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[MOM3768]日本高校選抜FW福田師王(神村学園2年)_同世代相手に貫禄の2発でMVP

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前半34分、日本高校選抜FW福田師王(神村学園高2年、左)が体勢を崩しながらも左足シュートを決め、先制点

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[3.6 ヤングサッカーフェスティバルU-18男子の部 日本高校選抜 2-1 静岡県ユース選抜 草薙陸]

 注目ストライカーが、第37回ヤングサッカーフェスティバルの大会MVPに選出された。日本高校選抜FW福田師王(神村学園高2年=神村学園中出身)は、「差をつけていきたい」と語っていた同世代の静岡県ユース選抜相手に貫禄の2発。「どちらとも背後取って、自分の好きなパターンで取れて良かったです」と微笑んだ。

 試合は拮抗した展開から徐々に日本高校選抜の流れに。「攻撃だけじゃなくて守備でも貢献できるようにと常に考えているので。チームのためなら何でもします」という福田は前線で鋭いアプローチの守備を見せたほか、身体を張ってやや分の悪いボールをキープするなど、ゴール以外の部分でも貢献していた。

 そして、0-0の前半34分、DFラインから攻め上がってきたCBチェイス・アンリ(尚志高3年)がタメを作ると、呼吸を合わせてスルーパスに反応。DFのタックルよりも一瞬速く左足で撃ち抜き、ゴールをこじ開けた。

 ゴールを確認すると、アンリに飛びついて抱擁。非常に仲の良い先輩のアシストからのゴールに福田は「最高でした」と声を弾ませた。絶妙な動き出しについては「試合前からアシスト頂戴ね、みたいな。ピッチ内、ピッチ外どちらもよくいる先輩なので、通じ合っていました」。この一撃で流れを傾けたエースは、後半にも静岡ゴールをこじ開けた。

 後半5分、MF阪田澪哉(東山高2年)のスルーパスで抜け出して右中間を独走。距離を詰めてきたGKを右側からかわし、角度のほとんど無い位置から右足でゴールを破った。2度のチャンスで見事に仕留めて2得点。ただし、福田はどんなに得点しても満足することはない。この日も、3点目を取れるチャンスがあっただけに「点数とか取れるようになってきているんですけれども、もっと点を取りたいし、まだまだだと思います」と厳しかった。
 
 前半は年代別日本代表候補合宿でともにプレーした静岡県ユース選抜CB行徳瑛(静岡学園高)にタックルで止められるシーンがあった。今年の高体連屈指のCBとのマッチアップも成長への糧。「(行徳は)ボールが離れた時にスライディングが上手い選手なので、もっとボールを離さないように。足元の技術はまだまだなのでつけていきたい」とよりレベルアップさせる考えだ。

 福田は上の世代の日本代表チームや高校選抜の活動、全国大会でできなかったことを持ち帰り、改善して、武器と言えるまでに進化。その作業を繰り返し、「練習から誰よりも打っている」シュートで高校年代を代表するストライカーになった。

 行徳や同じく年代別日本代表でチームメートだったMF齋藤晴(JFAアカデミー福島U-18)は、「一緒にやっている時よりも凄くレベルアップしている。負けていられない」(齋藤)「どんどん個人で昇格して行って上のカテゴリーの代表だったりでやって行っている。自分も目指さないといけない」(行徳)と福田の進化を実感。刺激を受けていた。

 この後、福田は昨年も経験しているデンソーカップチャレンジ(3月9日~13日、Jヴィレッジ)で大学生の選抜チームに挑戦。「(大学生との対戦は)レベルが上がります。個人として。また課題がたくさん見つかるので、また強くなれる」と楽しみにしていた。

 前回大会は関西学生選抜相手に2ゴール。一方でオフ・ザ・ボールの動きの質をより高める必要性を実感した。「大学生は身体が強いのでフィジカル勝負になると負けてしまうので、オフの動きは意識してきました」。この日はそのオフ・ザ・ボールの駆け引きから2ゴール。進化させてきた力を大学生にぶつけ、再びチームにゴールと勝利をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2021

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