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“無印”からのパリ候補入り! 栃木の大型FW小堀空、意識改革経てたどり着いた「目指していた場所」

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栃木SCのFW小堀空(ビブス10番)

 世代別代表経験を持つ選手が多く並ぶU-21日本代表候補メンバーの中で、追加招集でやってきた“無印”の大型ストライカーが大きなチャレンジをスタートさせた。栃木SC所属のFW小堀空は国内合宿も含めて日の丸経験はゼロ。2024年のパリ五輪を目指すチームへの合流を果たし、「びっくりしたけど、自分が目指していた場所ではあるので、ここからだなという感じ」と胸を躍らせた。

 栃木SC U-18出身の小堀は高校3年時の2020年、2種登録選手としてトップチームデビュー。ところが飛躍が期待された昨季、出場機会はJ2リーグ戦1試合と天皇杯2試合にとどまり、不完全燃焼の1年に終わった。

 それでも186cmの長身を誇るFWは人知れず、“意識改革”に取り組んでいたという。「去年からサッカーに対する考え方、体の作り方を向き合ってきていた」。きっかけとなったのは昨年7月に行われた天皇杯3回戦の鹿島アントラーズ戦。自身も先発出場を果たした中、2ゴールを挙げたFWエヴェラウドのプレーに衝撃を受けていたようだ。

「見ていてすごいし、どのボールでも収めてしまうので、見習わないといけないと思った」。その後、母親の知人を通じて筋力トレーニングに取り組むようになり、タンパク質の摂取など食事改革にもトライ。体重は1年間足らずで4kg増えたといい、「身体ができあがってきて、自信がついたというのが一番」というメンタル的な変化を感じるまでになった。

 そうして迎えた今季は開幕から3試合連続で先発出場。ここまでゴールを挙げることはできていないが、出場機会を積み重ねたこととFW細谷真大(柏)の負傷離脱も後押しし、大岩ジャパン発足メンバーに追加招集。初めて代表チームのトレーニングウェアに身を包むことになった。

 すでに代表活動は2日目が終了。「だんだん普通に馴染めてきたし、ちょっとしたパスコンでも自チームよりもパスが速かったり、質が良かったりしていて、チームに持って帰れたらいい」とすでに大きな刺激を受けているようだ。とりわけ8日のゲーム形式のメニューで2トップを組んでいたFW櫻川ソロモン(千葉)は同世代でありながら「自分の中で手本にしていた選手」。ともにプレーをしながら「自分だったらそらすボールを胸で収めたりすることができる」と学ぶ意欲を表現した。

 その他、報道陣からは栃木ユース出身のMF明本考浩(浦和)、昨季栃木所属の元日本代表FW豊田陽平についての質問もぶつけられていた。そこで小堀は明本について「浦和レッズ戦をすごく見る。体格的には全然違うと思うけど、走力などプレースタイル的には似ていると思っている。まだ追いつけていないのは収める力がすごい。追求していけたら」、豊田について「プレーのところではゴール前の動きだし。プレー以外ではご飯を食べに行って、運は自分で作り出せるという話をしてくれた」と詳細に述べ、ここでも周囲から吸収する意識の高さをのぞかせていた。

 そうした姿勢は今後、間違いなく日本代表の舞台でも活きてくるはずだ。「練習をしてみて学ぶものがあった。パスコンの意識から違う。ただそこまで差は感じなかった。チームに帰って常にその意識を持ちながら、自チームに帰っても活躍すればまた呼ばれると思うので、もう一段ギアを上げてやっていけたらと思う」。19歳まで“無印”だった大型ストライカーが、逆転でのパリ五輪行きを目指す。

(取材・文 竹内達也)
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