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静岡学園の“超絶ドリブラー”MF古川陽介、仕掛けることから逃げずに決勝アシスト。宿敵から学んだ献身守備も

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静岡学園高の磐田内定MF古川陽介は警戒される中でも仕掛け続けて決勝アシスト。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.31 選手権2回戦 近大和歌山高 0-1 静岡学園高 フクアリ]

「納得の行かない気持ちがある」と語ったように、満足感はない。それでも、静岡学園高のエース、MF古川陽介(3年=京都サンガF.C.U-15出身、磐田内定)は試合を決める力と泥臭くチームに貢献する力を表現した。

 0-0の後半26分、古川は左サイドからドリブルを繰り出すと、切り返しと加速でDFの前へ出て左足を振り抜く。「浮き球のクロスは対応されていて、(長身FWの)持山が入ったことで少しヘディングの警戒も強くなったと思うので、そこであえてゴロ出したら相手の予想は逆やな、と思った」。狙い通りにグラウンダーのクロスは中央のMF小泉龍之介(3年)の下へ。小泉がコントロールからターンしながらの右足シュートをねじ込み、決勝点となった。

 この日は得意のドリブルが警戒され、距離を取って守る相手DFを攻めあぐねた。その中でも幾度か強引に仕掛けて打開したり、FKを獲得したりしていたが、不満の出来。「カウンターが怖いのでサイドの勝負がカギになると自分の中でも分かっていた。シュートの質とか崩しのバリエーションが足りない。実力不足だなと思いました」。だが、世代屈指のドリブラーはドリブルすることから逃げなかった。

「後半途中のところから相手が疲れていることは分かっていて、自分も足の疲労があったんですけれども、自分が仕掛けないとリズム生まれないと思っていたので、何回も仕掛けようと思っていました」。そして決勝点をアシスト。試合後は自身に対する悔しさと、勝利の喜びの両方を噛み締めていた。

 この日、印象的だったのが、率先して守備をしていた姿だ。1-0の後半40分には自陣でスライディングタックルを決めてマイボールに。「夏、(青森)山田に負けた時に(相手は)前にいる選手から全員守備していたので、ボクも意識し始めて、運動量を上げて頑張ろうと思っていた。切り替え少し遅れていたところもあったし、ボール取り切るところもあったけれど、もっとできる場面もあったのでもっとこだわっていきたい」。本人の言葉通り、対応が遅れるシーンがあったことも確か。それでも注目ドリブラーは手を抜かずに守備もやり切った。自身に求めている「結果」も残した古川は今後の戦いでもドリブルと結果、守備にもこだわって白星をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)

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