beacon

[J-VILLAGE CUP U18]ハードワーク、戦う姿勢で上回り、個の特長、修正力も発揮。U-17高校選抜がU-17代表にリベンジ

このエントリーをはてなブックマークに追加

U-17日本高校選抜が2-0でU-17日本代表に勝利

[3.20 J-VILLAGE CUP U18 U-17日本代表 0-2 U-17日本高校選抜 Jヴィレッジ]

「第4回 J-VILLAGE CUP U18」は20日、予選最終戦を行い、U-17日本代表とU-17日本高校選抜が激突。U-17日本高校選抜が2-0で勝ち、予選1位と決勝進出を決めた。

 05年生まれ以降、高校2年生の早生まれと高校1年生で構成されたU-17日本代表と、高校サッカー部2年生の“代表チーム”U-17日本高校選抜との注目の一戦。U-17高校選抜が2-0で勝ち、昨秋敗れたJヴィレッジドリームカップ(U-16日本代表候補に2-3)のリベンジに成功した。

 ここまで1勝1敗のU-17代表は4-3-3システム。GK小林将天(FC東京U-18、1年)、右SB舩木大輔(横浜FMユース、1年)、CB尾崎凱琉(大阪桐蔭高1年)、CB市原吏音(大宮U18、1年)、左SB田村心太郎(柏U-18、1年)、中盤はゲーム主将の大関友翔(川崎U-18、2年)と由井航太(川崎U-18、1年)のダブルボランチでトップ下が幸喜祐心(琉球U-18、1年)。3トップは右から早川隼平(浦和ユース1年)、小田晄平(昌平高1年)、小池直矢(前橋育英高2年)が並んだ。

 一方、2連勝のU-17高校選抜は4-4-2システム。GK藤澤芭琉(徳島市立高2年)、右SB豊田怜央(桐光学園高2年)、CB津久井佳祐(昌平高2年)、ゲーム主将CB新谷陸斗(東山高2年)、左SB都築駿太(流通経済大柏高2年)。中盤は徳永涼(前橋育英高2年)と白井柚希(静岡学園高2年)のダブルボランチで右SH田原瑠衣(大津高2年)、左SH篠田翼(昌平高2年)、2トップは2戦5発の小林俊瑛(大津高2年)と福田秀人(米子北高2年)がコンビを組んだ。

 ワールドカップや五輪のほか、クラブWワールドカップ決勝などを担当した経歴を持つ西村雄一氏が主審を担当。試合は立ち上がりからU-17代表がボールを支配し、主導権を握った。U-17高校選抜は前からボールを奪いに行くものの、相手の素早いパスワークの前に遅れが生じ、押し込まれる展開。U-17代表は質の高いボールコントロール、パスを駆使して攻め上がる大関を中心に相手の守りを破ろうとする。

 だが、U-17高校選抜はDFラインでその攻撃を凌ぐと先制点を奪う。12分、左サイドから篠田が仕掛け、PAへ抜け出した福田が左足を振り抜く。ファーにこぼれたボールを田原が狙うと、最後はゴール前で小林が詰めて注目対決のスコアを動かした。

 小林は「大事な試合だったので得点ができたことが良かった。3試合連続のゴールで嬉しいです」。U-17代表はすぐに反撃。右サイドでアグレッシブな姿勢を見せ続けていた早川がドリブルシュートを狙う。16分には、由井のスルーパスから小池がゴールネットを揺らすもオフサイド。26分にはSB舩木が右サイドを攻略し、ラストパスを由井が合わせた。

 一方、U-17高校選抜は守り方を修正。前からのプレスに行き過ぎるのではなく、相手が侵入してきたところで人数を掛けてボール奪取。28分に敵陣でインターセプトした福田が、一気にスペースへ飛び出した徳永とのワンツーから決定的な左足シュートを放つ。右サイドの田原のドリブルも効果を発揮。カウンターから白井や小林が独走するシーンもあった。守備面含めて個々の特長を出す一方、意識高く表現されていたのが球際やハードワークの部分だ。

 U-17代表の小池は、2月までともに活動したU-17高校選抜との戦いについて、「まず高校選抜さんに球際のところだったり、(戦術面など)サッカー以前の問題というか、ハードワークの部分で負けていたかなというのがあると思います」と指摘する。U-17高校選抜は前半に豊田が身体を投げ出してクリアするなど、各選手が目の前の相手との攻防で負けない。これまでの試合に比べて守備の時間が長くなってはいたものの、チームのバランスを取る徳永、DFリーダーの真田、津久井を中心に無失点を継続。攻撃する時間を増やし、流れ良く前半を終えた。

 後半、U-17代表はCB畑野優真(横浜FMユース、1年)、MF廣井蘭人(帝京長岡高2年)、前日2得点のFW後藤啓介(磐田U-18、1年)を送り出す。一方のU-17高校選抜はGK佐藤安悟(帝京長岡高2年)、右SB鈴木大翔(尚志高2年)、MF真田蓮司(東山高2年)、右SH阪田澪哉(東山高2年)、左SH名願斗哉(履正社高2年)をピッチへ。5分には名願が圧巻のドリブル突破から左足シュートを放つ。

 そして8分、U-17高校選抜は攻守に利いていた左SB都築が縦へ切れ込んでラストパス。阪田が反転しながら強引に右足を振り抜き、リードを広げる。この後、U-17代表は右SB石川晴大(清水ユース、2年) 、左SB北島郁哉(鳥栖U-18、1年) 、MF碇明日麻(大津高1年)を投入。セカンドボールを回収して押し込む時間帯もあった。

 さらに右FW安藤阿雄依(清水ユース、2年)、左FW鈴木陽人(名古屋U-18、1年)、MF石井久継(湘南U-18、1年)を投入。前日は0-2から逆転勝ちしており、後半ラストプレーで決勝点、優勝を決めた昨秋のU-17高校選抜戦(Jヴィレッジドリームカップ)を経験した選手もいる。再現を狙ったが、終盤に掛けてよりギアを上げたのはU-17高校選抜の方だった。

 碇がDFラインまで下りてビルドアップするU-17代表の攻撃を距離感の良さと強度高い守備で封鎖。後半半ば以降、FW澤田佳憲(瀬戸内高2年)、左SB保田成琉(阪南大高2年)、CB宝納拓斗(佐賀東高2年)を投入して運動量と強度を維持したU-17高校選抜は、再三チャンスを作り出す。

 高い位置でボールを奪い取り、福田や真田がシュートへ持ち込んだ。34分には名願のコントロールショットがクロスバーをヒット。相手GK小林の好守に阻まれたほか、シュート、判断の精度を欠くシーンが増えていたものの、そのまま押し切り、2-0で勝利した。

 高校年代のトッププレーヤー同士の熱戦。選手たちは高いレベルの相手との戦いで新たな課題を実感し、国際経験豊富な西村主審からも新たな気づきを得ていた。試合の流れの中でファウルの理由の説明を受けていた阪田は、「よく見られているなという感想で、これはアカンかったんやと知れたので良かった」。様々な基準を知った選手たちはこの一戦を次に繋げる。

 U-17高校選抜は21日の決勝(対履正社高)が活動最後のゲーム。小林は「優勝がかかっているのでチーム全体で良い準備をして勝ちたいです」と語り、田原は「アシストか点をどちらかやりたいなと思っています」と意気込む。個々が特長を出し合いながら、チームとして進化を続けてきたU-17高校選抜が最終戦も勝って活動を終える。

(取材・文 吉田太郎)

TOP