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J復帰もよぎった香川真司「今の状況では終われない」

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MF香川真司

 ベルギーのシントトロイデンに加入したMF香川真司が11日、記者会見を行った。「非常に興奮しているし、何より早く現地に行ってプレーがしたい」。ギリシャ・PAOKに所属していた昨年9月12日以来、公式戦の出場はなし。それでも大逆転でのワールドカップメンバー入りに向け、“復活”への意気込みを力強く語った。

 香川は昨年末、約1年間を過ごしたPAOKとの契約を双方合意の上で解除。その後、シントトロイデンからのオファーを受け、加入を決断した。DF長友佑都、FW大迫勇也、DF酒井宏樹ら日本代表で共にプレーした選手の国内復帰が続く中、香川は欧州挑戦を続ける道を選択。すべては自身の成長のためだという。

「Jリーグに復帰する選手が増えて非常に盛り上がっている中、僕自身も正直考えるところがあったが、でもヨーロッパに残ってチャレンジしたい気持ちのほうがシンプルに上回ったし、そこで成長できることが自分にとって一番の要因になったのでこの決断をした」。

 そうJリーグ復帰の可能性にも言及した香川は「サッカー選手としてただただ成長し続けたいし、そういう感覚が常にあり、自信があるのでその挑戦を選んだ」と断言。「それをピッチで証明しないといけないと強く感じている。言葉ではなくピッチの上で証明していきたい」と力を込めた。

 PAOKでの1年間はリーグ戦、国内カップ戦、カンファレンスリーグ予選を合わせてわずか12試合の出場。9月以降は実戦から完全に遠ざかっており、復活への道のりは険しい。それでも「ただ単純にプレーがしたい。自分の力というものをあらためて証明したい気持ちが非常に強い」と香川。目の前の試練をモチベーションに変えようとしている。

「この1年は厳しい時間だったし、試合に出られない中でいろんなことを考えさせられる時間だったが、この1年が非常に大きな意味のある一年だったと未来の自分が言えるようにしていかないといけない。この経験があったからこそ、自分が強くなれて、素晴らしいプレーヤーになれたんダと、それをピッチの上で証明しないといけない。そのためには大きく進化していかないといけない。簡単なことではないが、日々のトレーニングからその思いを強く持ってやっていかないといけない」

 シントトロイデンには日本代表にも選出されているGKシュミット・ダニエル、DF橋岡大樹のほか、東京五輪代表のFW林大地、DF松原后、MF伊藤達哉、FW原大智といった日本人選手が所属。「初めて同じチームでヨーロッパで日本人選手とプレーする」という香川にとって、彼らとの関係性も大きな後押しとなりそうだ。

「非常に新鮮だし、非常にワクワクしている。彼らは若いし、強い野心を持ってチャレンジしているので、僕もそうであったように、そういった選手と切磋琢磨しながら、教えるよりも得られるものがたくさんある」。そう語った香川は「経験の中で伝えられるものもあると思うので、みんなでシェアして、一体感を持って、チームが上に行くために進んでいきたい」と目を輝かせた。

 ベルギーでの復活を遂げた暁には、日本代表が年末に控える夢舞台も見据えている。「この2年間、代表には絡んでないけど、その思いは非常に強く感じている。ワールドカップイヤーでもあるので、そこの目標は常々持っている。自分自身の経験上、ここからの1年の成績やパフォーマンスが非常に重要視されると思っているので、そこは自分自身に期待しているし、そこに入ってもやっていけるというのを常にイメージしながらトレーニングしている」。ロシアで感じた悔しさも胸に、「諦めることなくただただ成長していきたい」と再び日の丸に返り咲くつもりだ。

 欧州挑戦はベルギーで6カ国目。「海外ではたくさんの経験をさせてもらった。いいことも悪いこと、うまくいかないこと、厳しい壁にぶち当たることが大半だったけど、でもそのつどその壁を乗り越えてやってきた。厳しい逆境が人を成長させるというのを体現してきたと思っている。今回もそれに打ち勝たないといけないし、今の状況では終われない。去年の悔しさは非常に強く感じているので、これを自分自身の力で証明していくしかない。この環境がヨーロッパにはあると強く感じているので、チャレンジしたい」。香川真司、32歳。ここで立ち止まるつもりはない。

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