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[MOM3739]佐賀東MF中山琉稀(3年)_「何もできなかった」あの日から1年。王者山梨学院破った!開始直後の豪快弾

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佐賀東高MF中山琉稀(3年=鳥栖U-15唐津)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権2回戦 山梨学院高 0-2 佐賀東高 熊谷陸]

 電光石火のファーストシュートが前回王者を窮地に追い込んだ。

 1回戦シードのため大会初戦となった山梨学院高との全国選手権2回戦、スコアが動いたのは前半3分だった。決めたのは佐賀東高MF中山琉稀(3年=鳥栖U-15唐津)。高い位置でボールを奪ったMF森田悠斗(3年=鳥栖U-15)からのパスを中に絞って受け取ると、果敢なドリブル突破から左足を振り抜いた。

「いつもは右足で持ってカットインから決めているけど、今回は前に相手がいなかったので振り切った」。思い切りよく放ったシュートがまっすぐな軌道でゴール左上隅へ。大会初戦の緊張感とともに戦っていた佐賀東の選手たちは一気に喜びを爆発させた。

 勢いに乗った中山は前半7分にも、華麗なパス交換からペナルティエリア内に抜け出し、ゴールわずか右に外れる惜しいシュート。その後も「監督からは普段の練習でも、相手の逆を取れと言われている」という意識どおり、左サイドで相手をいなしつつ攻撃を前進させた。また劣勢の時間帯では献身的なプレスバックで守備にも大きく貢献。チームは相手のパワフルな攻撃に対しても人数をかけて守る体制を整えていた。

 その結果、山梨学院にとっては中山が決めた1点が重くのしかかった。「失点をしないところが一つ大事だった。ビハインドを背負ってしまったことで、自分たちが攻めたいけどスーッと引き込まれてしまうブロックを敷かれてしまった」と振り返ったのは長谷川大監督。その後、うまく耐え抜いた佐賀東は後半38分にカウンターで追加点。初戦で前回王者から快勝を収めた。

 決勝点を挙げた中山にとって、この日は1年前の悔しさを晴らす上でも重要な一戦だった。昨年12月31日に行われた全国選手権1回戦の市立船橋高戦(●1-4)、0-3で迎えた後半16分に最初の交代カードで投入されたが「何もできなかった」。

 そこで心に決めた「来年こそは」という覚悟。ちょうど1年後の12月31日、見事にヒーローとなり、「素直に嬉しい」と笑顔を見せた。

 佐賀県唐津市出身の中山はサガン鳥栖U-15唐津出身。「U-18に昇格できなかったのがとても悔しかったし、全国選手権に出て絶対に活躍しようと思っていた」という決意を持って、高校サッカーに身を投じてきた。奇しくも3回戦の相手・大津高にもかつてのチームメートであるMF川口敦史が所属。2回戦では同じく得点を挙げ、勝利の立役者となっていた。

 中山の後に試合を行った川口は試合後、「小学校から一緒のチームでずっと一緒にサッカーしていて、ライバル心があった。ああいったシュートを決めていて、負けたくないと思った」とライバル視を隠さず。「自分たちのサッカーをやり通して勝てたら」と決意を語った中山との“同級生”対決にも注目が集まりそうだ。

(取材・文 竹内達也)

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