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「現代の常勝軍団」青森山田が国見の記録に並ぶ。黒田監督「その時代を担うというくらいの責任を持って…」

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青森山田高が国見高以来の4年連続決勝進出。そして“3冠”に王手。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.8 選手権準決勝 高川学園高 0-6 青森山田高 国立]

 青森山田高(青森)が00~03年度の国見高(長崎)に並び、戦後2校目となる4年連続決勝進出だ。MF檀崎竜孔(千葉→札幌)らを擁した18年度大会の優勝(2度目)を皮切りに19年度、20年度大会で準優勝。そして、今年も6-0で準決勝を制し、4年連続で決勝進出を果たした。16年度にプレミアリーグ、選手権の2冠。今年はインターハイで大会得点記録を更新する30得点での優勝とプレミアリーグEASTの2冠を成し遂げている。勝ち続けることが難しい高校サッカーで「現代の常勝軍団」が、また歴史に名を刻んだ。

 前回、4年連続の決勝進出を果たしたのは、7日に亡くなった小嶺忠敏監督(長崎総合科学大附高)が率いていた国見。FW大久保嘉人(元C大阪)らを擁した00年度大会優勝で3冠(インターハイ、国体)を達成すると、続く01年度の選手権で2連覇、02年度大会は決勝で市立船橋高(千葉)に惜敗したものの、FW平山相太(元FC東京)を中心に戦った03年度大会決勝で筑陽学園高(福岡)を6-0で圧倒し、6度目の選手権制覇を果たしている。

 青森山田は05年インターハイで全国大会初タイトルを獲得し、MF柴崎岳(レガネス)を擁した09年度選手権で同大会初の決勝進出。02年度からの選手権12大会で9度3回戦敗退という苦しい時期を乗り越えてきたチームだ。

 特に11年から参戦している“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグが大きい。Jクラブユースや高体連トップクラスの強豪と日常的に戦うことで個とチームを強化。サイド攻撃、セットプレー、ショートカウンター、ポゼッションとどの戦い方でも相手を上回る力を身に着け、リーグ戦や選手権で勝ち続けることでライバル校から目標とされる存在になっている。

 青森山田は国見が持っていた選手権21年連続出場を更新し、現在25年連続選手権出場中。国見の優勝回数6回(帝京高とともに戦後最多)にはまだまだ手が届かないが、今回の4年連続決勝進出で1つ肩を並べた。

 青森山田の黒田剛監督にとって、小嶺監督は目標としてきた存在だ。この日は選手たちが喪章を巻いて戦い、勝利。指揮官は「自分的には小嶺先生と肩を並べたと到底思っていないです。本当に素晴らしい我々の師匠、見本となる方でしたので、それを私も見習ってというか、指導者になったのは小嶺先生のような指導者になりたいということがスタートでした」と明かす。

 そして、80年代半ばから00年代に掛けての時代を国見が担ってきたように、青森山田が新たな時代を担うという覚悟がある。黒田監督は「小嶺先生の分まで、またはあの国見の全盛期の時代をまた青森山田がその時代を担うというくらいの責任を持って、今後の101回以降も繋げていきたいと思っています。それが小嶺先生に対する感謝の気持ちだと思いますので、示せたら最高だと思います」と力を込めた。

 10日の決勝で大津高(熊本)に勝てば、青森山田はインターハイ、プレミアリーグEAST、そして選手権の3冠。新型コロナウイルスの影響でプレミアリーグチャンピオンシップは開催されなかったものの、達成すれば、00年度に国見がインターハイ、全日本ユース(U-18)選手権大会、選手権の3冠を達成して以来の快挙だ。黒田監督は「明後日の一戦に全てを懸けて臨みたい」と宣言。必ず勝って、“青森山田時代”を揺るがないものにする。

(取材・文 吉田太郎)

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