(4年=名古屋U-18)が負傷離脱中。リーグ戦ではGK太田航生(3年=阪南大高)が代役として奮闘していたが、シーズン終盤に村田が出場機会を獲得。インカレもそのまま村田がゴールマウスを守っている。「阪南のGK陣の代表として出ている。そこは誇りを持って戦っています」。主将の無念だけでなく、チーム全員の期待が村田の背中を押している。

 日本一まであと2勝。18日の準決勝は流通経済大戦、勝ち上がって25日の決勝に進んでも駒澤大か明治大が相手と、関東の強豪に勝たないとその栄冠は見えてこない。ただ阪南大は長年チームを強化してきた須佐徹太郎副顧問が今大会限りで退任。発奮材料はいくつもある。村田も「(副顧問を最後に)インカレに連れてこようという思いはあった」と話すと、「戦術も大事だけど、ハートで負けたらダメ。自分は普段やってきたことを発揮するだけだと思います」と気合を入れ直した。

(取材・文 児玉幸洋)
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