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いつでも、どこでも、溢れるエネルギー。横浜FCユースDF池谷銀姿郎が携える自覚と決意

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横浜FCユースの元気印、DF池谷銀姿郎

[2.5 LIGA KANTO U-18 帝京高 1-1 横浜FCユース 帝京北千住G]

 心なしか大人っぽい雰囲気を纏い始めたようにも思えるものの、本人は「そんなことないですよ」と笑って否定する。だが、きっとそれは気のせいではない。ハッキリと意識しているに違いない自覚が、プレーの端々からも伝わってくる。

「今年は自分たちの代になってきますけど、ずっとベンチやベンチの外から見ていた選手ばかりで、『オレも出たい』という気持ちの選手がたくさんいるので、そのやる気を自分がうまく引き出して、チーム全体が良い方向に行けたらなと思っています」。

 いつでも、どこでも、エネルギー溢れる“銀ちゃん”にとっても勝負の1年。横浜FCユース(神奈川)が誇る元気印。DF池谷銀姿郎(2年=横浜FCジュニアユース出身)はさらなるステップアップを、自分自身に厳しく課している。

 積極的な“声”がピッチに響き渡る。帝京高(東京)と対峙した『LIGA KANTO U-18』の開幕戦。前半こそ攻勢を強め、先制点まで奪った横浜FCユースだったが、後半は一転して押し込まれる時間が続く。「後半のようにうまく行かない時に自分がどれだけ声を掛けられるかだと思うので、1つ1つのポジショニングの声を掛けていました」と池谷。ディフェンスラインにも、プレスを掛ける中盤にも、大きな声で指示を飛ばしていく。

 劣勢の中で失点を許し、試合は1-1のドロー。ただ、「最初のゲームで、課題ももちろん出るので、そんなにネガティブに捉える必要はなくて、プレミアの開幕に向けて徐々にチーム全体も、個人1人1人もレベルアップしていければと思います」と池谷は前を向く。その理由は、続けた言葉の中から解き明かされた。

「試合で何を選手1人1人が感じたかで、そのチームが変わっていくと思うので、試合を重ねていく上で、自分たちが勝って何を感じたのか、負けて何を感じたのかというのは、もっともっと全員1人1人が追求して、今日だったら自分たちのサッカーができなかったというだけではなくて、選手1人1人がどうだったかを考えていけば、チームも良い方向に行くんじゃないかなと思います」。

 本人ももちろんこの日の80分間から、感じるものが十分にあった。「後半の途中で後ろが3枚から4枚に変わって、その時に自分は右のCBから右サイドバックに変わったんですけど、そこからあまり自分の良さが出なかったし、自分からどう動かすのかがあまりできなかった感じがあるので、そこは臨機応変に対応していかないといけないのかなという成果が得られました」。新チーム初の対外試合から、試合直後にしっかりと課題を抽出するあたりに、今年への意欲が透けて見えた。

 昨年は10月にU-17日本代表候補合宿に参加したが、以前から呼ばれてきている年代別代表にも改めて定着したいところだ。「3年生になると大学かトップかという時期になってくると思うので、代表にももちろん選ばれていくつもりでいます。中3の時や高1の時に比べれば全然選ばれていないので、しっかり世代別代表にも目を向けつつ、ここでしっかりしたプレーを続けていけば選ばれるはずですし、まずはしっかり自チーム優先で、自分の良さやチームの良さを引き出していける選手になりたいと思います」。

 また、同じCBを本職とするライバルたちの存在も、小さくない刺激になっている。「コンサドーレの西野(奨太)だったり、この間トップ契約したフロンターレの高井(幸大)だったり、去年トップチームに昇格した杉田(隼)は、凄く上手くて、賢くて、良い選手なので、そのあたりは意識しますし、リスペクトするところはありますね」。彼らに追い付き、追い越すためにも、まずは目の前の練習、目の前の1試合に全力を尽くしていく。

 U-12強化カテゴリーからプレーしてきた横浜FCアカデミーでのラストイヤー。チームに対する想いも、強くないはずがない。「去年も2年生の中では一番多く試合に出たと思うんですけど、その中で感じたものをピッチ内でもピッチ外でも自分が伝えられれば、もっともっと良いチームになれるはずですし、日頃の練習から成長はできるので、自分が去年の3年生からもらったものを、これからの1,2年生に伝えていければと思っています」。引き継いできたバトンを、しっかりと次代に受け渡す決意も固めている。

 とはいえ、この男の一番の魅力はやはり滲み出るパワフルなエネルギー。本人ももちろんそれは自覚している。「自分の良さはエネルギーだというところもありますし、ユースでも代表でも、トップチームに行ってもエネルギーは大事にしているので、そこは全然変わっていないですよ(笑)」。

 多くの人が惹き付けられる、不思議な魅力を持った17歳。“銀ちゃん”は自らの可能性を、自分自身で燃やし続けるエネルギーの力で逞しく切り拓いていく。

(取材・文 土屋雅史)

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