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九州新人の代替大会が開幕。鹿児島城西vsルーテル学院は互いに収穫ありの3-3ドロー

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鹿児島城西高(青)vsルーテル学院高(エンジ)は3-3の引き分けに

[3.12 九州高校大会予選Bグループ 鹿児島城西高 3-3 ルーテル学院高 宮崎日大第2グラウンドB]

 九州高校新人戦の代替大会として行われる「2022 九州高等学校サッカー大会~九州はひとつ~」が12日に開幕した。各県の新人戦上位校の中から出場可能な9校が参加。予選Bグループの鹿児島城西高(鹿児島)とルーテル学院高(熊本)の一戦は両者譲らず、3-3の引き分けとなった。鹿児島城西は同日に行われた長崎総科大附高戦を2-1で勝利し、グループリーグを首位通過。13日に行われる決勝トーナメント進出を決めた。

 熊本県、鹿児島県は3月6日までまん延防止等重点措置が延長されたため、活動がままならず、両チームともに対外試合は1月に行われた県の新人戦決勝以来。鹿児島城西の新田祐輔監督が「試合感覚を取り戻すまでに時間がかかり、最初の15分は全くダメだった」と振り返った通り、序盤は思い通りにプレーできない時間が続いた。

 一方、ルーテル学院はそうした相手の隙を突く形でチャンスを伺うと、前半4分には高い位置で相手のクリアミスに反応したFW古場楓雅(2年)がボレーで決めて先制に成功。12分には、MF長崎義喜(1年)の左クロスから、古場がヘディングシュート。クロスバーに当たった跳ね返りをFW塘崎銀太(2年)が押し込んだ。

 追いかける展開となった鹿児島城西も18分には、MF小堀優翔(2年)のパスからPA左を抜け出したMF原田天(2年)がゴール前にパス。後方から走り込んだMF石内凌雅(1年)が決めて1点を返した。

 後半に入ってからは、鹿児島城西らしい縦に速い攻撃と前線からの守備によってルーテル学院陣内での時間を増やしたが、DF厚地陽賢(2年)と池田桜介(1年)を中心とした守備を崩しきれず、思い通りに2点目は生まれない。後半20分にはルーテル学院に再びチャンスが訪れ、左サイド長崎からのボールを受けた古場がドリブルから右に展開。フリーで抜け出したMF松本彩夢(1年)が豪快に決めて、再びリードを広げた。

 残り10分での失点は鹿児島城西にとって手痛かったが、「3点目を食らって(自分たちのサッカーは)思い出してきた」(新田監督)。指揮官が今年の生命線と評する原田とFW前田隼希(2年)のホットラインが土壇場で仕事を果たした。

 1つめの仕事は29分。原田の縦パスをPA内のFW岡留零樹(1年)が落とすと、3人目として走り込んだ前田がゴール左隅に流し込んだ。2つめの仕事は、30+2分。ハーフウェーライン手前から、原田が相手DFの背後にロングボールを展開。「天とは持って蹴る前に目が合ったので、動き出したら良いボールが来た」と振り返る前田が豪快に決めて、3-3の引き分けに持ち込んだ。

 終了間近に白星を逃す格好になったルーテル学院だが、小野秀二郎監督は「お互い怪我なく、無事に終わって良かったです」とホッとした表情。「進出した九州の上位チームと対戦し、通用した所、通用しない所が見えた。課題を持って帰って練習できるのは大きい。ゴール前のシビアな所がルーズで失点したけど、上手くスペースを突いて、冷静に決めた所は良かった」と収穫を口にした。

 対する鹿児島城西は、「常勝」をテーマに掲げる一年とあり、代替大会とはいえ、本気でタイトルを狙っている。県の新人戦の決勝で敗れた神村学園高には近年、決勝で負け続けているため、選手・監督ともにリベンジにかける想いは強い。新田監督は「福田師王と大迫塁がいなくなってから勝って嬉しいのか?いる時に勝ってこそ、俺らの価値が上がるんだ」と世代別代表に選ばれる2人の名前を出し、ハッパをかけている。

「大迫と福田の存在は刺激になる。自分は大迫に勝たないといけないし、(前田)隼希は福田師王に勝たないといけない」と話すのは、原田で同じ左利きである大迫へのライバル心を隠さない。前田も「今年は絶対に福田師王よりも点を決めてチームを勝たせたい」と続ける。今大会は2人がいないとはいえ、打倒・神村学園を果たすチャンス。残り2勝して、インターハイと選手権に向けて弾みをつけたいところだ。

(取材・文 森田将義) 

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