beacon

[MOM770]阪南大MF奥山洋平(4年)_県予選10失点大敗の弱小校出身、“同世代のスター”打ち負かす決勝アシスト

このエントリーをはてなブックマークに追加

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.18 インカレ準決勝 流通経済大1-2(延長)阪南大 NACK5]

「仕掛けて崩す」をスローガンに戦う阪南大(関西4)は、Jリーグ内定者10人以上を擁す流通経済大(関東1)を相手に真っ向勝負を挑んだ。しかし「相手が上手くて引かざるを得なかった」と須佐徹太郎副顧問。前半40分に交代カードを切るなど、関東王者相手の戦いは、理想よりも現実を追って戦うことを強いられた。

 そんな中で後半9分から途中投入されたMF奥山洋平(4年=西大寺高)は特長を出し続けた。売りは何よりも前への推進力。課題のある守備に目をつぶってでも使いたくなる突破力で右サイドを切り裂く。後半26分の先制点も、奥山が仕掛けたボールのこぼれ球を拾ったMF尾崎僚(4年=和歌山北高)のクロスからFW松原大芽(3年=作陽高)が頭で決めて生まれた。

 後半終了間際に右サイドを抜け出して折り返したクロスは、中に走り込んだMF原耕太郎(3年=西尾高)らにわずかに合わなかったが、延長前半5分、奥山は右サイドで獲得したCKを蹴ると、ニアのDF津野ジュウリオ心(4年=豊川高)にピタリと合わせるキックで決勝点をアシストした。「津野選手がいいスピードで飛び込んできてくれました。こだわってきたアシストが出来て良かった」。背番号7は充実の汗をぬぐった。

 高校でサッカーを辞めようとも考えていたようだ。ただサッカーを始めてから真剣に取り組んだことがなかったことにずっと心残りがあったという。「ラストチャンスだと思いました」。進学先を検討した際、第一志望は他大だったが、阪南大も候補に入れた。「滑り止めだった」と正直に明かすが、運命は奥山を阪南大へと導いた。「阪南に来たらサッカーをしようと思っていた。だから来たからには死ぬ気で頑張ろうと思ってやってきました」。

 母校である岡山県の西大寺高校は全国的には「無名」。奥山が高校3年生だった17年度の高校選手権予選でも4回戦で明誠学院高に10失点、2-10という大差負けを喫している。

 そんな弱小校から出た奥山が、同年の高校選手権で活躍した“同世代のスター”宮本優太や菊地泰智ら擁する流経大を決勝アシストで沈めた。「この4年間、努力でその差を埋めようと頑張ってきた成果が出たかなと思います」と笑みをこぼした奥山。「辛いことも多かったけど、この4年腐らず頑張ってきた自分は誇らしい。(進路は決まっていないので)決勝も次のステップに繋がるようなプレーができればいいし、それを一旦置いておいて、決勝を楽しみたいと思います」と大学生活最後の一戦に向け、意気込んだ。

(取材・文 児玉幸洋)
●第70回全日本大学選手権(インカレ)特集

TOP