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出場停止で“14”欠いた前橋育英、エースFW守屋練太郎が大爆発3G1A!! 粘った草津東下して初戦突破

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エースストライカーのFW守屋練太郎が3ゴール1アシスト

[12.29 選手権1回戦 前橋育英高 4-0 草津東高 熊谷陸]

 第100回全国高校サッカー選手権は29日、1回戦を各地で行い、2大会ぶり24回目の出場となった前橋育英高(群馬)が初戦突破を果たした。エースストライカーのFW守屋練太郎が3ゴール1アシストの大活躍を見せ、草津東高(滋賀)に4-0で圧勝。31日に行われる2回戦では三重高(三重)と対戦する。

 12月中旬に広島県で行われたプレーオフを突破し、5度目の挑戦にして悲願の高円宮杯プレミアリーグ参入を決めた前橋育英。選手権に向けても大きな勢いとなっている一方で、プレーオフ2回戦の長崎U-18戦ではエースナンバーの背番号14を背負うMF徳永涼(2年)が警告2回による退場処分を受け、出場停止処分が全国大会に繰り越されるという代償を残した。

 そうした中で迎えた選手権初陣、前橋育英は序盤からMF笠柳翼(3年=長崎内定)、DF岡本一真(3年=群馬内定)が両サイドで存在感を見せるも、先にチャンスをつくったのは草津東。前半4分、左サイドを突破したMF田中将大郎(3年)のクロスボールに対し、猛スピードで飛び込んできたFW松田大知(3年)が惜しいシュートを放った。

 それでも前半6分、前橋育英はファーストチャンスをモノにした。GK渡部堅蔵(3年)のロングフィードが前線に送り込まれると、群馬県予選決勝でもゴールを決めた守屋が巧みなトラップでボールをキープ。そのまま前に持ち出して右足を振り抜き、グラウンダーでのミドルシュートをゴール隅に突き刺した。GK渡部にアシストがつく素晴らしい形での先制点。就任40年目を迎えた山田耕介監督も「動き出しは彼の持ち味でもある。堅蔵からの一発のパスへのタイミングは素晴らしい動き出しだった」と絶賛のスーパーゴールだった。

 ところが、その後が続かなかったのがこの日の前橋育英。5-3-2のシステムで中央を固めてきた草津東に対し、ボールを保持しながらも有効打を繰り出せない。一方の草津東は前半14分、松田がスピードあふれるドリブル突破から惜しいクロスボールを供給。同17分にもMF上原壮(3年)の強烈なシュートがクロスバーのわずか上に放たれるなど、同点ゴールに向かって勢いを見せた。

 前橋育英は前半29分、守屋のポストプレーから笠柳が左足で狙うも、草津東GK石徳柊弥(3年)が横っ飛びでファインセーブ。同39分にはDF桑子流空主将(3年)のロングフィードが右サイド深くに送られ、空中戦を競り勝った岡本がペナルティエリア内に持ち込んで角度のないところから狙ったが、惜しくもゴールマウス右に外れた。同アディショナルタイム1分には草津東にビッグチャンス。松田が自身のボール奪取から鋭いドリブル突破で攻め込んだが、1対1で放ったシュートはGK渡部の正面に飛んだ。

 後半立ち上がりも草津東が勢いを見せ、2分にはMF竹下蓮人(2年)のロングスローをMF河合勇徳(2年)が落とし、MF大橋陸人(3年)がボレーシュート。だが、またしても枠を外れる。前橋育英も5分過ぎ、守屋、MF根津元輝(2年)、笠柳が次々にゴール前でのシュートチャンスをつくったが、いずれも枠内に蹴ることができなかった。

 後半28分にも草津東に大きなチャンス。松田がストライドの大きなドリブル突破で左サイドを切り裂き、深くえぐったところからマイナスのクロスを送り込むと、これに反応した上原が右足でシュートを放つ。しかし、この軌道には前橋育英DF岩立祥汰(3年)が立ちはだかり、完璧なブロッキングでピンチを防いだ。

 すると終盤の10分間で、前橋育英が一気にたたみかけた。まずは同34分、途中出場となったFW高足善(2年)のスルーパスに抜け出した守屋が絶妙なループシュートで追加点。さらに同40+1分、左からのスローインを相手DFの背後に回りながら受けた守屋がラストパスを送り、これをMF渡邊亮平(3年)が押し込んで3-0とする。

 草津東が捨て身の攻撃でゴールを狙いにきた後半40+3分には、飛び出したGK石徳の裏を取った渡邊が強烈なシュートでゴールを狙うと、クロスバーに直撃してゴール前へ。これに反応した守屋がヘディングで押し込み、終盤のゴールラッシュをハットトリックで彩った。試合はこのまま終了。前橋育英が堂々の初戦突破を果たした。

 試合後、3ゴール1アシストの守屋はフラッシュインタビューで「最初の試合ということで点を決められてよかった」と笑顔。「自分はシュートが課題だったのでシュート練習をたくさんしてきた。次の試合でもチームに貢献できるように頑張っていきたい」と意気込みを語った。

 一方、山田監督はオンライン会見で「全体の出来はあまり良くなかった。崩しの部分であったり、逆への展開とか、裏へのパスとか、思ったようにテンポとリズムがなかった」と厳しい表情。中1日での2回戦に向けて「これからだんだん良くなっていくと思う」としつつ、「守備面では奪われた後のインテンシティや、連動するところがうちの持ち味。今日は何回か奪い返せたが、もう少し徹底できないといけない」と課題改善を誓っていた。

(取材・文 竹内達也)

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