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「LIGA KANTO U-18」のオープニングマッチは帝京、横浜FCユースともに課題と収穫を掴むドロー決着

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お互いに攻守の切り替えも鋭い好ゲームは1-1のドロー決着

[2.5 LIGA KANTO U-18 帝京高 1-1 横浜FCユース 帝京北千住G]

 タイムアップの瞬間。両チームの選手たちが膝に手を突き、勝ち切れなかった結果を悔しがる。「ああいう姿が出てきたことが本当にありがたいですね。引き出してくれた横浜FCに感謝したいです。ああいう悔しがる姿勢が僕らの励みになるんですよ」(帝京高・日比威監督)。

 双方がお互いにチャレンジしながら、バチバチぶつかり合った80分間はドロー決着。日本サッカーの発展を考え、高体連所属チームとクラブユース所属チームの2つのカテゴリーの良さを相互に理解を深め、個人の育成とチームの強化を図ることなどを目的に、ヴァンフォーレ甲府U-18(山梨)、ジェフユナイテッド千葉U-18(千葉)、横浜FCユース(神奈川)、前橋育英高(群馬)、市立船橋高(千葉)、帝京高(東京)の強豪6チームで発足した「LIGA KANTO U-18 2022」の開幕戦。帝京と横浜FCユースの激突は、前半にリズムを掴んだ横浜FCユースがDFヴァンイヤーデン・ショーン(2年)、後半に巻き返した帝京がエースのFW齊藤慈斗(2年)と、それぞれ1点ずつを奪い合い、1-1で引き分けている。

 前半は「今年に入って初めてのゲームだったので、練習でやってきたことをどれくらい出せるのかという感じで臨みました」とDF池谷銀姿郎(2年)も話した横浜FCユースがペースを掴む。5分にはいきなりMF金子颯太(2年)が、右ポストを叩くオープニングシュート。9分には帝京のGK川瀬隼慎(1年)の完璧なパントキックから、齊藤に決定的なシュートを放たれるも、ここはGK岡本虎太郎(2年)がファインセーブで阻止すると、以降は攻撃の良い部分がピッチ上に現れる。

「ちょっとしたミスマッチの中で、相手のサイドハーフの背中でウチのウイングバックがフリーで受けられる、来るならシャドーが空くというところは、選手たちが多少見ながらプレーしていましたね」とは、今シーズンから3年ぶりに指揮を執る小野信義監督。守備時は4-4-2の帝京に対して、3-4-3を敷いた横浜FCユースは、右のMF清水悠斗(2年)、左のMF高塩隼生(2年)と両ウイングバックにサイドで勝負させながら、うまく中間ポジションでMF井上輝(2年)とMF許田新太(2年)の2シャドーもボールを引き出しつつ、チャンスを生み出していく。

 12分にはヴァンイヤーデン・ショーンのフィードを許田が残し、FW守屋颯人(2年)のシュートは枠の左へ外れるも、シンプルなアタックから決定機。18分にも高塩のドリブルを起点に、池谷が狙ったミドルは川瀬がキャッチ。31分にも井上のパスから、守屋が枠へ収めたシュートは川瀬がファインセーブ。帝京もDF大田知輝(2年)とDF田畑勲(2年)のCBコンビを中心に何とか凌ぎ続けるも、スコアが動いたのは40+1分。左サイドで手にしたFKを、DF中村琉聖(2年)が正確な左足で中央へ。これをヴァンイヤーデン・ショーンが圧巻の打点から、ヘディングでゴールネットへ鮮やかに打ち下ろす。「キックが良かったので、あとは合わせるだけだったんですけど、今年のファーストゴールを獲れたので、それは良かったと思います」と笑ったCBの一撃。横浜FCユースが1点をリードして、最初の40分間は終了した。

 後半は一転、帝京がゲームリズムを奪い返す。「どこを閉じないといけないのかということを明確にしたことで、スライドの速さと上下のカバーリングの速さとか、そういうところが凄く良かった部分があって、前半と後半でまったく違うチームになりましたね」と日比監督。MF押川優希(2年)とMF田中遥稀(2年)のドイスボランチを軸に、うまく相手を守備で追い込むシーンが増加し、それが攻撃へと良い形で転化。12分にはFW伊藤聡太(2年)が右へ振り分け、DF梅木怜(1年)が丁寧なクロス。齊藤の落としにMF土本瑶留(1年)がフィニッシュ。寄せた横浜FCユースのMF薬師寺大繁(2年)が弾き出したものの、綺麗なサイドアタックでフィニッシュまで。

 15分には横浜FCユースに絶好の追加点機。相手陣内でボールを奪った井上がそのまま独走して放ったシュートは、しかしわずかに枠の左へ外れ、得点を重ねられず。17分は帝京。相手のビルドアップを高い位置で奪い、土本のスルーパスから伊藤のシュートはGKを破るも、懸命に戻った薬師寺がスーパークリア。26分にも齊藤が絶妙のスルーパスを通し、走ったDF島貫琢土(2年)が強烈なシュートを枠へ収めるも、後半から投入された横浜FCユースのGK西方優太郎(1年)がビッグセーブ。なかなかゴールを奪い切れない。

 終盤に仕事を果たしたのは、やはりエースストライカー。31分。こちらもMF橋本マリーク識史(2年)との交代で、後半から出場していたMF松本琉雅(2年)が縦に付け、ルーズボールを拾った土本は「最後まで相手を見ていたら、グッと一瞬動いたので」浮き球でのショートパスを選択。「パスが来るとは思わなくて、『シュートを打つのかな』と感じたので、こぼれに行こうと思っていた」齊藤は狭いスペースでトラップしながら左足一閃。軌道はゴールネットへ突き刺さる。

「ゴールが後ろにあるというのは分かっていたので、振り抜いてシュートを打つだけでした」という感覚で打った13番のゴールで、帝京が追い付いたゲームは1-1でタイムアップ。「この時期にしては、攻撃も後半はワンタッチで崩したり、オープンな展開で良い部分はかなり出てきていましたし、このスピードの中でやれたというのは、良い試合だったんじゃないかなと思います」(日比監督)「初めての試合の中でやれること、やってきたことを表現してみようとやってみた中で、前半は少しだけできたかなと。ただ、後半は攻撃も守備も自分たちが本来やろうとしていることをできず、ずっと押し込まれてしまったのは問題だよねという話になりました」(小野監督)。双方が課題と収穫を得た、実りのある80分間だったことは間違いない。

 試合後。池谷が印象的な話をしてくれた。「試合で何を選手1人1人が感じたかで、そのチームが変わっていくと思うので、試合を重ねていく上で、自分たちが勝って何を感じたのか、負けて何を感じたのかというのは、もっともっと全員1人1人が追求して、今日だったら自分たちのサッカーができなかったというだけではなくて、選手1人1人がどうだったかを考えていけば、チームも良い方向に行くんじゃないかなと思います」。

 後半途中で交代となったヴァンイヤーデン・ショーンは、残りの試合時間をベンチでコーチと一緒に見ていたという。「自分の課題を『外から見てほしい』と言われたので、代わってからはコーチと話しながら、『さっきの自分だったらこうしている』というのを外から見ていました」と本人。横浜FCユースは1人1人の選手たちが、自らの課題を把握しながら、日々のトレーニングへ向き合っている様子がこのシーンからも窺えた。

 前述したように、3年ぶりの監督就任となる小野監督は「もうちょっとできるかなと思っていましたけど、『ああ、これはヤバいぞ』と。それこそプレミアに昇格した年(2019年)は、高体連に春先のこの時期にボコボコにやられていて、そんなことを思い出しながら、『ああ、今年も大変だな』と思っていましたね(笑)」と口にしながらも、「プレミアは楽しみですよね。日本の中での最高レベルに対して、この子たちと横浜FCアカデミーの代表として一緒にゲームできることで、冬までのリーグ戦22試合の中で、最初からどれくらい伸びたんだろうということが分かるのは凄く楽しみです。高いレベルで自分たちが測れて、それが選手にもプラスになって成長できたらいいなと思います」とも。2年目のプレミアリーグに挑む横浜FCユースが、LIGA KANTO U-18から確かな一歩を踏み出している。

(取材・文 土屋雅史)

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