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“日本の宝”チェイス・アンリが大粒の涙…悔しさにじませ「本当に情けない」「決めてほしかった」

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尚志高DFチェイス・アンリ(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[12.31 選手権2回戦 尚志高0-0 PK5-6関東一 柏の葉]

 “怪物センターバック”の最後の選手権が終わった。「コーチたちのおかげで自分はうまくなって感謝している。だけど、この大会で全国制覇できなかったのは本当に悔しい」。尚志高(福島)はPK戦に敗れ、2回戦敗退。U-22日本代表CBチェイス・アンリ(3年)の目からは大粒の涙があふれた。

 2試合連続で80分間のうちにゴールを奪えず、0-0でPK戦へ。初戦は鬼門だったPK戦を突破したが、今度は涙を呑んだ。

「2回連続でPKにはならないと思っていたし…。(PK戦は)GKは信じていたんですけど、自分たちのせいでPKになってしまった。もっと簡単に勝てたなと思ったし、結局また情けない負け方をした」

 80分間のシュート数は7対4とチャンスはあったものの、特に前半の得点機を生かせなかったことが最後まで響いた。

「結局1年間、全然何も変わってなくて、決定力の部分が何も変わってなくて。そのせいで今日みたいな試合も決められるところも決めれなくて。本当に情けないし、結局こういう形になるんだなと思いました」

 相手に対策を練られる中でも、攻守に大きな存在感を放った。絶妙なスライディングタックルで潰し、危ない場面では至近距離で冷静にシュートブロックすれば、空中戦では無双。頭ひとつ抜けた打点の高いヘディングで立て続けに跳ね返し、スタジアムを沸かせた。

 前半40分には攻撃参加で会場をどよめかせた。窮地をしのいだ直後に自陣から攻撃をスタートすると、アンリも前線へと一気に駆け上がる。オーバーラップしてMF齋藤幹太(3年)からパスを呼び込むと、マイナス方向にクロス。リターンを受けた齋藤が決定的なシュートを打つチャンスを迎えたが、相手の好セーブに阻まれ、「決めてほしかったですね、あれは」。言葉に悔しさをにじませた。

「プロの世界ですべてもっとうまくなって、プロになってから全部(借りを)返したい」。高校サッカーは涙の幕切れとなったが、将来が嘱望される逸材は次のステージへ。仲村浩二監督は「アンリは日本の宝。素直な心でこれからも」と、17歳の輝かしい未来に大きな期待を寄せた。

(取材・文 佐藤亜希子)

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