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[デンチャレ]先発8人入れ替えも新システム理解し、ハードワーク。仲村監督は日本高校選抜を選手、人間としても高く評価

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22年日本高校選抜の活動は残り1試合。一体となって勝ちに行く

[3.11 デンチャレGL第3節 U-20全日本大学選抜 2-0 日本高校選抜 Jヴィレッジ]

 日本高校選抜の仲村浩二監督(尚志高)は、「やっぱり高校選抜で僕らが選んだ自信もありますし、選手権の優秀選手というのもあってメンバーを入れ替えてもキチッとサッカーができる。システムをちょっと変えたとしても戦術理解度も高いし、身体の無理が利くところもある」と選手たちを称賛していた。

 前日の関東大学選抜B戦で守備に重きを置いた3-6-1システムを初導入。そのシステム変更に3バックの中央を務めたMF薬師田澪(大津高3年→法政大)をはじめとした選手たちが順応し、強敵から勝ち点1をもぎ取った。

 この日の対戦相手はU-20全日本大学選抜。日本高校選抜と同じく、ここまで1分1敗だったものの、指揮官は同グループで一番と言えるような試合内容、技術力の高さを持つ相手を警戒し、勝つために再び3-6-1システムで試合に臨んだ。

「前半0-0で行ければ後半チャンスが来るな、という意図であのシステムで行きました」と仲村監督。U-21日本代表候補のDFチェイス・アンリ(尚志高3年)を3バックの左に配置した日本高校選抜はボールを支配し、ドリブルを織り交ぜてくる相手にコンパクトな守りで対抗する。

 前日から先発8人を変更していたが、この日の出場メンバーも戦術を理解してハードワーク。U-20全日本大学選抜の中でも特に個で違いを見せるMF山内日向汰(桐蔭横浜大2年=川崎U-18)のドリブルやMF安斎颯馬(早稲田大1年=青森山田高)の狡猾な動きに苦しめられたものの、アンリらDF陣の踏ん張りとGK佐藤瑠星(大津高3年→筑波大)の好セーブもあって0-0を継続する。

 そして、後半21分、「0-0だとウチが(グループ)4位になるのは決まっていたので、後半勝負をかけていったのがあった」という仲村監督は、MF大迫塁(神村学園高2年/C大阪内定)とMF小泉龍之介(静岡学園高3年→拓殖大)を同時投入して攻撃にシフトチェンジ。大迫の鋭いFKや中盤で相手のプレッシャーを剥がす小泉が攻撃にプラスアルファをもたらしていたが、逆に連続攻撃を受けてしまう。そして27分、クロスに飛び出したGK佐藤が相手FWと接触。こぼれ球を押し込まれると、34分にも失点し、0-2で敗れた。

 チャレンジして敗れたものの、仲村監督は高校選抜の選手たちをプレーヤーとして、また人間としても高く評価する。今月9日、チームは学ぶために震災伝承館を見学。「(パッと見て終わるのではなく、)福島がこんだけ苦労して今こういう状態になっているのを彼らは一時間以上掛けて見ていました」。仲村監督は、震災からの復旧・復興を目指す福島を笑顔にするために努力してきた一人。震災直後の11年度選手権と18年度選手権で尚志を全国3位へ導いた。その指揮官にとって、彼らが福島について本気で学ぼうとする姿は嬉しく映ったという。

 エースストライカーのFW福田師王(神村学園高2年)は、「サッカーできるのは当たり前じゃないので、毎日感謝しながら過ごしていけたらと思っています」とコメントした。非常にまとまりが良く、活力もあった22年日本高校選抜の活動は13日で終了。上を目指す選手たちはサッカーができることに感謝して残り1試合に臨み、力を出し切って白星で活動を終える。

(取材・文 吉田太郎)
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