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東福岡との“九州プレミア対決”で衝撃の4発完勝!! 大津は次戦も九州勢と「戦うのは少し心苦しいが…」

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4-0で圧勝

[12.31 選手権2回戦 東福岡高 0-4 大津高 熊谷陸]

 第100回全国高校サッカー選手権は31日、2回戦を各地で行い、東福岡高(福岡)と大津高(熊本)の九州勢同士が激突した。ともに高円宮杯プレミアリーグWESTに在籍するライバル対決。結果はMF川口敦史(3年)の2ゴールなどで着実に得点を重ねた大津が4-0で圧勝し、前回出場時の2018年度に続く3回戦進出を果たした。

 今季プレミアリーグでの戦績は大津の1勝1分。今月5日に行われた対戦では1-1で引き分けており、拮抗した展開も予想された名門対決だが、終わってみれば衝撃的な大差がついた。

 まずは前半10分、大津がさっそく先制した。FW一村聖連(3年)の浮き球パスが東福岡DF園田桐志(3年)に当たってこぼれると、いち早くボールにアプローチした川口が左足を一閃。冷静にGKのいないコースを打ち抜き、ネットを揺らした。1回戦の中部大一高戦(○5-0)では5人が得点を記録していた中、川口はこれが全国初ゴールとなった。

 その後は東福岡が主導権を取り戻す時間帯もあった。前半20分、園田の縦パスに抜け出したMF楢崎海碧(3年)が折り返しのパスを送ると、MF中原優心(3年)がニアに飛び込んでシュート。しかし、大津GK佐藤瑠星(3年)のビッグセーブに阻まれる。同28分にはDF辻耕大(3年)のロングスローのこぼれ球からMF向井貴都(3年)がミドルシュート。だが、これもクロスバーに弾かれた。

 前半36分には今大会初先発の東福岡MF川原陸登(3年)が振り向きざまにミドルシュートを狙うも、再び佐藤がファインセーブ。直後の辻の右コーナーキックも佐藤に落ち着いて処理されると、同37分の楢崎のシュートも相手ディフェンスのブロックに遭い、風上となった前半で追いつけないままハーフタイムを迎えた。

 東福岡は後半開始時、C大阪U-18から今季転入したMF大渕来珠(3年)を中原に代わって投入。1回戦で惜しいシュートを連発していた大渕は、直後から積極的な仕掛けで存在感を放つ。ところが徐々に風上の大津がカウンターなどで勢いを増し、東福岡はMF榊原寛太(1年)のカバーリングなどで窮地を凌ぐが、劣勢となっていった。

 そうして迎えた後半8分、大津はDF和田理央(3年)からの縦パスを受けた川口が右サイドからカットインし、東福岡DF段上直樹(3年)を振り切りながら左足を一閃。エリア外から綺麗に巻いたシュートでファーポスト脇を撃ち抜いた。東福岡は同14分、1回戦の秋田商高戦(○1-0)を右足首の負傷で欠場しながらも強行出場だった段上に代わってDF吉田大晃(2年)を投入。段上は同じく負傷で今大会エントリー外となったMF吉岡優希(3年)に付き添われ、涙ながらにベンチへ戻った。

 その後は大津が猛攻を仕掛け、後半18分にはDF岩本昌大郎(3年)の右コーナーキックからDF川副泰樹(3年)のボレーシュートがゴール左へ。同19分にはMF森田大智(3年)の果敢なドリブル突破で右サイドを崩すと、一村がつないだボールをFW小林俊瑛(2年)が狙い、右ポストを襲った。

 東福岡は後半21分、川原に代わって186cm長身のDF江本千泰(2年)を投入。すると同22分、辻のロングスローを江本がニアでそらし、吉田がボレーで狙う。しかし、これもU-18日本代表候補の注目GK佐藤のスーパーセーブに阻まれ、追撃ゴールは決まらない。

 すると後半27分、大津は川副のロングフィードに川口が反応し、風に流れたボールをかすかに触って落とすと、途中出場のMF高畑涼(3年)がダイレクトで突き刺して3点目。さらにアディショナルタイム4分には、森田、岩本と繋いだパスをMF稲田翼(1年)が突き刺し、ルーキーの2試合連続ゴールで大勝劇を彩った。

 試合後、敗れた東福岡の森重潤也監督は「非常に残念な試合でした」と総括。「大津高校のほうがやはりわれわれよりも優っている部分が多く、なかなか点を取れないという部分で難しいゲームだった」と敗因を振り返った。

 一方、大津の山城朋大監督は「プレミアリーグで対戦したことあるチームということで、相手の速い前線3人をうまく消せるかどうかを意識していた。スピードある選手を抑えられたことが大きかった」と守備面に手応え。「最初はリスクを負わないプレーでいこうと思っていたら点数が取れた。後半は風上に立ったので、相手の背後を使いながら効果的に戦い続けることができた」とピッチコンディションに合わせた磐石な試合運びを誇った。

 3回戦の相手も同じ九州勢の佐賀東に決定。指揮官は「最近は九州のチームがベスト8、ベスト4に残ることが少なくなっているので、“九州は一つ”というスローガンがあるんですが、みんなで上位進出を狙っている」と九州勢への思いをのぞかせつつ、「九州同士で戦うのは少し心苦しいが、日頃闘っている相手なので万全の準備をして臨みたい。九州の一番になりたいと常に思っているし、トップを走っている自負もあるので、絶対に負けられない試合だと感じている」と力強く意気込んだ。

(取材・文 竹内達也)

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