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大会中にも進化する関東一、“超高校級”との対峙生きる「チェイス・アンリ選手の強度よりは高くない」

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1ゴール1アシストの関東一MF肥田野蓮治(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 選手権3回戦 関東一3-2矢板中央 フクアリ]

 関東一高(東京B)が“死のブロック”を勝ち上がり、史上初の8強入りを成し遂げた。3回戦は打ち合いの様相を呈したが、2-2で迎えた終了間際の後半38分、MF肥田野蓮治(3年)のスルーパスで抜け出したFW本間凜(2年)が値千金の決勝ゴールを挙げた。

 GK藤井陽登(3年)を擁する矢板中央はPK戦に強いだけに、80分間で試合を決めたことも大きかった。試合終盤の苦しい時間帯に、持ち前のスタミナを生かして前線へ走り込んだ本間が殊勲弾。「相手GKはPKを止められる凄い選手だったので、絶対にPKにはなりたくなかった」と振り返った。

「守りに入るのではなく、PK戦もあるので自分は80分で終わらせたかった」。攻撃を牽引する肥田野もそう明かし、「チームが後ろ向きになっているときにも自分が声を出した。前向きに、『3点目を取りにいく』と常に声を出して、チームに浸透させた。そこで落ちることなく、3点目に向かってみんなで立て直しが出来たのはとても良かった」と胸を張った。

 関東一は大会中にも進化を遂げている。開幕戦は中津東高を相手に6得点。2回戦は尚志高をPK戦の末に打ち破り、チームはU-22日本代表の“超高校級”CBチェイス・アンリ(3年)の強度を体感した。

「高校生トップレベルの対人を肌で感じて、きょうはチェイス・アンリ選手の強度よりは高くないと感じた。もっとドリブルを仕掛けられるというのは試合中にも感じた。チェイス・アンリ選手と対峙できてよかったというのと、大会を通して自信になっています」。そう語った肥田野は実際に全3得点に絡み、1ゴール1アシストのハイパフォーマンスを示した。

「関東大会とインターハイ予選は東京予選で敗退してしまって、チームがバラバラで、団結力がなかった。選手権に向かうにつれてチームで戦う意味をみんなが理解して、全員が個人ではなく、チームのために戦う共通理解を持ってプレーできた」

「自分たちは個がないチームと言われていて、それでも、だからこそ、チームみんなでまとまって泥臭く攻守を連続させたり、みんながみんなのためにと意識した。非常に良い状態で選手権を勝った中で、成長できていると思います」。チーム一丸で強豪校を連続で撃破した関東一。一戦ごとにたくましさを増し、勢いを増して、初の準々決勝で静岡学園高に挑戦する。

(取材・文 佐藤亜希子)

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