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日本代表W杯アジア最終予選メンバー発表 森保一監督・反町康治技術委員長オンライン会見要旨

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森保一監督

 日本サッカー協会(JFA)は16日、オンラインで記者会見を行い、カタールW杯アジア最終予選2試合の日本代表メンバーを発表した。日本は24日にオーストラリアとのアウェーゲーム、29日にベトナムとのホームゲームをそれぞれ戦う。

 メンバー発表会見では森保一監督、反町康治技術委員長が40分弱にわたって質疑に答えた。要旨は以下のとおり。

反町康治技術委員長
「ワールドカップ出場に向けての最終予選の残り2試合。スタートダッシュに失敗したという言い方もあるかもしれないが、最終的にはやっとここまでたどりつけてあと2試合。もちろん2試合あるかもしれないが、W杯の切符をつかむところまで来ている。われわれとしてはアウェーのシドニーで強豪のオーストラリア戦という大きな一番となる。この一戦で持っている力をすべて発揮して、勝ち点3を取って帰れるように努力したい。私の立場上はコロナの対策や最終的な部分でのサポートに徹してやっていきたい。是非とも応援していただければと考えている」

森保一監督
「W杯予選も残り2試合となった。これまでW杯予選そして親善試合など多くのみなさんにご支援ご協力いただき、われわれがここまで活動してこられた。政府の皆さん、地方行政の皆さん、エッセンシャルワーカーの皆さん、コロナ禍で必死に戦っている国民の皆さんの頑張りとわれわれへの応援があったからこそここまでやってこられた。みなさんのご支援、応援に感謝申し上げたい。W杯予選も残り2試合の中、まずはこれまでどおり目の前の一戦に最善の準備をして、その試合で全力を尽くすことをやっていきたい。次の対戦相手のオーストラリアとはアウェーの戦いで、完全アウェーの中で難しく厳しい戦いになると思うが、われわれのほうがW杯に出場したいという強い思いを持って、最後まで戦い抜いて、勝利して、われわれを応援してくださっている方々に喜んでいただけるように目の前の一戦に全力を尽くしたい」

——大迫勇也が抜糸も済んでいない状況で万全ではないという。彼の状態をどう見ているか。
「われわれも召集について、怪我からの回復状況を見てきた。昨日ACLプレーオフがあって、そこで彼が90分+延長戦の120分戦い抜いたことで、プレーを見て、その後のリバウンドも確認しつつ、この招集の発表ということになった。時間が経過して疲労がまた違った形で出てきたり、痛みが出てきたりも考えられる。ここからの経過観察もしながら、大迫だけでなく、国内外で今週末も試合がある。その試合でどういう選手たちがどういう状況になったかを見極めて、最終的にオーストラリア戦で戦うメンバーを決めることになると思う。大迫に関しては次の清水戦もあるので見ていきたい」

——日本にとってはW杯出場がかかる試合でオーストラリア戦。過去2大会でもそのような形で当たって、いずれも勝っている。オーストラリアの印象と、過去のことをどう考えているか。
「オーストラリアはわれわれとW杯出場権をかけて争ってきているチームで、まずは力があるということ。フィジカル的にも非常に強く、テクニックの部分、チームとして戦う組織力も兼ね備えたチームだと思っている。先ほども申し上げたが、われわれにとってアウェーの試合になるので、非常に厳しく難しい戦いになると思うが、われわれにもいい選手は揃っている。W杯予選で、これまでの活動で積み上げてこられたこともあると思う。まずは自信を持ってわれわれの持っている力を全て、まずは目の前の一戦で出し切って、勝利することを考えて戦いたい。過去の対戦においても、W杯出場を決めたデータがあるが、データが勝たせてくれるわけではない。われわれが勝つために必要な準備をしていきたい」

——大一番を迎えるにあたって現在の心境は。
「おっしゃられたとおり、大一番ということに変わりはないオーストラリア戦だと思っている。それと同時に大一番は毎試合が大一番と思いながら戦ってきたし、この最終予選だけ切り取ってみても、サウジアラビアに2敗目を喫した時点でもう勝ち続けなければW杯出場を掴み取ることは難しくなるだろうということで一戦一戦勝ち切っていこうと戦ってきた。その気持ちを忘れることなく、アグレッシブに勝ち取る、掴み取る気持ちでその試合を戦ってきた。次の試合も本当に難しい戦いになると思うが、すでにプレッシャーを乗り越えて戦ってきたし、自分たちがやってきたことに自信を持って選手たちには試合に臨んでもらいたいし、チーム一丸となって、われわれが勝ってその試合を終わらせる準備をしっかりして、全力で戦いたい。

——冨安健洋は怪我で招集できなかったと思うが、鎌田大地や堂安律は。
「怪我で呼びたくても呼べなかった選手もいるし、それと同時にもっと多くの選手を招集させてもらいながらチームを編成したい。時々こういう質問のお答えをさせていただいているが、一つの活動の時に限られた招集メンバーを決めなければいけないので、今回のオーストラリア戦、ベトナム戦で選ばせてもらった選手以外にも選びたい選手、同等の選手はいる。なので代表を目指してくれている選手、力のある選手はたくさんいるということで、今回は今回の勝つためのベストということでしっかり戦っていきたいと思うし、選手にもスタッフにも、この戦いに参加したいと思ってくれている選手のスタッフも本当にたくさんいる中で、われわれが気持ちを背負って戦うということをみんなで共有してオーストラリア戦、そしてベトナム戦に臨みたい」

——サウジアラビア戦後の円陣で「所属クラブで存在感を発揮してほしい」ということを呼びかけていたが、所属クラブで存在感を発揮しているにもかかわらず、選ばれなかった選手が複数いる。代表活動にポジティブではない発言をした選手が外れていると見える。選手が作り出す空気を大事にして選考したか。
「まずはサウジアラビア戦の試合後のコメントは覚えているし、いつも選手たちに語りかけていることでもある。選手がネガティブな発言をしたというのがわからないが、私自身はそういうことがあったから選考に影響が出ているとは思っていないし、やっていない。あくまでも今回のオーストラリア戦、そしてベトナム戦に向けて、勝つために選手を選んで招集させてもらっている。その前の質問でもお話させていただいたが、毎回招集できる人数は限られているということ、同じポジションにいい選手がいる等々のことで選べない選手もいるので、今回はこれがベストだけど、次にメンバー編成が変わっていることもありうると思っている」

——(反町技術委員長に)27人の中で18人が欧州で戦っているが、国際情勢で移動が難しくなると思うし、日曜日に試合があって合流が遅れそうな選手も多くいる。どれくらい練習ができると把握しているか。またオーストラリア戦に向けて十分な選手が練習できるか。
反町「まず国内組の9人はJリーグさんの配慮もあり、日曜日ゲームが1試合ということで、土曜日の試合の後に移動することができる。Jリーグさんに非常に感謝したい。ヨーロッパに所属している選手に限っては、まず航路の問題は特にないと聞いている。日本から帰る場合には当然ながら支障はあると思っている。ベトナム戦の後ですね。いつもそうだが、ヨーロッパのゲームは土曜日と日曜日がほとんどで、それが終わってからなるべく早いフライトで、チャーターではなく個別にオーストラリアに入る形を取っている。試合の前々日にはほとんどの選手が間に合うという計算でいる。ただフライトの問題もあるのでなんとも言えないが、今のところのスケジュールでは前々日にはほとんどの選手が集合して、2日間にわたって準備することができると理解している」

——旗手怜央は前回の活動に呼ばれておらず、移籍したばかりという事情もあって呼ばなかったというコメントをしていたが、今回の招集に至った理由は。
「彼が川崎フロンターレからセルティックに移籍して、セルティックでどういう活動をしてきているか、どういう変化を見せてきているか、彼のことをサッカーのピッチ上だけでなく、いろんなところからコミュニケーションを取って見てきた。以前の代表活動の時にはヨーロッパに慣れていないということで招集を見送るということも考えていたが、いまはサッカーの部分も日常生活の部分も、スコットランドでの生活に慣れていることも確認できている。なおかつ一番大切なところはプレー。プレーもチームにフィットしてきている中、パフォーマンスを見て招集させていただいた」

——旗手怜央の起用ポジションはどこで想定しているか。
「いまやっているポジションが一番いいポジションかなとは思っている。セルティックではインサイドハーフで多くの時間プレーしているので、そこが一番プレーしやすいところかなと思う。だが、われわれの代表活動においては同じシステムだけではなく、そして同じポジションだけでなく、複数のポジションの起用も考えて招集させてもらっている。ポジションだけでなく、皆さんもお分かりのとおり、本来であればフィールドプレーヤー20人とGK3人というところがジャストな招集人数の中、プラスで選手を招集させてもらっている。選手たちの状況を見極めて試合に臨むメンバーを決めていかなければならない」

——いまは中盤3枚が機能しているが、一人でも欠けると厳しくなる懸念もある。いまの中盤3枚をどのように捉えているか。システムにこだわりはないと思うが、現場の中盤の構成をどう考えているか。
「前回のわれわれの戦いであったり、過去を振り返って直近を見ていくと。4-1-4ー1というか4-3-3の形で戦っている時間が多くなっている。その中で起用している3選手ということで、コンビネーションやバランスはいいものを見せてくれていることは間違いない。だが、彼らだけでチームが構成されているわけではないし、途中交代あるいは先発で代わっても力を発揮してくれる選手がいる。なおかつシステム的にも前回の中国戦においては途中で形を変えることもした。そこは選手たちのコンディション等々を見ながら柔軟に考える。そしてオーストラリア戦への準備でどういう形でいったほうがいいのか、どういう選手を起用したほうがいいのかを、残りの期間、選手が集合してから最終決断したい」

——これまでもメンバーを多めに呼んでいた時もGKは3人だったが、今回4人を招集した理由は。また最終ラインについても左サイドバックだけ3人を呼んでいる。たとえば長友佑都がコンディションの影響で試合にあまり出られていない影響もあるのか。
「GKについてはこれまでの代表活動でも今回招集させてもらった4人は多くの機会で招集させてもらっているということ、代表としての力を持っているということが大前提で招集させてもらっている。さらに今回は川島(永嗣)、シュミット(・ダニエル)に関しては試合直前の合流になってしまうので、練習の機会が1回できるかどうかという集合になる。それまでの練習の機会は権田と谷が怪我で問題なければGK1人体制で過剰な負荷がかかるより、2人でトレーニングができる。2人でトレーニングをすることでGK2人を使いながらのコンディショントレーニング、戦術的なトレーニングができるということも加味して招集した。サイドバックは長友のところにコンディション的な不安があるから、プラスで招集させてもらったことではない。DFライン全体を考えて招集させてもらっている。中盤も前線も含めて、各ポジション一人ずつ本来の招集よりも多く招集させてもらっている。長友に関してはルヴァン杯ではなく、リーグ戦で後半から出場しているし、いいプレーをしていて、チームに機能をもたらせる、チームを勝たせる役割を全うできるところは見せてもらったし、ハードに動けることを確認できている。今週の試合も含めていいパフォーマンスを練習から発揮してもらい、試合に先発から出られるように見ていきたい」

——三笘薫が招集されているが、彼に求める役割は。
「まずは集合した時に元気に、そして自分の持てる力を最大限発揮できるいいところを練習から見せてもらいたい。起用はもちろん明言できないが、彼の持っている攻撃力を最大限に活かしながら、いまクラブでトップで出ることもあるが、ウイングバックという攻撃も守備も関わっていかなければいけないポジションをやっているので、彼が成長している守備の部分、インテンシティ高く戦えるところを見せてもらいながら、彼の武器である得点に絡める攻撃力を発揮してもらいたい」

——勝てばW杯出場が確定する状況になっているが、試合に臨む心境の変化は。
「試合直前になったら心がどう変わっているかというのはあるが、先ほどの質問でもお答えした通り、オーストラリア戦が大一番であることは認識しつつ、これまでも毎試合勝ち続けなければいけないという毎試合大一番だと思い、戦ってきた。そういった意味では戦うモチベーションであったり、戦う姿勢はこれまでの試合と変わったところはないと思う」

——試合のスタートと、試合の中でオーストラリアが日本に対応してきたときへの準備はどう考えているか。
「前回われわれが埼スタでオーストラリアと戦った時とはオーストラリアの戦い方が変わっている。われわれのことを分析して、より多くのオプションを持って試合に臨んでくると思う。逆にわれわれのベースである戦い方はもちろんやっていかなければいけないが、次の試合を想像した上でわれわれもオプションとして戦い方を準備しておく必要がある。状況によってチームで選手たちが共有しながら使い分けていけるよう、与えられた準備期間の中で最善の準備をしていきたい。姿勢としてはいずれにしても相手が勝利を与えてくれるわけではないし、ワールドカップの出場権をオーストラリアが与えてくれるわけではない。アグレッシブに勝ち取りに行く、勝利を掴み取りに行く気持ちを持って、試合開始から受けずに戦っていきたい。試合の流れの中で日本人が持つ賢さを出しながら試合を勝ち切れるようにしていきたい」

——状況や時間帯によっては勝ち点1をホームに持ち帰ることも必要になるかもしれないが、どういう想定をしているか。
「もし答えがあれば教えていただきたい。まずはわれわれの姿勢として勝ち点3を勝ち取りに行くことを考えながら、試合の状況はわれわれの理想どおりにいくとは限らない。理想通りにいかないことも想定しながら、最後に勝ち点1をしっかりと持ち帰ることも必要になってくる。状況を見極めて、選手たちには最後その状況に一番合ったプレーの選択をしてもらいたい」

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