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J注目レフティー、神村学園MF大迫塁主将はボランチとして新シーズンへ。よりボールに触れ「もっと貢献したい」

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神村学園高の新主将、MF大迫塁が日本高校選抜選考合宿でチャンスを演出。(写真協力=高校サッカー年鑑)

 神村学園中時代から注目されてきたレフティーが、「神村」でのラストイヤーをボランチとしてスタートしている。神村学園高(鹿児島)の日本高校選抜MF大迫塁(2年=神村学園中出身)は、中学時代から年代別日本代表の中心の一人として活躍してきたレフティー。新チームの主将として臨む大迫は、「中等部から(神村学園で)ずっと色々なことを学ばせてもらったので、まだ全然恩を返せていないので、恩を返せるようにしたいです」と意気込んでいる。

 第100回選手権は初戦で帝京長岡高(新潟)との注目対決。大迫は左足CKで2得点を演出したが、チームは2-3で敗れた。「チームとしても結構自信があったので、もっとやりたかったなというのが正直な気持ちです。負けた直後は何にも考えられなかった」と振り返る。

 神村学園は試合翌日に鹿児島へ帰郷。その翌日には新チームがスタートした。「次の日から新チームとしての合宿があったので、それが大分大きくて、心とか身体も切り替えないといけないという気持ちになったので、それがあってまだ良かったなと思います。今年のチームはみんな凄く元気があって、まとまりのあるチームなので、自分が『もっとこうして行こう』と言ったら『良しやろう』というチームで、凄く良い練習が毎日できています」。ショックを引きずる間もなく、新人戦の準備を開始。優勝してまず1冠を獲得した。

 大迫は高校進学後、主にトップ下を務めてきた。相手のプレッシャーが厳しい中でも違いを生み出すこと、またゴールへの意識を持つことを求められる中でのプレー。1年時は苦戦したが、昨年はインターハイで3ゴールを挙げ、プリンスリーグ九州では盟友で得点王(13得点)のFW福田師王(2年)に次ぐ10得点をマークした。そして、2位・福田に倍の差をつける14アシストでアシスト王。昨秋にはU-17日本高校選抜でも貴重なゴールを決めている。

「ゴールへの意識というところは自分の中でやり続けて自分の中で伸びたかなと思います」と自認する大迫は、新チームで得意のボランチへ。「去年とかは自分の課題だったゴールへの意識とかやってきて、インターハイとかで結果を残せたので、ゴールへの意識は変わらず持ちながら、今年はボランチをしていて去年よりもよりボールに触る機会が多いので、チャンスメークしたり、チームがキツイ状況であれば、自分が上がって行ったり、チームにもっと貢献したい」と力を込める。

 ゲームメーク力と左足の質は世代屈指。日本高校選抜の左SB海老沼慶士(米子北高3年)が「同じ左利きで、パスセンスの良さが憧れ」と語り、U-17日本高校選抜候補の選手達もCB宝納拓斗(佐賀東高2年)が「彼の左足キックには驚かされた」、MF木村匡吾(岡山学芸館高2年)も「キック精度がとても高く、ミスも少ないし、得点も取れてプレーのアイディアが凄い」と大迫の左足やアイディアを絶賛する。今年はボランチの位置でこれまで以上に多くボールに絡み、2つ3つ先をイメージした配球で神村学園の攻撃をコントロール。そして左足のスルーパスやシュートで試合を決める考えだ。

 9日から「NEXT GENERATION MATCH」(12日、日産)へ向けた日本高校選抜合宿がスタート。今回はFWとして招集され、福田とのコンビによるゴールも期待されている。選考合宿では普段と異なるポジション、ボールの動かし方に慣れず、上手く攻撃に絡むことができなかったが、それでも積極的に走り、声を出し続け、幾度か決定的なラストパスを通していた。

「(下級生だが、)このチームの中心にならないといけないと思っているので、プレーの結果としてはまだ全然何もしていないですけれども、声とかFWで前線から追いかけるところとか、そういったことをやり続けていきたいと思っています」。中心選手としての活躍で新シーズンへの弾みもつける。

 アンケートで「半端ないと思った選手は?」の問いにU-22日本代表CBチェイス・アンリ(尚志高)の名を記した。「(同じレフティーで青森山田高を3冠へ導いたMF松木)玖生くんと書こうと思っていたんですけれども、玖生くんには負けたくないので」。今年の目標は選手権、インターハイ優勝、そしてプレミアリーグ昇格。なるべく早く進路を決めてJリーグデビューするという野心も抱いている。“キング”松木とはまたタイプの異なるJ注目レフティー。思い通りにいかない中でも一つひとつ積み重ねてきた大迫が、最終学年で結果を勝ち取る。

(取材協力=スフィーダ、『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 吉田太郎)●【特設】高校選手権2021
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