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[MOM3754]東山FW藤枝康佑(3年)_10番を背負うストライカーが2得点で、チームを青森山田とのリターンマッチへ導く!

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2ゴールの活躍でチームを勝利に導いた東山高FW藤枝康佑(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 選手権3回戦 東山高 3-0 長崎総合科学大附高 駒沢]

 10番を背負う意味は、誰よりも自分が一番よく理解している。試合を決めるゴールを。勝利を手繰り寄せる結果を。そう願って、ユニフォームへ袖を通してきた。「10番を付けている自分が点を獲って、チームを勝たせるという部分は意識しています」。

 難敵の長崎総合科学大附高(長崎)を3-0で下し、インターハイに続いて全国8強へと力強く勝ち上がった東山高(京都)。その一戦で主役を張ったのは、チームのストライカーを託されたナンバー10、FW藤枝康佑(3年=宇治FCジュニアユース出身)だった。

 ゴールに飢えていた。2回戦の市立長野高(長野)戦。難しい初戦に2-0と勝利を収めたが、チーム最多タイとなる3本のシュートを放った藤枝はノーゴール。県予選でもチームトップの6得点を重ねた10番が、その結果に満足するはずもない。ゴールのみを求めて、この日のピッチへと歩みを進める。

 前半29分。チャンスが文字通り転がってくる。MF松橋啓太(2年)が投げ入れた左ロングスローから、こぼれ球に反応したMF真田蓮司(2年)が左足ボレー。軌道に飛び付いた藤枝の右足は空を切るも、2トップの相棒・FW芦谷斗亜(3年)に当たったボールは、再び自らの足元へ帰ってきた。

「ロングスローからだったと思うんですけど、良いタイミングでボールが来て、斗亜が良い落としをしてくれたので、フリーでシュートを打てました」。躊躇なく右足を振り抜いた豪快なボレーが、力強くゴールネットを揺さぶる。10番にとってはこれが全国大会での初ゴール。チームに大きな先制点をもたらす。

 34分にも追加点機。左サイドを真田との華麗な連携で抜け出したMF李隆志(3年)が中央へ折り返すと、ニアに潜った藤枝はワントラップから素早くフィニッシュ。枠を越えていったボールに頭を抱えたものの、ゴールへの意欲を前面に打ち出してみせる。

 試合を決める一発は、最終盤の後半39分に。左サイドで東山が得たFK。真田が打ち込んだキックに、DF井上蒼太(3年)が高い打点のヘディングで折り返すと、藤枝も頭で呼応したシュートは、GKの頭上を緩やかに破って、ゴールネットへと到達する。

「ヘディングはいつも狙っていたので、クロスのタイミングに合わせて、上手く中に入ることができたなと思っています」。ダメ押しゴールを決めてみせた10番に、すぐさまチームメイトが駆け寄る。3点を奪っての快勝劇。その中で2得点を叩き出した藤枝の存在感が、キラリと輝いた。

 この日、チームの2点目を記録した芦谷の活躍も見逃せない。3年生で組んだ2トップの揃い踏み。「一番意識しているのは2人の距離で、近くにいたらボールを拾ったりできるので、その距離は一番意識しています。2人で『フォワードが点を獲って勝つ』ということを目標にやってきたので、2人とも点が獲れて凄く嬉しいです」と藤枝も笑顔を見せる。

 忘れられないシーンがある。福井で開催された昨年8月のインターハイ。青森山田高(青森)と対峙した準々決勝。前半6分に藤枝へシュートチャンスが訪れたが、ボールは枠の右へ外れていった。チームはそこから5失点を喫して、2-5と完敗。あの1本を沈めるために、努力を重ね続けてきた。

 舞台は整った。あの日と同じ相手に、あの日と同じ準々決勝。チームも、自分も、必ずリベンジを果たしてみせる。「インターハイで悔しい想いをした相手なので、今までやってきたことをすべて出して勝ちたいです」。

 10番を任されたストライカーが挑む、高校生活の集大成。藤枝には青森山田のゴールを打ち破るイメージが、明確に湧き上がっている。

(取材・文 土屋雅史)

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