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CBアンリのスルーパスから福田!注目FW2発で日本高校選抜が静岡選抜撃破!

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前半34分、FW福田師王(神村学園高2年、左端)の先制点を喜ぶ日本高校選抜の選手たち

[3.6 ヤングサッカーフェスティバルU-18男子の部 日本高校選抜 2-1 静岡県ユース選抜 草薙陸]

 日本高校選抜が注目FWの2発で静岡選抜撃破――。第37回静岡県ヤングサッカーフェスティバルが6日に行われ、U-18男子の部で日本高校選抜と静岡県ユース選抜が激突。日本高校選抜がFW福田師王(神村学園高2年)の2ゴールによって2-1で競り勝った。大会MVPは2得点の福田が受賞。日本高校選抜は9日から大学選抜チームと優勝を争う「第36回デンソーカップチャレンジサッカー福島大会」(Jヴィレッジ)に出場する。

 日本高校選抜の先発はGKが佐藤瑠星(大津高3年→筑波大)。右SB大川佳風(流通経済大柏高2年)、CB川副泰樹(大津高3年→福岡大)、キャプテンのU-21日本代表候補CBチェイス・アンリ(尚志高3年)、左SB海老沼慶士(米子北高3年→IPU・環太平洋大)の4バック。中盤はMF根津元輝(前橋育英高2年)とMF大迫塁(神村学園高2年、C大阪内定)がボランチの位置で構え、右SH阪田澪哉(東山高2年)、左SH田澤夢積(青森山田高3年→新潟医療福祉大)。前線はシャドー気味に動く川口敦史(大津高3年→順天堂大)と福田師王(神村学園高2年)がコンビを組んだ。

 一方の静岡選抜はキャプテンのCB行徳瑛(静岡学園高2年)や右SH高橋隆大(静岡学園高2年)、左SH安藤阿雄依(清水ユース2年)といった年代別日本代表候補歴を持つ選手たちが先発。練習は前日の一度のみだったというが、モチベーション高く試合に臨んでいた。7分にはFW伊藤猛志(磐田U-18、2年)の強烈な右足ミドルがゴールを脅かし、11分には右の高橋がドリブルで約5000人の観衆を沸かせる。

 だが、日本高校選抜CBアンリがタックルで高橋をストップ。逆に15分にはインターセプトした田澤のドリブルを静岡選抜右SB松田和輝(磐田U-18)が止め返す。ビルドアップでも存在感を放つ行徳をはじめ、安藤のスピードある仕掛け、前線で伊藤とFW斉藤柚樹(清水ユース2年)が奮闘したこともあって、静岡選抜は格上相手によく食い下がっていた。

 日本高校選抜の仲村浩二監督(尚志高)は、静岡選抜について「個人戦術がしっかりしているんだなと思いました」と称える。だが、日本高校選抜は強みのサイドアタックによってチャンスを増加。根津や海老沼、川口が前線の選手を追い越す形でハイサイドを突き、クロスへ持ち込んだ。31分には大迫の右CKからアンリが豪快ヘッド。33分には川口が足先で繋いだパスから阪田が右サイドを突破してラストパスを送る。

 そして34分、左サイドでボールが奪ったアンリがそのままドリブルで攻め上がる。高い位置まで持ち上がると、さらにキープしたまま中央方向へ。ここで2、3人のDFを引きつけたアンリがPAへ絶妙なスルーパスを通すと、抜け出した福田が左足シュートをゴールへ流し込んだ。

 ピッチ内外で仲の良い2人の好プレーが重なり、先制点。大喜びした福田は後半5分にもゴールを奪う。今度は阪田のスルーパスでDFを置き去りに。GKを右側からかわし、そのまま右足シュートを決めた。

 この日、日本高校選抜は守備も安定。仲村監督が「背後の対応をキチンとアンリがコントロールして、川副がキチッと良いコンディションを作ってきてくれたので、あの2センターが安定してくれたから良かった」と振り返ったように、ヘッドや1対1で存在感放つアンリと準備の良さ、強度の高さを見せていた川副が相手に決定打を打たせない。立ち上がりに佐藤がミドルシュートに反応してゴールを阻止したことも大きかった。

 静岡の強力ドリブラーコンビ、安藤、高橋に対しては大川と海老沼が上手く対応。田澤と阪田の両翼らアタッカー陣も切り替え速く守備に参加し、根津と大迫がバランスよくポジショニングしたこともあって隙を見せなかった。アンリは「(チームは)前よりは全然声が出るようになったし、本当にパスだったりチームになってきたので、良かったと思います」。第100回全国高校選手権で活躍したタレントたちがまとまってチームに。高校2年生で構成された静岡選抜との差を作り出した。

 日本高校選抜は17分に大川とアンリに代えて右SB佐々木奈琉(帝京長岡高3年→早稲田大)とCB柳生将太(前橋育英高3年→専修大)を投入。23分には佐藤、川口、田澤、福田をGK鮎澤太陽(尚志高2年)、MF小泉龍之介(静岡学園高3年→拓殖大)、FW松永颯汰(静岡学園高3年→流通経済大)、FW守屋練太郎(前橋育英高3年→神奈川大)へチェンジ。静岡選抜は27分、右サイドを抜け出した安藤がラストパスを送るが、柳生が前に出てクリアする。

 日本高校選抜は31分に阪田をMF藤森颯太(青森山田高3年→明治大)へスイッチ。静岡選抜は安藤が高橋とのワンツーからシュートを放ったほか、左サイドから崩しを狙うが、日本高校選抜の堅い守りをこじ開けることができない。それでも40+1分、左SB石川瑠紀(清水桜が丘高2年)のクロスをMF齋藤晴(JFAアカデミー福島U-18、2年)が右足ダイレクトで合わせて1点差。交代出場コンビによる1点から一気に同点を目指したが、日本高校選抜が踏ん張り、2-1で逃げ切った。

 日本高校選抜はチーム発足直後に行われた「NEXT GENERATION MATCH」(2月12日)で川崎U-18に0-1で敗戦。仲村監督は「前回のNEXT GENERATION MATCHではシュート数は上回ったけれども得点ができなかったので、きょうのゲームは必ず点を取って勝つことがテーマだったので、師王が点を取ってくれて良かったです」と頷く。

 中2日で行われるデンソーカップチャレンジでも日本高校選抜は点を取って勝つ。仲村監督は「とにかく点を取ろう、攻撃的なサッカーを貫こうというのがこのチームのテーマでそこをモチベーションにしているので、本当に点を取って勝ちたいです」。デンソーカップチャレンジ初出場だった昨年は予選リーグで関西選抜、優勝した関東選抜A相手に健闘したが、1分1敗。今年は大学生相手に攻めて、点を奪って、勝つ。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2021

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