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「何でもできる」青森山田がセットプレー3発!得意のハイプレス、相手の強みでも凌駕

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前半26分、青森山田高CB丸山大和がCKからチーム2点目のゴール。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.8 選手権準決勝 高川学園高 0-6 青森山田高 国立]

「何でもできる」青森山田高(青森)が自分たちの特長に加え、相手の武器でも高川学園高(山口)を凌駕した。“話題”の「トルメンタ」をはじめ、多彩なセットプレーで貴重なゴールを挙げてきた高川学園に対し、青森山田のMF藤森颯太(3年)は「自分たちの武器もセットプレー」と言い切る。青森山田がそのセットプレーによる連続ゴールで試合の流れを傾けた。

 前半3分、左サイドから藤森が蹴り込んだFKをFW名須川真光(3年)が頭で合わせて先制点。さらに26分には、サインプレーの左CKからファーサイドでフリーとなったCB丸山大和(3年)が頭で2点目のゴールを突き刺した。

 後半にもMF松木玖生主将(3年、FC東京内定)の左CKから丸山がヘディング弾。高川学園の江本孝監督は「青森山田さんのセットプレーは驚異になると我々も思っていました。しかしながら、そのパワーに屈する状況になった」。セットプレーの強さを見せつけた青森山田は高川学園にクロス、シュートを打たせないことも徹底し、相手のCKをゼロに封じて特長を出させなかった。

 青森山田の黒田剛監督は、「何でもできるサッカーを志向してここまでやってきた」と言う。青森山田は11年から“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグに所属。Jクラブユースと高体連の様々な特長を持つ強豪に対抗するため、ハイプレスとショートカウンターやサイド攻撃、守りを固めてのカウンター勝負、時にポゼッションをして主導権を握ることもできるチームを目指してきた。

 その成果が近年のプレミアリーグでの好成績。21年度のプレミアリーグEASTも新記録となる開幕7連勝など首位を走り、3度目の優勝を果たしている。様々な対戦相手に対応できる力を今回の選手権でも発揮。だが、黒田監督は「あまりにも研究したものが頭の中に入りすぎて、本来の自分たちの姿を見失っていた」と振り返る。

 この日はまず自分たちの最大の特長であるハードワークとハイプレスを表現することに注力。DF陣や守備力抜群のMF宇野禅斗(3年、町田内定)だけでなく、大エースの松木や藤森ら攻撃的な選手も当たり前のように走り、ボールを奪い、自分たちの攻撃に繋げていた。

 そして、相手の強みでも上回って6-0の快勝。黒田監督は「良いサッカーができたと思います。ブレずに青森山田のサッカーをやって行こうということが、こういう形になったと思います」と語った一方、「昨年も準決勝を5-0で勝っておきながら決勝で負けているという現実もあるので、引き締めながら明後日の決勝へ向かっていきたい」と引き締める。

 決勝の対戦相手は同じくプレミアリーグ勢の大津高(熊本)。ポゼッション、攻撃志向の強いチームからプレミアリーグで揉まれる中で隙を潰し、堅守速攻もできるバランス良いチームへ変化してきた難敵だ。それでも、「何でもできる」青森山田は大津を攻守で上回り、リーグ戦でも、トーナメント戦でも頂点へ。「自分たちの目標は3冠なので、あと1勝して優勝したい」(丸山)という目標を国立競技場で達成する。
 
(取材・文 吉田太郎)

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