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[NEW BALANCE CUP]宮崎の強豪・日章学園は鍛錬の冬。基準高めて再び「県内3冠」“当たり前に勝って行くチーム”へ

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日章学園高CB工藤珠凜主将は「県3冠」“当たり前に勝って行くチーム”を目標に掲げた

[1.6 NEW BALANCE CUP準決勝 日章学園高 0-3 昌平高 時之栖裾野A]

「自分たちの代で県内3冠を、前みたいに“当たり前に勝って行くチーム”にならないといけない」。新主将のCB工藤珠凜(2年=日章学園中出身)は今年、日章学園高(宮崎)を“元の姿”へ変えること、“本来いる場所”へ押し上げることを誓った。

 日章学園は07年度から19年度までの13年間で11度選手権に出場している強豪校。昨年はインターハイで注目CBチェイス・アンリ(3年、U-22日本代表)を擁した尚志高(福島)を撃破するなどベスト16入りし、プリンスリーグ九州でも最後までプレーオフ進出を争っている。だが、選手権予選は警戒される中で自分たちの力を発揮できずに2年連続予選敗退という結果に終わった。

「ショックも大きかった」(工藤)という敗退を経験してスタートした新チームは今冬、“裏選手権”こと「NEW BALANCE CUP 2022 IN TOKINOSUMIKA」に出場。決勝トーナメントではインターハイ神奈川代表の東海大相模高、プリンスリーグ関西所属の京都橘高(京都)に連勝し、準決勝へ進出した。

 プリンスリーグ関東勢の昌平高(埼玉)との準決勝はやや後手となった立ち上がりに先制点を奪われて押し込まれたものの、その後は主導権を握り返すなど互角の戦い。原啓太監督も「前から行ってボールを獲れて、自分たちの時間を作れていた」と振り返る。工藤のスーパークリアで失点を回避し、ドリブルもアクセントになっていたMF石田誠二(2年)や10番FW松下貴要(2年)が絡んだ“日章学園らしい”スピーディーなパスワークから、高速SB蔵屋明徹(2年)がラストパスへ持ち込むなど好ゲームを演じて見せた。

 チャンスを活かせず、終盤に突き放されて0-3で敗れたものの、手応えも得るゲームに。原監督は勝負の際の部分を引き寄せる力の必要性を指摘した一方、「そこそこやれんだよ、と自分たちの立ち位置も分かった。良い大会になっている」と頷いた。

 今大会はインターハイで好守を見せた1年生CB藤本晃士や攻撃のキーマンとして期待されるMF石崎祥摩(2年)、選手権予選を経験したFW篠田星凪(1年)が不在。昨年からの主力MF金川羅彌(2年)も怪我を抱える中でのプレーだった。その中で今年の良さであるグループで前向きの選手を作り出してチャンスメークする力やセットプレーでの力強さを発揮。関東や関西強豪校と内容のある戦い、また勝ち切る試合ができたことは収穫だ。

「県3冠」、“当たり前に勝つチーム”になるための行動をすでにスタートしている。工藤は「一つ一つ全ての基準を変えるチームに、ということを合言葉みたいな感じでやっています。サッカー以外の面も、練習から球際や運動量も日々こだわってやっています。練習の中でもフィジカルの時のランニングを増やしたり、厳しく言い合うということも意識してやっているので、まだまだこれから基準を上げて、上を目指して行けたら良いと思います」と説明。主将はそのチームを勢いづけられる選手になること、仲間に信頼されつつ自分のストロングポイントをしっかりと出せる選手になることを個人の目標に掲げた。

「去年のキャプテン(FW木脇蓮苑)は点取って引っ張るという形だったんですけれども、自分は自分なりに別の方法で引っ張っていきたい。まずは後ろでどっしりと構えて、安定感を持って、自分のところでは絶対にやられないように。競り合いにも自信を持っているので、そういうところで負けずにチームに勢いづけられる選手になりたいです」と力を込めた。

 日章学園中出身の工藤は“当たり前に”先輩たちが勝つ姿を見てきた。同じく日章学園中出身の藏屋も「日章学園が一番でないといけないと思っている。小学生の時に見ていた日章学園は当たり前に勝つし、個人も強いし、それが最近は(選手権で)2年連続で全国にも行けなくて、自分たちが取り戻さないといけないというのがあります」と言い切る。

 その蔵屋は「まずは新人戦で県を圧倒して取って、九州も取って、(21年度の全国上位と対戦する)サニックス(カップ)に出ること。インターハイと選手権も上を目指して、(全国)優勝を目指していきたい」と宣言。今回の“裏選手権”で全国の基準を再確認したチームは22年、宮崎を必ず勝ち抜き、全国で大暴れする。


(取材・文 吉田太郎)

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