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大怪我乗り越えた10番FW棚橋尭士、インカレでも国士舘大の攻撃けん引「来年また帰ってきたい」

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国士舘大FW棚橋尭士(3年=横浜FMユース)

[12.14 全日本大学選手権準々決勝 流通経済大 2-0 国士舘大 ギオンス]

 5大会ぶりにインカレ出場を果たした国士舘大(関東7)はベスト8で涙を飲んだ。攻撃をけん引した10番のFW棚橋尭士(3年=横浜FMユース)は「自分たちのサッカーを出し切れずに終わった。試合が終わって、何もできなかったという不甲斐なさしかなかった」と悔しさをにじませた。

 負傷を乗り越え、充実のシーズンを過ごした。2019年末に右膝の前十字靭帯断裂、半月板損傷というキャリア初の大怪我を負い、長期離脱を強いられた。昨年10月に公式戦復帰を果たすと、今シーズンは真価を発揮。関東1部リーグ戦に全22試合出場、8ゴール5アシストと躍動し、インカレ出場権獲得に大きく貢献した。

「大怪我を乗り越えて戻ってこられたのは、自分だけの力ではなかったので感謝しています。一年トータルで怪我なく試合に出続けられたのは、今年が人生で初めて。成長できたと思います」

 自らを奮い立たせた一年だった。目標に掲げたのはチームのインカレ出場権獲得、個人としてはリーグ全試合出場に10ゴール5アシスト以上と、具体的に設定。「目標があればモチベーションになるし、見失わない」。得点数こそ惜しくも届かなかったが、残りの目標はすべてクリアし、飛躍につなげることができた。

 インカレの舞台でも連続ゴールを挙げ、チームを準々決勝へと導いた。1回戦・東海大札幌校舎戦、2回戦・鹿屋体育大戦でいずれも先制ゴール。連戦を勝ち上がったが、関東覇者と激突した準々決勝は苦戦。FW有田稜(4年=小倉工高/いわきFC内定)が競って棚橋が背後を突く形は流通経済大に対策され、前半はシュート0本に封じられた。後半、左サイドにシフトした棚橋は打開を図り、シュート2本を放ったが、最後までゴールは遠かった。

「自分たちのサッカーというものが出し切れずに終わった。個人としても悔しいし、切り替えることは難しいけれど、この悔しい気持ちを持って、来年またここに帰ってきたい」

 世代別代表の常連だった棚橋は高校2年次の17年、U-17W杯インド大会にもFWで出場した“00ジャパン”のひとり。得点力に長けた選手だが、今年のチームでは攻撃をつくる役割も求められてきた。「ボールに多く関わってアシスト、ゴール、ハードワークもそうですし、もっとチームを活性化できる選手にならないといけない」と決意をにじませた。

 これが有田やFW梶谷政仁(4年=正智深谷高/鳥栖内定)ら最上級生とプレーする最後のゲームとなった。「谷口(栄斗)選手もそうですし、刺激を受ける先輩ばかりだった。FWの有田選手や梶谷選手は自分にないモノを持っている。すごく勉強になりましたし、一緒にやっていて本当に楽しかったです」と感謝を口にした棚橋。悔しさを糧に、先頭に立って大学最後の一年を駆け抜ける。

(取材・文 佐藤亜希子)
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