第100回全国高校選手権後に開催されたU-17日本高校選抜選考合宿には、選手権予選敗退校からGK藤澤芭琉(徳島市立高2年)、DF津久井佳祐(昌平高2年)、MF篠田翼(昌平高2年)、そしてMF名願斗哉(履正社高2年=ガンバ大阪ジュニアユース出身)の4選手が参加した。ダイナミックなセービングを見せた藤澤、守備能力の高さを印象づけた津久井、推進力十分のドリブルと練習試合の2発でアピールした篠田。そして、名願は東京国際大との練習試合でインパクトのある動きを見せた。

　前日に開催されたU-18日本高校選抜候補との練習試合第1戦でも縦突破からチャンスメークしていたが、東京国際大戦で光ったのはゴールへ向かう姿勢。左サイドから深く切れ込んでチャンスを演出したシーンが2度3度とあったほか、DF2人の間を抜けて一気に置き去りするシーンもあった。

「攻撃の目的はゴールなので、1試合目はそれができなかったので、次はゴールに向かおうと思ってやりました。でもあそこで決められるか、決められないかでチームの状況は変わってくるので、決められる選手になろうと思います」。大学生DFを“ぶち抜いた”場面はシュートを決め切れず、U-18日本高校選抜第2戦もゴールをアシストしたものの、得点を決めることができなかった。だからこそ、決め切れる選手になることを誓う。

　今回の合宿は、全ての試合で活躍できた訳ではない。それでも、強烈なストロングポイントも披露。「自分は身体細くてつかみ合いになったら負けるというのは分かっているので、掴まれないように素早く、キレがあるようには意識しています。相手も年上で、フィジカル面で相手の方が有利だと思うんですけれども、そこでも自分のプレーができたと思うので自信になりました」と武器が通用したことを前向きに捉えていた。

　名願は昨年、優勝したプリンスリーグ関西や準優勝の選手権大阪府予選で活躍。プレミアリーグプレーオフの讃岐U-18戦では前半途中にピッチへ入ると、ハーフウェーライン付近からドリブルで独走してゴールを決めた。さらにPAでの切り返しでDF2人のマークを外して2点目。プレミアリーグ昇格に大きく貢献し、U-17日本高校選抜合宿でも印象的な動きを見せたMFの速さと切り返しを含めた身のこなしは、日本代表MF三笘薫を彷彿とさせる。　

　名願はその三笘から影響を受けたのだという。「フロンターレの試合をよく見ていたんですけれども、自分と似ているんで。ドリブルとか似ているところがあって、活躍もしているので自分もこういう風になれるんじゃないかなと思って。(自分と似ていると気付いたのは) 高校入ってからです。ドリブルの緩急の使い方が相手を置き去りにしていけるところです」。そのドリブルを真似し、磨いてきた結果、タレントたちの中でも目立つプレーができるようになっている。

　U-17日本高校選抜選考合宿にはG大阪ジュニアユース時代のチームメートであるMF高橋隆大(静岡学園高2年)も参加。「ガンバの時に同じやったので、でもライバルでもあるのでそこは楽しみだなと思います」。今年の高校トップクラスのドリブラーでもある高橋との共演。互いに刺激し合って合宿を終えた。

「2022年はインターハイも、選手権も、全国で優勝できるようになって、プレミアリーグでも上位に食い込んでいけるようになりたいです。個人としては、結果を残して行けるような選手になりたいです。もちろん世代別の代表に入ってもできる自信はありますし、でもまだまだ自分に足りないところがあるので、自分の長所を伸ばして代表に入れるようにしたいです」。昨年、関西地区のドリブラーでは興國高(大阪)から川崎F入りしたFW永長鷹虎がプリンスリーグ関西などで抜群の存在感。「それくらいの選手に自分もならないといけないと思います」と誓う名願が、どの試合でも武器を発揮して、結果を残す。

(取材協力=スフィーダ、『高校サッカー年鑑』)

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(取材・文　吉田太郎)
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