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大迫不在のFW争い…“得点感覚”で挑む上田綺世「自分を使いたいと思わせるパフォーマンスを」

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日本代表FW上田綺世(鹿島)

 絶対的エースのFW大迫勇也(神戸)を負傷で欠く日本代表において、FW上田綺世(鹿島)への期待が高まっている。「まずは自分の出場時間を自分で掴み取る。試合に出たら求められることもあるし、それ以上のものを見せたい。自分の武器を全面に活かして、自分を表現できたらと思う」。W杯出場権をかけた敵地でのオーストラリア戦(24日)というこれ以上ない大舞台で、日々磨き上げてきた得点感覚を発揮していくつもりだ。

 日本サッカー協会(JFA)は19日、大迫が負傷のため今回の活動への参加を辞退することを発表した。東京五輪で主力を務めたFW林大地(シントトロイデン)が追加招集され、最前線のレギュラー争いは上田、林、FW前田大然(セルティック)の三つ巴に。現時点でリードしているのは今年1〜2月の最終予選2試合に途中出場した前田とみられるが、練習合流は前田が試合2日前、林が試合前日という厳しいスケジュールとなっており、すでに合流している上田のチャンスは大きく広がった。

 上田は昨年11月、オマーンとベトナムとのアウェー2連戦でW杯最終予選初招集を掴み取ったが、2試合ともにベンチ入りすら叶わず。不完全燃焼のまま活動を終えた。それでも上田は「トップトップを経験して、そこを基準にできている。基準を知ることができて、日々の取り組みにおいて自分の意識に変化があった」と鍛錬を続け、今年1月には国内組合宿に参加。トレーニングマッチでハットトリックの大活躍を見せると、直後の最終予選は落選に終わったが、オーストラリアとの大一番で再びチャンスが巡ってきた。

「僕は今までも話しているように代表に来たら代表、チームにいたらチームと、属しているチームのためにというそのことだけを考えている。代表を落ちてからモチベーションの変動はないというか、前回の代表が終わった後も次は鹿島で結果を残すことに専念して、それで選ばれたら代表でと同じことの繰り返しで積み重ねてきた。それは今回も同じ」。代表活動との向き合い方に一喜一憂しないという上田は、その言葉どおりに鹿島で結果を残してきた。

 今季目立っているのは積極的なシュートへの姿勢だ。開幕からミドルシュートへの高い意識を見せており、開幕5試合でのシュート数21本は今季のJ1リーグでトップの数字。「もともとシュートレンジの広さは武器だと思っているし、動き出しも含めていろんなバリエーションでゴールを取れるように日頃からトレーニングしている。その一部が最近よく出るようになったんじゃないかと思う」。そう語った上田は自身が続けてきた取り組みを次のように語った。

「自分がいろんな局面やいろんな瞬間で幅広いシュートの選択肢とバリエーションを持つこと。自分にできない選択肢は試合中も選べないので、一本のシュートにどれくらいのアプローチができるかが引き出しになるので、それを引き上げ、広げることが大事だと思う。球種や当て方、同じようなシュートでも自分の中で違うニュアンスを入れれば違うシュートになるし、細かいところは意識している」

 その中で好感触があるのは「無になれた」時の自分だという。「いろんな選択肢といろんな意識が自分の頭の中で回転している時は、プレーの選択は間違いないかもしれないが、選択するスピードや思い切りがなくなってしまう。無でできている瞬間、感覚に“全振り”している瞬間が一番点が取れると思っている」。自身の言葉でストライカーとしての“得点感覚”の一端を明かした。

 代表チームでは所属チームとは異なり、短い準備期間の中でそうした武器を発揮することが求められる。もっとも、東京五輪代表でそうした条件は経験済み。「短い時間でパフォーマンスをしないといけない、自分の武器や持ち味を見せないといけないのは準備期間があろうがなかろうが立場上変わらない部分。そこはまた一つトライだと思う。僕にとってはその短い時間の中でも動き出しやシュート、自分を使いたいと思わせるようなパフォーマンスをしないといけない。求められていることを全うするのもそうだし、プラスアルファを出さないといけない」。まずは21日からの3日間、オーストラリア戦に向けて最善の準備を続けていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)
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