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全国4強の壁を破るために…高川学園が体感した青森山田の強度とその日常

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3位表彰式での高川学園高(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.8 選手権準決勝 高川学園0-6青森山田 等々力]

 高川学園高(山口)にとって初の選手権決勝進出を懸けた、3度目の挑戦だった。改修前の国立競技場で、05年度の84回大会(旧校名・多々良学園高時代)に野洲高(滋賀)と、07年度の86回大会に藤枝東高(静岡)と対戦したが、ともに0-1で敗戦。そして、記念すべき100回大会、新しくなった国立競技場で再び決勝への切符を手にしようと、青森山田高(青森)と対戦した。

 立ち上がり3分にセットプレーからFW名須川真光(3年)に先制点を献上すると、試合を通して青森山田に圧倒される展開に。90分が終わってみれば、0-6と大差がついた。実際にピッチで青森山田と対峙したMF北健志郎(3年)は、その差を痛感したという。

「前日からいろんな分析をして、自分たちでも通用する部分もあって、そこを出せた部分もあったんですけど、セットプレーの部分で絶対に決めるという気持ちの部分とか、相手より絶対先にさわるという部分ですごい差が出てしまったなと思います」

 ベスト4に終わってしまったが、チームの名が人々の記憶に刻まれたことは間違いない。大会直前に、主将のDF奥野奨太(3年)が負傷するというアクシデントに見舞われながらも快進撃を続けた高川学園。円陣を組んだ選手が回転するトリッキーなセットプレー、「トルメンタ」も大きな話題を呼んだ。ゲームキャプテンを務めた北は、大会を通しての確かな成長を実感する。

「大会がはじまってからチームの思いが本当にひとつになって、毎試合毎試合、この1年間でもできなかったようなこともできて、チームとしての成長も感じていて。ベスト4という結果でしたが、よかったと思います」

 とはいえ、ベスト4の壁を突破できていないことは、同校の今後の課題だ。3度の準決勝を戦ってゴールを奪えていないところに、個の差があると江本孝監督は見ている。

「個人レベルをもっともっと上げていかないといけないなと。サッカーで点をとるのは、チームみんなでとるものだとは想いますけど、最後、ボールをゴールに押し込むのは1人の選手だと想いますので、1人の選手のレベルアップも取り組んでいかないといけない」

 4大会連続で決勝進出を果たしている青森山田との差を、体感できたことは今後の財産になるはずだ。「青森山田さんとは日常が違うな、というところでした。もっともっと日常から激しく、しのぎを削るような練習を積み重ねていかないといけない」と指揮官。北は「今日の試合の強度を忘れずに、出ていた(1〜2年生の)選手も多いので他の選手に伝えて、日本一になるために、全員が球際だったり、得点をとる、守るという部分でもっと本気になって戦ってもらいたい」と後輩たちに夢を託した。

(取材・文 奥山典幸)

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