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「代表に戻る夢はたくさん見た」DF乗松瑠華、なでしこジャパンで戦える喜びを噛みしめながら

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W杯出場権を獲得した1月30日、乗松は26歳になった

 本来CBを本職とするDF乗松瑠華だが、池田太監督率いる新生・日本女子代表(なでしこジャパン)では、ユーティリティに起用されている。

 ここまで唯一の出場となっている1月24日のベトナム戦は左サイドバックでフル出場。「右CBをやることが多かったので、左SBになると全然違う」と“見える景色”への戸惑いはあるというが、「そこまで大きくやることは変わらないと思っているので、迷いはないです」と充実の表情で話す。

 14年にアジアカップを戦ったなでしこジャパンに選出された乗松は、18歳で鮮烈デビュー。将来を嘱望されていた選手の一人だった。

 しかし16年に主将として出場したU-20女子ワールドカップ期間中に悲劇が襲う。3位決定戦を前にした練習中に右膝を負傷。帰国後すぐに、長期の離脱を余儀なくする手術を行った。

 そしてその後、なかなかトップコンディションに戻ることはなかった。「代表に戻る夢はたくさん見た」。本来であれば世代交代の旗手にならなければいけなかった乗松が、その場に立つことすら出来ないという“もどかしさ”と戦わなければならなかった。

 しかし術後から4年半が経った昨年夏、ようやく自身でも手ごたえを持てるまでにコンディションが戻ってきた。ツイッター(@norimaty19)にも「感覚的にはやっと戻ったかなって感じ」「ボール蹴っても走っても痛くて、復帰してからも自分の身体が全然思うように動かなかったけど、今となっては大事な経験」「思いっきりプレーできるって最高に幸せです」と投稿。完全復活の時が近づいていることを嬉しそうに明かしていた。

 奇しくもWEリーグの開幕に合わせたかのような復活劇。浦和レッズレディースから心機一転、大宮アルディージャVENTUSに移籍した乗松は、開幕からここまで全試合にフル出場。一時は「復帰する姿がイメージ出来なかった」とまで思いつめていたというが、自らの力で完全復調を証明してみせた。

 乗松は東京オリンピック後に編成された池田太監督率いる新生なでしこジャパンで7年半ぶりに復帰。そしてアジアカップでもメンバー入りし、再びアジアの舞台に戻ってきた。

 1月30日、乗松は26歳になった。同日、なでしこジャパンは準々決勝でタイに勝利して9大会連続となるW杯出場権を獲得。忘れられない誕生日にもなった。

 今大会の出番は限られているが、なでしこジャパンの一員でいられることが何よりも嬉しい。「疲労は溜まっていないし、コンディション的にはだんだんよくなってきています」。今は決して「夢」ではない。なでしこジャパンのために、今できる100%をぶつける覚悟でいる。

●女子アジアカップ2022特集ページ

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